「生活相談員」っていったい何なの?
みなさんこんにちは。takuma(@takuma3104 )といいます。
takuma
生活相談員(社会福祉士・介護支援専門員)。
デイサービスとショートステイの「生活相談員」という仕事を10年以上続けています。
このサイト「生活相談員ラボ」では、「現役の強みを生かした、現場感覚のある情報発信」をコンセプトに、生活相談員をはじめたばかりの人やこれから生活相談員になる人の役に立つ記事を書いています。
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大学を卒業してから医療・介護業界に身を置き、そのうちの10年位は、「生活相談員」として過ごしています。
ここでは、「生活相談員って何なのさ?」という問いに対して、教科書的な答えではなく、わたしの経験を踏まえたうえでわかりやすく解説していきたいと思います。
生活相談員は「何でも屋」です
ズバリ、生活相談員は介護施設の「何でも屋」です!
身もふたもない答えだね…
教科書的な答えをするとしたら
生活相談員は、利用者のニーズに向き合い課題を明確にし、多職種と連携を図りながら自立支援を実現する、ソーシャルワークの専門職である。
こんな感じになります。
もちろん、ソーシャルワークは生活相談員の本文ですからね。…わたしも日々ソーシャルワークを意識して、仕事してますよ。粛々と。
ですが、ソーシャルワークの専門職という役割は、生活相談員の業務の一面に過ぎません。
リアルな話をします。
ソーシャルワークだけやってればいいっていうほど、現実は甘くありません。
きれいごとを抜きにして、生活相談員の仕事は多岐にわたります。
だから、生活相談員は「何でも屋」なのです。
「何でも屋」あるある
介護施設では、蛍光灯の交換とか備品の補充など、回りまわって生活相談員がやらなくちゃいけなくなる仕事ってあると思います。
午前中は乾燥機の故障でメーカー立ち合い
午後はボイラーの故障でガス屋に立ち合い
生活相談員やってると電気とガスにも詳しくなれます— takuma@生活相談員 (@takuma3104) December 14, 2020
こんなことも、日常茶飯事です。
まぁ、介護職員や看護職員は常に利用者に付きっ切りですからね。
このような雑務を生活相談員が引き受けなければならないのは、仕方ない面もあると思っています。
代わりにやってくれる人を雇えるほど、儲かっている業界じゃありませんからね。
カツカツの人員で回していかなければならないのが、この業界の現実です。
「何でも屋」であることが生活相談員の専門性
「ソーシャルワークの専門性を発揮できず、何でも屋であることに悩みを抱えている」っていう生活相談員の方、いるかもしれませんね。
そんな方にこれだけ言わせてください。
むしろ、何でも屋であることが生活相談員の専門性です。
「社会福祉士免許がなくてもできる仕事はいたしません」なんて言っていいのは、大門先生だけです。(そんな仕事ないですけどね。名称独占だから…)
そんなの嫌だ!わたしはソーシャルワーク一本で食べていきたいんだ!
そう思っているあなた。
もしかしたら、あなたは生活相談員に向いていないかもしれません。
生活相談員以外の社会福祉専門職や、介護福祉士や看護師、理学療法士のようにスペシャリストの道へ進むことをおすすめします。
生活相談員として働く以上は、潔く「何でも屋」であることを認めてしまったほうが、仕事がやりやすくなります。
それに、「何でも屋」とは、別に悪い意味ではありません。
介護事業所の専門職には、大きく二つの立ち位置があります。一つは、「広範囲にさまざまな知識・技術・経験を持つ専門職」であり、もう一つは「特定の分野に深い知識・優れた技術をもつ専門職」です。
特養・デイサービスの生活相談員 仕事ハンドブック 役割が見える、業務の進め方がわかる [ 梅沢 佳裕 ] より引用
前者を「ゼネラリスト」といい、後者を「スペシャリスト」といいます。
介護福祉士や看護師、理学療法士などはスペシャリストという立ち位置の専門職です。これに対して、生活相談員はゼネラリストという立ち位置の専門職です。
介護職員であれば「おもに利用者の日常生活の介護を行う」、看護職員であれば「おもに利用者の健康状態の管理を行う」と、役割が明確に決められています。
しかし、生活相談員はその業務内容がどこにも定められていません。
このことからも、生活相談員に定型業務はない、つまりゼネラリストとして多岐にわたって活躍することが求められている、ということがわかります。
「何でも屋」つまりゼネラリストとしての立ち位置こそが、生活相談員の専門性であるといえます。
「何でも屋」を極めよう
ここで、「何でも屋」つまりゼネラリストの長所と短所について簡単に説明します。
長所
・知識が豊富で、広い視野をもてる
・決定的な弱点がない
短所
・これといった武器がなく、強みがない
「何でも屋」(ゼネラリスト)の短所として、「これという武器がなく、強みがない」ということがあげられています。
ですが、生活相談員は、「ソーシャルワーク」というスペシャリスト性も持ち合わせています。そこを磨いていくことで、他の専門職にない武器を持つことは可能です。
そこにゼネラリストの長所である「豊富な知識と広い視野」を磨いていくことができれば、介護業界における究極の「何でも屋」になることができるというわけです。
わたしは、生活相談員の最大の目的は、施設を利用する人を満足させることだと思っています。
そのために、あの手この手を駆使して任務を遂行していくわけです。
「あの手この手」のなかにはもちろんソーシャルワークも含まれますが、それだけでは不十分です。
生活相談員だから、相談援助だけやってればいいというわけではありません。
雑用だってします。送迎にだって出ます。入浴介助だってします。
生活相談員がきれいごとだけを言っていたら、介護施設は回らないのです。
自分の持っている能力、技術を総動員して業務をこなす、まさに「究極の何でも屋」。それが生活相談員です。
参考文献:特養・デイサービスの生活相談員 仕事ハンドブック 役割が見える、業務の進め方がわかる [ 梅沢 佳裕 ]
生活相談員について書かれた、数少ない本のうちのひとつ。
ハンドブックと言う割には大きすぎる本です。
買うならkindleがおすすめ。
内容は、「THE教科書」って感じですけどね。
同じ梅沢さんの本なら、こっちのほうが読みやすいかも。
生活相談員—その役割と仕事力 梅沢 佳裕9784876723102【中古】中古しかないみたいですが…。