ここでは、ショートステイ(短期入所生活介護)の、俗に言う「30日ルール」について解説します。
takuma(@takuma3104 )
生活相談員(社会福祉士・介護支援専門員)。
デイサービスとショートステイの「生活相談員」という仕事を10年以上続けています。
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ショートステイの連続利用は30日まで
ショートステイとは、短期的に施設へ入所することにより、日常生活の介護など必要な支援を受けることができる介護保険サービスです。介護保険で定められたサービスですので、その利用方法には一定のルールが設けられています。
そのルールのひとつに、「連続して利用できる日数は30日」というものがあります。(参考:厚生労働省 『介護サービス情報』)
つまり、ショートステイは31日以上連続して入所することができないんですね。最大で連続30日までの利用と決められています。これが「30日ルール」というものです。
30日を超えて利用すると…
前項で「連続利用は30日まで」と決まっているとお伝えしましたが、実は裏のルールがあります。なんと、30日を超えて利用することができるのです。
ただし、それには条件が2つあります。ひとつは、31日目を介護保険を適用せず全額自費で利用すること。そしてもうひとつは、31日を超えてショートステイを利用することを自治体が認めることです。
31日目を自費負担すること
30日を超えてショートステイを利用するために、31日目は介護保険を通さずに自費でショートステイを利用します。そうすることでショートステイの連続利用が可能になります。「ショートステイの算定は連続して30日まで」と決まっていますので、31日目は介護保険を通さない「自費」であれば利用できるってわけですね。
ちなみに、32日目以降はまた介護保険が適応になります。しかし、32日目を1日目と起算して、連続して30日利用することができます。そして31日目はまた自費での利用となります。
自治体が認めること
表向きは30日までと決まっているため、30日を超えてショートステイを利用するためには、それなりの理由がなくては(作らなくては)いけません。その理由を自治体に承認してもらうと、30日を超えて利用することができます。ケアマネジャーは、この理由届出書を自治体に提出します。
リセットには2泊3日が必要
本来ならあまり30日を超えて利用してはいけないので、一度自宅に帰れるなら帰ってリセットするほうがよいでしょう。ケアマネやショートステイの事業所も、一度は自宅への退所を検討するでしょう。ただし、いったん退所してもその翌日からまた入所しては意味がありません。。翌日にまたショートステイに入所したら、連続利用とみなされてしまうのですす。
連続入所をリセットするためには、退所して丸1日は自宅で過ごさなければなりません。都合2泊3日しないと、連続利用はリセットはされないのです。(参考:WAMNET 『介護サービス関係Q&A』)
ショートステイの事業所は報酬減算
30日を超えてショートステイを利用すると、ショートステイ(短期入所生活介護)の事業所は31目から1日30単位介護報酬が減算されます。
そもそもショートステイは、施設入所(特養)よりも介護報酬が高く設定されています。これは、ショートステイは利用者の入れ替わりが多いので、施設入所よりも介護の負担が多いと評価されているためです。ところが、長期入所になると施設入所者への対応と変わらなくなってきますので、報酬を高く設定している意味がなくなってしまうため、そのぶん減算されてしまうのです。
ショートステイの長期利用減算について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
自己負担が出るリスクあり
ショートステイを長期利用することで、介護度によっては利用限度額をオーバーしてしまうことがあります。その場合、オーバーした分は介護保険の適応外となり、自費(10割負担)での支払いとなりますので、注意が必要です。
おわりに
まとめると以下の通りです。
・ショートステイの連続利用は原則30日
・条件をクリアすれば、30日を超えて利用できる
・31日目は自費利用となる
・退所した翌日に入所した場合も、連続利用とみなされる
・ショートステイ事業所は、長期利用により報酬が減算される
・介護度によっては自己負担に注意
この「30日ルール」、ショートステイの生活相談員だってケアマネジャーだって、正しく認識していないことがあります。そのくらいショートステイのルールって複雑なんです。もっとわかりやすくなってほしいなって思います。
もっとショートステイについて知りたい方は、以下の記事もぜひ参考にしてみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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