介護保険情報

【2021年度改定】デイサービス個別機能訓練加算(Ⅰ)イの算定方法

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実は、うちのデイサービスで今まで算定していた「中重度者ケア体制加算」が、諸事情あって来年度から算定することができなくなってしまいました。

このままだと当事業所に入る介護報酬が減ってしまいます。そこで新たに取れる加算はないか検討してたどり着いたのが、この「個別機能訓練加算(Ⅰ)イ」です。

しかしまぁ、、どの加算もそうですけど早見表や解釈通知を読み込んで、どうすれば算定できるのかを調べるのには時間がかかりますね。わたしも仕事の合間をぬって調べて、やっと理解することができました。

貴重な時間を使ってせっかく得ることができたこの、「個別機能訓練加算(Ⅰ)イ」の知識。これは、わたしと同じように個別機能訓練加算(Ⅰ)イの算定方法を調べて、このサイトまで辿り着いてくださったあなたとも情報共有すべき!との思いから、今これを書いています。(わたしの備忘録も兼ねて…)

それでは、「個別機能訓練加算(Ⅰ)イ」の算定方法についてわかりやすく解説していきたいと思います。

この記事を書いた人

takuma@takuma3104

生活相談員(社会福祉士・介護支援専門員)。

デイサービスとショートステイの「生活相談員」という仕事を10年以上続けています。

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個別機能訓練加算とは?

個別機能訓練加算とは、高齢者が住み慣れた地域で居宅において可能な限り自立して暮らし続けることを目的とし、生活機能の維持・向上のための個別機能訓練を実施することで算定できる加算のことです。

ここでは、デイサービス(通所介護)における個別機能訓練加算(Ⅰ)イについてとりあげています。

個別機能訓練加算の算定要件

概要

個別機能訓練加算(Ⅰ)イの算定要件についての概要は、以下の通りです。

(参考:厚生労働省 「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」

より詳しくはこちら(厚生労働省 「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理及び口腔管理の実施に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」)

算定要件の詳細について、ひとつひとつ確認していきたいと思います。

人員基準

「専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を1名以上配置していること。」

Q. 理学療法士等とは?

A. 専ら機能訓練を実施する理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師 、あん摩マッサージ指圧師、はり師又はきゅう師

(はり師及びきゅう師については、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する機能訓練指導員を配置した事業所で6月以上機能訓練指導に従事した経験を有する者に限る。)

Q. 配置基準内の看護職員だけでも算定は可能?

A. 看護師と機能訓練指導員を兼務する場合、デイサービスの人員配置基準を満たしていれば配置基準を満たせるため、個別機能訓練加算の算定は可能です。

看護師の配置は必要だけど、看護職員としての勤務時間までは定められていないから、看護職員として業務に従事していない時間帯は機能訓練指導員として勤務していいよっていう解釈です。

(参考:介護保険最新情報Vol.952「令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.3)」問56

ニーズ把握・情報収集

「通所介護・地域密着型通所介護事業所の機能訓練指導員等が、利用者の居宅を訪問し、ニーズを把握するとともに、居宅での生活状況を確認する。」

Q. 機能訓練指導員等とは?

A. 機能訓練指導員、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種の者。

Q. ニーズの把握、居宅での生活状況の確認とは?

A. ニーズの把握のためには「興味・関心チェックシート」を活用します。居宅での生活状況確認のためには「生活機能チェックシートを活用します」ともに厚生労働省が様式を作成しています。

【興味・関心チェックシート】

【生活機能チェックシート】

参考:厚生労働省 別紙様式3-1(興味・関心チェックシート) 別紙様式3-2(生活機能チェックシート)

計画書の作成

「居宅訪問で把握したニーズと居宅での生活状況を参考に、多職種共同でアセスメントを行い、個別機能訓練計画を作成。」

Q. 多職種共同でアセスメントとは?

A.機能訓練指導員、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種の者により、個別機能訓練計画の内容を話し合うということです。

Q. 個別機能訓練計画書の書式は?

A.厚生労働省のホームページに参考の様式が掲載されています。

【個別機能訓練計画書】

参考:厚生労働省 別紙様式3-3(個別機能訓練計画書)

