こんにちは。生活相談員のtakuma(@takuma3104 )です。
2021年の介護報酬改定の話が進みつつありますね。
改定についていろいろと思うところはありますが、今回は「無資格の介護職員に認知症介護基礎研修を義務づける」という、もはや愚行とも思えるこの施策について取り上げていきたいと思います。
https://www.joint-kaigo.com/articles/2020-12-02-2.html
↓その他介護報酬改正の解説記事はコチラ↓
そもそも認知症介護基礎研修とは?
認知症介護基礎研修とは「認知症ケアに携わる者が、業務を遂行する上で最低限の知識・技術とそれを実践する際の考え方を身に付け、チームアプローチに参画する一員として基本的なサービス提供を行うことができるようにする。」ことを目的として、各自治体が行っている研修のことです。研修時間はおよそ6時間で、費用は数千円程度のようです。ちなみにわたしは受けたことはありません。
なぜ義務化?
厚労省発表の「運営基準の改正等の概要(案)」によると、3年の経過措置期間をもって、この認知症介護基礎研修を義務化していく方向のようです。認知症介護基礎研修を義務化する目的は、「認知症への対応力向上に向けた取組の推進」とのことです。つまり、「認知症の人へのサービスの質をを強化していきましょう」ということですね。
訪問系、居宅介護支援及び福祉用具貸与(販売)を除く全ての介護サービス事業者について、介護に直接携わる職員のうち、医療・福祉関係の資格を有さない無資格者に認知症介護基礎研修を受講させるために必要な措置を講じることを義務づける。
「なんか意味あるの?」
というのが、率直な感想です。
だって、まず研修時間がたったの6時間ですよ?たった6時間の研修で「サービスの質を上げてくれる」なんて、どんだけ質の高い研修を提供してくれるのでしょう。これまでわたしも福祉系のいろいろな研修に参加してきましたが、質の高い研修にあたることって正直ほとんどなかったです…。
まぁ無資格者の介護職員全員に義務化するくらいなんですから、よっぽど素晴らしい研修を提供してくれるのだろうなぁと期待してしまいますね。
たった「6時間のカリキュラム」で、「サービスの質の底上げ」ができる研修を提供する覚悟がおありなのですね https://t.co/nKvcYXFo4R
— takuma@生活相談員 (@takuma3104) December 3, 2020
どうせ利権目的でしょ
介護労働安定センターの調査では、介護職全体の約6.1%が無資格者とのことなので、介護職全体の人数をおよそ180万人として、そのうちの6.1%ですから、およそ11万人。11万もの人にこの研修が義務付けられるわけです。
研修受講者が増えるということは、研修の費用として関係各所にお金が流れるということですよね。つまり、無資格の介護職員から研修料という形でお金を奪い、それによって潤う人が生まれるというわけです。これは新たな利権を作るのが目的では?と考えるのもあながち否定できないのではないでしょうか。
またひとつ、金のなる木ができるみたいですね https://t.co/YBBicF6XLV
— takuma@生活相談員 (@takuma3104) November 5, 2020
給与が上がれば質も上がる
そもそも、こんな研修を実施して介護職員の能力の底上げをするよりも、まずは介護職員の給与の底上げが先決ではないでしょうか。給与を上げることができれば今よりも介護業界に人材が流れ、介護職員が増えていきます。介護職員が増えれば、おのずとサービスの質も上がっていきます。つまり、研修を義務化なんてまどろっこしい施策を打たずとも、給与が上がればおのずとサービスの質は上がっていくのです。
だいたい、研修なんて受けたい人が受ければいいんです。強制されて受ける研修にモチベーションは上がらないのは、わたしだけではないはずです。貴重な社会保障費がこんなことに使われてしまうなんて…本当にもったいことだなぁって思います。