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スーパービジョンとは?3つの役割と6つの種類をわかりやすく解説

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「スーパービジョン」という言葉を、介護や福祉の現場で耳にしたことはありますか?聞いたことがあっても、「詳しく説明して」と言われると、なかなか自信が持てない…そんな方も多いかもしれません。

スーパービジョンは、単なる“指導”や“管理”とは違い、福祉・介護従事者の成長や安心のために欠かせない仕組みです。本記事では、スーパービジョンの「3つの役割」と「6つの種類」を中心に、現場で役立つポイントや実際の活用例、メリット・注意点まで、初心者にも分かりやすく解説します。

 

この記事を書いた人

takuma

生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)

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スーパービジョンとは?基本を押さえよう

まず、「スーパービジョンとは何か?」について解説します。

スーパービジョンとは、簡単に言えば「支援者(スーパーバイジー)が、より質の高い支援を行うために、上司や先輩(スーパーバイザー)から助言や指導、サポートを受ける仕組み」のことです。
ここで大事なのは、単なる「上からの指示」ではなく、“共に考え、支え合い、成長していくための関わり”という点です。

用語をおさらい

  • スーパーバイザー:スーパービジョンを「提供する人」(上司・先輩・指導者)

  • スーパーバイジー:スーパービジョンを「受ける人」(部下・後輩・新人)

現場では「教える人・教わる人」の関係に見えますが、良いスーパービジョンは一方通行ではなく、“共に学び合う関係”が理想です。

スーパービジョンの3つの役割(機能)

スーパービジョンには「管理」「教育」「支持」という3つの大切な役割(機能)があります。

1. 管理機能

支援者(スーパーバイジー)の業務内容や手順を管理・調整する役割です。「仕事の進め方が正しいか?」「ミスを未然に防げているか?」など、現場全体の安全と秩序を保つために必要な視点です。
たとえば、新人職員の記録方法やサービス提供の流れをチェックし、「ここはこうすると良いよ」と具体的に教える場面などが該当します。

2. 教育機能

支援者(スーパーバイジー)の知識やスキルの向上をサポートする役割です。
OJT(職場内訓練)のように、ケース検討やロールプレイを通じて専門性を高めます。たとえば、「認知症利用者への声かけ」や「多職種連携のコツ」などをテーマにした勉強会もスーパービジョンのひとつ。
この機能によって職員は成長し、現場力が底上げされます。

3. 支持機能

支援者(スーパーバイジー)を精神的・心理的に支える役割です。介護・福祉現場は悩みやストレスも多く、孤独感や燃え尽き症候群(バーンアウト)になりがち。
定期的な面談や日々の声かけで「ひとりじゃないよ」と感じられる環境づくりが重要です。
上司や同僚が「頑張っているね」「悩んだらいつでも相談して」と気軽にサポートすることが、現場の安定や離職防止にもつながります。

スーパービジョンの6つの種類

スーパービジョンには、現場の状況やニーズに応じてさまざまな方法があります。ここでは代表的な6種類を紹介します。

1. 個別スーパービジョン

スーパーバイザーとスーパーバイジーが1対1で行う形式です。
たとえば、日々のケース記録や支援の進め方について、「この部分はこう工夫してみよう」と個別にアドバイスをもらえます。密度の高い対話ができる分、成長スピードもアップしやすいのが特徴です。

2. グループスーパービジョン

ひとりのスーパーバイザーが、複数のスーパーバイジーとグループで話し合いを行う方法です。
ケース検討やロールプレイを交えて、多様な意見や経験をシェアできます。自分ひとりでは気づけなかった視点やアイデアも得られるため、現場全体のレベルアップにつながります。

3. ピアグループスーパービジョン

スーパーバイザー不在で、スーパーバイジー同士で行うグループスーパービジョンです。
同じ立場の仲間同士で悩みを共有し、お互いにアドバイスし合うことで、“上下関係”に縛られずに率直な意見交換ができます。

4. ライブスーパービジョン

スーパーバイザーが現場で実際にスーパーバイジーの業務を観察・同行し、その場で指導や助言を行うスタイルです。
現場でのリアルな課題や悩みに対して即座にアドバイスがもらえるため、「百聞は一見に如かず」で、理解が深まります。新しい業務にチャレンジするときや、ピンポイントの支援が必要な時に特に効果的です。

5. ユニットスーパービジョン

複数のスーパーバイザーが、1人または複数のスーパーバイジーに対して行う方法です。
様々な立場や専門分野の指導者が関わることで、多角的な視点やノウハウを得られます。たとえば、看護師・相談員・リーダーが合同でアドバイスを行う場合などが該当します。

6. セルフスーパービジョン

自分自身で業務を振り返る自己評価型のスーパービジョンです。
日誌や記録などをもとに「今日はどんな対応ができたか」「次はどう改善するか」と自問自答し、主体的に成長を促します。
セルフスーパービジョンを習慣化することで、自己成長力や問題解決力が格段にアップします。

現場でスーパービジョンを活かすポイント

新人職員への導入事例

新人スタッフは業務や人間関係で悩みやすいもの。個別スーパービジョンやライブスーパービジョンを活用し、「つまずいたときはすぐ相談できる」安心感を作ることで、定着率アップにも効果があります。

中堅・ベテラン職員へのステップアップ

グループやユニット型スーパービジョンを使い、多様なケースや困難事例について多角的な議論を行うことで、経験を積んだ職員同士でもさらなる学びが得られます。

セルフスーパービジョンのすすめ

毎日の振り返りや日報を使い、自己の業務や対応を省みる習慣を身につけることで、忙しい現場でも「なんとなく過ぎてしまう毎日」が「自分の成長につながる毎日」に変わります。

スーパービジョンのメリットと注意点

【メリット】

  • 職員の専門性向上・モチベーションアップ
  • 職場の人間関係・コミュニケーション改善
  • 業務の質向上・ミスや事故の予防
  • 離職防止、バーンアウト予防

【注意点】

  • 一方的な指導にならないよう“対話型”を意識する
  • 忙しさで形骸化しやすいので、定期的に実施する
  • お互いが“安心して話せる関係性”づくりも大切

 

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まとめ

スーパービジョンは介護・福祉の現場で「職員の成長」と「現場の安心」を支える重要な土台です。
“管理”“教育”“支持”の3つの役割と、現場に合わせて選べる6つの種類を上手に活用し、スタッフ全員でより良い職場をつくりましょう。

スーパービジョンを知っていると、現場での悩みや課題が「ひとりで抱え込むもの」から「みんなで乗り越えるもの」へと変わります。
これから実践する方も、すでに取り組んでいる方も、ぜひ自分たちの現場で“スーパービジョンの力”を実感してみてください。