Q. 計画書に本人・家族の署名・捺印は必要?

A.個別機能訓練計画書に本人・家族の署名・捺印を求める記載はありません。その代わり、「利用者又はその家族に対し、機能訓練指導員等が個別機能訓練の内容について分かりやすく説明を行い、同意を得ること。またその際、個別機能訓練計画を交付(電磁的記録の提供も含む)すること」とあります。(参考:厚生労働省 「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理及び口腔管理の実施に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」

署名・捺印を求める記載はないものの、説明し同意を得た証拠を残す必要がありますので、何かしらの方法をとる必要があります。

機能訓練の項目

「利用者の心身の状況に応じて、身体機能及び生活機能の向上を目的とする機能訓練項目を柔軟に設定。」

「訓練項目は複数種類準備し、その選択に当たっては利用者の生活意欲が増進されるよう利用者を援助する。」

Q.訓練項目は1種類じゃダメ?

A.複数の種類の訓練項目を設けることで、利用者が主体的に訓練項目を選択し生活意欲が増進され、機能訓練の効果が増大されると考えられています。そのため、1種類の訓練項目ではNGとなります。

なお、たとえ訓練内容が類似したものであっても内容がまったく同じでなければ複数の項目として認めらます。

(参考:介護保険最新情報Vol.952「令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.3)」問63 問64

Q.具体的な機能訓練項目は?

A.例として、歩行機能を向上させる訓練(筋力向上訓練、耐久性訓練、屋内外歩行訓練)、杖を使用する訓練、車いすを使用する訓練などが挙げられています。

(参考:厚生労働省 「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理及び口腔管理の実施に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」

訓練の実施方法

「5人程度以下の小集団又は個別で行う。」

「機能訓練指導員が直接実施する(介護職員等が訓練の補助を行うことは妨げない)。」

Q.機能訓練指導員以外の実施はできない?

A.機能訓練指導員の補助者として看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種の者が個別機能訓練に関与することは差し支えありません。しかし、あくまでも「機能訓練指導員が直接個別機能訓練を行っている」ことが前提となっています。

(参考:厚生労働省 「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理及び口腔管理の実施に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」

 

ここにボックスタイトルを入力

個別機能訓練加算の算定について、具体的な訓練時間の定めはありません。

(参考:介護保険最新情報Vol.952「令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.3)」問65)ここに本文を入力

ここにボックスタイトルを入力

訓練の実施回数は、概ね週1回以上実施することを目安としています。

(参考:厚生労働省 「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理及び口腔管理の実施に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」

進捗状況の評価

「3ヶ月に1回以上実施し、利用者の居宅を訪問した上で、居宅での生活状況を確認するとともに、当該利用者又はその家族に対して個別機能訓練計画の進捗状況等を説明し、必要に応じて個別機能訓練計画の見直し等を行う。」

算定のデメリット

書類と記録の業務量増

個別機能訓練加算(Ⅰ)イを算定するためには、利用者ごとに個別機能訓練を計画して実施をしなければなりません。また、3ヶ月に1回評価を行い、計画の見直しもする必要があります。新たに算定しようとする場合、これらの事務的な負担が多くのしかかってきます。

看護師の業務量増

当事業所は機能訓練指導員を看護師が兼ねています。今までの業務にプラスして直接利用者に機能訓練を実施することは、看護師の業務負担となります。

算定のメリット

利用者ひとりあたり1日56単位の報酬増

当事業所は中重度ケア体制加算(45単位/日)が算定できなくなってしまいましたので、個別機能訓練加算(Ⅰ)イ(56単位/日)による収入は大きいです。中重度ケア体制加算を算定していたときよりも増収となるのは魅力的です。

【結論】算定は見送り

個別機能訓練加算の算定方法、算定のメリットデメリットを踏まえて、当事業所で算定するかどうか検討しました。その結果、当事業所では個別機能訓練加算を算定するのを見送るという結論になりました。

「業務負担が大きすぎて仕事が回らなくなる」ということがいちばんの理由です。いくらデイサービスの収入が増えるとはいえ、現実問題として業務が回らなければ職員が疲弊してしまいますからね。(このあたり、次回の改定でなんとかしてほしいものです。)

それに付随して、事業所内のICT化を進め業務効率をアップすることによって個別機能訓練加算をにかける時間を捻出しよう、という目標もできました。というわけで、当面は業務の効率化に向けて動いていくことになりそうです。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

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