介護保険制度において生活相談員は、相談援助を行う役割が与えられています。
では、生活相談員として相談援助を行うためには、どのような資格が必要になるでしょう?
生活相談員になるためには、社会福祉士や精神保健福祉士といった相談援助の専門資格を取得する他、いくつかの方法があります。必要な要件を満たさないと、生活相談員になることはできません。
この記事では、生活相談員になるために必要な資格や方法について詳しく解説します。
どうすれば生活相談員になれるのか詳しく知りたい方は、ぜひこの記事をチェックしてみてください。
takuma(@takuma3104 )
生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)。
デイサービスとショートステイの「生活相談員」という仕事を10年以上続けています。
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生活相談員の資格要件を定める法令
生活相談員になるための要件は、「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」と「社会福祉法」、「社会福祉法施行規則」に記載されています。
まずは、「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」の内容をみていきましょう。
特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準
「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=411M50000100046)には、以下の記載があります。
生活相談員は、社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者でなければならない。(特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準 第5条 2)
つまり、生活相談員になるためには、社会福祉法に掲げられた要件を満たす必要があります。
では次に、「社会福祉法」の内容をみていきましょう。
社会福祉法
「社会福祉法」(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=326AC0000000045)の第19条第1項には、以下のように書かれています。
1.学校教育法に基づく大学、旧大学令に基づく大学、旧高等学校令に基づく高等学校又は旧専門学校令に基づく専門学校において、厚生労働大臣の指定する社会福祉に関する科目を修めて卒業した者
2.都道府県知事の指定する養成機関又は講習会の課程を修了した者
3.社会福祉士
4.厚生労働大臣の指定する社会福祉事業従事者試験に合格した者
5.前各号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者として厚生労働省令で定めるもの
(社会福祉法 第19条 第1項)
この要件のうち、1.と3.は社会福祉主事のことを指しています。また、4.の社会福祉事業従事者試験は現在実施されていません。
そして、「5.前各号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者」については、「社会福祉法施行規則」に記載されています。ですので、次は「社会福祉法施行規則」の内容をみていきましょう。
社会福祉法施行規則
社会福祉法で定められた生活相談員の要件のうち、「5.前各号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者」については、「社会福祉法施行規則」に定められています。
「社会福祉法施行規則」(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=326M50000100028_20221012_504M60000100146)の第1条の2の内容は、以下の通りです。
社会福祉法第19条第1項第5号に規定する厚生労働大臣の指定する厚生労働省令で定める者は、次のとおりとする。
1 精神保健福祉士
2 学校教育法に基づく大学において、法第19条第1項第1号に規定する厚生労働大臣の指定する社会福祉に関する科目を修めて、学校教育法第102条第2項の規定により 大学院への入学を認められた者
(社会福祉法施行規則 第1条の2)
この要件により、精神保健福祉士も生活相談員になるための要件であることがわかります。
生活相談員になるために必要な資格
ここまで、生活相談員になるための要件について、3つの法令から確認してきました。
3法令に記載された生活相談員になるための要件をまとめると、次のようになります。
・社会福祉主事任用資格
・社会福祉士
・精神保健福祉士
それぞれどのような資格でしょう?ひとつひとつ解説していきます。
社会福祉主事任用資格
社会福祉主事任用資格とは、本来は公務員がケースワーカーなどの業務を行うときに必要な資格です。それと同時に、社会福祉に関する基礎資格としても用いられています。
社会福祉主事任用資格は、大学等で厚生労働大臣が指定する科目を履修して卒業する他、指定の養成機関を修了することで取得可能です。
社会福祉士
社会福祉士とは、「社会福祉士及び介護福祉士法」によって定められた、社会福祉に関する専門的知識や技術を持つ国家資格です。社会福祉士国家試験に合格し登録をすることで、社会福祉士を名乗ることができます。
社会福祉士の主な役割は、日常生活に支障がある方の相談に応じ、助言や指導、連絡調整などの援助を行うことです。
精神保健福祉士
精神保健福祉士とは、「精神保健福祉士法」によって定められた、精神保健福祉に関する専門的知識や技術を持つ国家資格です。精神保健福祉士国家試験に合格し登録をすることで、精神保健福祉士を名乗ることができます。
精神保健福祉士の主な役割は、精神に障害を抱える方の相談に応じ、助言や指導などの援助を行うことです。
生活相談員になるために、国の法令によって認められている資格は、以上の3つです。
しかし、自治体によっては、これら3つの資格の他に生活相談員になるための資格を定めているところがあります。それはどんな資格でしょうか?
次は、自治体によって生活相談員になることが認められている資格について解説します。
自治体が認める生活相談員の資格
生活相談員になるために国が定めた資格は、社会福祉主事任用資格、社会福祉士、精神保健福祉士の3つです。
しかし、自治体によっては、生活相談員になるための条件として、これら3つの資格以外にも認めている資格があります。
生活相談員になるための条件として認められる場合がある資格は、以下の2つです。
・ケアマネジャー
・介護福祉士
それぞれどのような資格でしょう?次で解説していきます。
ケアマネジャー
ケアマネジャーとは、介護保険法に位置づけられた職種です。介護支援専門員とも呼ばれます。
ケアマネジャーの主な役割は、要介護者や要支援者の相談を受け、ケアプランを作成し、連絡調整等の支援を行うことです。都道府県が実施する「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格して、研修を終了し登録を行うと、ケアマネジャーになることができます。
介護福祉士
介護福祉士とは、「社会福祉士及び介護福祉士法」によって定められた、介護に関する専門的知識や技術を持つ国家資格です。「介護福祉士国家試験」に合格し登録をすることで、介護福祉士を名乗ることができます。
介護福祉士の主な役割は、介護業務や介護に関する指導などです。
無資格でも生活相談員はできる?
生活相談員になるための資格について解説してきました。
では、無資格だと本当に生活相談員になることはできないのでしょうか?
実は、自治体によっては何の資格を持たない無資格者であっても、生活相談員になれる場合があります。なぜなら、生活相談員になるための条件は、自治体ごとに決めているからです。
たとえば、仙台市は「指定施設において通算して3年以上相談援助、看護又は介護の業務に従事した経験のある者」を、生活相談員に従事できる資格として設定しています。
このように、自治体によっては、無資格でも生活相談員になることが可能です。
まとめ
生活相談員になるために必要な資格や方法について解説しました。
無資格でも生活相談員にはなれますが、やはり資格を持っていたほうが生活相談員としてスキルアップしやすいと言えるでしょう。
生活相談員になりたいとお考えの方は、ぜひこれらの資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。