生活相談員の仕事のひとつに、新規利用者の初回面接というものがあります。
これは、利用者側と施設側の初顔合わせの場であり、今後サービス利用をしていく上で、お互いに大切なイベントであります。
わたしはこの初回面接を何度も行っていますが、「もっとこうしておけばよかったのに」とか「ここを聞いておけばよかったなぁ」とか、面接が終わったあとに後悔することがとてもたくさんあります。
やっぱり初対面の人と話をすることって難しいですし、何に気を付けてどんな会話をしたらいいかって、実際に面接をしてるときって忘れちゃったりするんですよね。
初回面接時に気を付けるべき点は色々あると思いますが、ポイントを押さえて行うことができれば、初回面接をより効果的に行うことができます。そして、質の高いサービスを提供することができます。
この記事では、初回面接時で特に重要な3つのポイントを紹介していきたいと思います。
takuma(@takuma3104 )
生活相談員(社会福祉士・介護支援専門員)。
デイサービスとショートステイの「生活相談員」という仕事を10年以上続けています。
このサイト「生活相談員ラボ」では、「現役の強みを生かした、現場感覚のある情報発信」をコンセプトに、生活相談員をはじめたばかりの人やこれから生活相談員になる人の役に立つ記事を書いています。
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初回面接において重要なポイントは、次の3つです。
① 雑談をする
② リスクの把握
③ 相手の求めを理解する
ひとつづつ解説していきます。
雑談をする
ケアマネジャーからの紹介を受けて、生活相談員は利用者やその家族と初めてお会いすることになります。初対面ですので、お互いにお互いのことを何も知らない状態です。
この状態からいきなりサービス契約の話や施設概要の話をすると、お互いに緊張して体が固まった状態で本題に入ってしまうことになります。これではよい面接とはなりません。
まずは十分に雑談をする時間を作りましょう。
初回面接の目的に、利用者、家族との信頼関係を築くというものがあります。
雑談から信頼関係は築けます。
雑談の中からお互いの共通点を探すことは、信頼関係を築くうえで効果的です。
例えば、出身が同じだったり趣味が一緒だったりなど、どんなにささいなことでもOKです。
共通点が見つかるとお互いの距離が縮まって、信頼関係を築きやすくなります。
また、相談員側としてもそういった会話をしておくことで、会話の内容が記憶に残り、その人のことを覚えておきやすくなるというメリットがあります。
あらかじめ顔を合わせて雑談して信頼関係を築いておくことで、利用者が初めてサービスを利用するときのハードルを少し下げることができます。
初めて行くところに、この前会って話をしたあなたがいるということは、利用者にとってはちょっとした安心材料になりますね。
できることなら、初回利用のときは自宅へのお迎えも生活相談員が行くとよいと思います。
意図的に雑談を取り入れ、決して事務的な面接にならないようにしたいですね。
リスクの把握
サービス利用中に起きそうなリスクをあらかじめ面接時に把握して、その時の対応について確認しておきましょう。
例えば、歩行時の転倒のリスクであったり、持病があって急変するリスクがあったりといったことです。
リスク管理の視点は、生活相談員にとって超重要ポイントです。
クレームもらいたくないですからね。(ポイント1に書いた雑談をするということも、信頼関係を築いておくことでクレームを起きにくくさせるという目的があります。)
転倒のリスクであれば、普段どんな歩き方をしているのか、どんな状況で転んだことがあるのかなどを確認します。
そして、施設側でできる対応についてお伝えします。(例えば、歩く時には職員が付き添うようにするとか)
ここで注意したいことは、施設側の対応には限界があるということです。
例えば、歩行時にふらつきが強く転倒リスクが高いのに、本人は認知症でその自覚がなて、ひとりで歩きだすことが多く、ご自宅でも転倒を繰り返しているというケースがあったとします。
家族としては、サービス利用中は職員の目が届くからちゃんと対応してくれるだろうという思いでいるかもしれませんが、実際問題としてこのケースでサービス利用中に転倒ゼロで過ごせるかというと、99%無理です。
よほど運がよくない限り、まず間違いなく転びます。
通常の介護サービスであれば、利用者の動きを逐一把握して100%行動を監視するということは不可能だからです。
施設の対応の限界について説明をして、もし家族が「それでも転ばないように何とかしてほしい」と望むようであれば、「うちのサービスの利用は難しいですね」という判断も必要になってくるかもしれません。
リスクに関しては、サービスが利用開始になってから説明してはもう遅いので、あらかじめ初回面接時に話を詰めておくとよいです。
相手の求めを理解する
利用者があなたの事業所を利用する目的は何でしょうか?
利用者のニーズはケアマネジャーの作成するケアプランを見て把握する、という事業所もあるかもしれません。
しかし、それでは相談員があらかじめ面接をする意味がなくなってしまいます。(そもそも、ケアプランが利用者の意向をきちんと引き出して作成されているとは思えませんし… 笑 )
自分の事業所に相手が何を期待しているかを把握することは、生活相談員の大切な仕事です。
相手がうちの事業所に何を期待しているのかがわかっていないと、相手の求めるサービスが展開できないですよね。
例えば、初回利用のAさんがいるとします。
お風呂の時間となり、スタッフがAさんに声をかけると、Aさんは頑なに拒否します。
ケアプランには入浴って書いてあるからと、必死になってあの手この手で声かけをするスタッフ。
ついに入浴していただくことができず、相談員が家族へ報告を入れると、家族からは「家で毎日入っていますから、無理に入れなくていいですよ」との一言。
Aさんによくよく話を聞くと、「私は家だと何もすることがないから、デイサービスでみんなとお話がしたかったの」とのお話が…
相手のニーズがわかっていないと、こんなことになることもあります。
“楽しくおしゃべりして過ごしたい”という目的の人にいくら“いいお風呂”を売っても、買いたいと思ってもらえません。
“楽しくおしゃべりして過ごしたい”人には、“楽しい会話のできる環境”を売る必要があります。
相手の求めによって、事業所が提供するサービスの内容は変わってきます。
ケアプランには書いていない利用者の気持ちや家族の思いを、面接でどれだけ引き出して把握することができるかが、相談員の腕の見せ所です。
相手の求めを理解して、そこにポイントを絞ってサービスを展開していきましょう。
まとめ
初回面接をきちんと行っておくことで、利用者側は安心してサービスを利用することができます。
事業所側はリスクマネジメントをすることができ、利用者の利用満足度もアップさせることができます。
生活相談員の担う役割は大きいですね。
ポイントを押さえて、効果的な初回面接を行っていきたいものです。
① 雑談をする
② リスクの把握
③ 相手の求めを理解する
最後までお読みいただきありがとうございました。
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