介護・福祉情報室

なぜショートステイをケアプランに位置づけないのか?

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どーも!

takumaです!

わたしは現在、デイサービスとショートステイの生活相談員をしています。

生活相談員歴としては、かれこれ10年くらいになります。

 

わたしはショートステイの生活相談員をしているので、ケアマネジャーからショートステイのご利用について相談を受けることがあります。

その相談の中には「緊急でこれからショートステイを利用したい」というものもあります。

困った時に頼りにしてもらえるのはとてもありがたいのですが、その相談の多くは受けられていません。

正直、そんな急に受けられません。

「もっと前もって相談してくれていたらよかったのに」

という気持ちです。

なぜ、ケアマネジャーはあらかじめケアプランにショートステイを位置づけないのでしょう?

 

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新規利用者は大歓迎

ショートステイの生活相談員は、常に稼働率を意識しています。

「空き部屋は少なくし、常に部屋を埋めておきたい」

と思っています。

でないと、収入が減ってしまいますので。

だから、ケアマネジャーからショートステイの利用相談が来ることは、とても嬉しいことなのです。

地域によってはショートステイの数が少なく、

「常に満員御礼。営業せずとも利用者がたくさんいて、利用を断るのが大変」

というところもあるかもしれません。

そういったレアケースはあるにせよ、基本的なショートステイの相談員のスタンスとしては、

「せっかくいただいた相談をどうにかして利用につなげたい」

というのが一般的であります。

 

ショートステイの利用の流れ

ショートステイを利用してもらうために、施設側は以下の段取りを踏みます。

利用者の状態確認

まず、その人がどういう人かを確認します。

どんな介助が必要なのか、どんな病気を持っているか、医療的な処置は必要か、どんな性格か、などなど…

ケアマネが把握している情報だけでは不足している部分もありますので、なるべくなら一度お会いして確認したいところです。

その際に、ショートステイの利用にあたってどのような意向があるのか、本人から直接確認します。

不安に思っていることはその場でご説明をします。

合わせて家族とも面談をして、同じく意向や不安について確認をします。

 

担当者会議

ショートステイを利用する前には、事前に担当者会議を行わなければなりません。

ショートステイの場合、緊急時は後日行ってもよいという例外は設けられていますが、基本は事前に行います。

ショートステイでどのようなサービスを受ける必要があるのか、本人、家族、ケアマネ、サービス事業者が集まり、ケアの方向性を共有します。

 

契約

利用前には必ず契約書を取り交わします。

事業所は丁寧にサービス内容の説明を行い、納得してもらったうえで署名、捺印をしてもらいます。

ここで認識にずれが生じてしまいますと、後々「こんなはずじゃなかった」「説明を受けていない」と思われてしまいますので、丁寧にわかりやすく伝える必要があります。

 

受けたくても受けられない

このように、ショートステイを利用するためには、多くの手続きが必要になります。

「ホテルのように、泊まりたいからといってすぐには泊まれない」

ということです。

そしてこれが、急にショートステイを利用したいと言われても利用できない理由です。

つまり、利用までに事前の準備が必要なのです。

もし、事前準備ができずに中途半端な状態で利用者を受け入れてしまったら、どうなるでしょう。

まず、どういったケアが必要で、どういった気持ちでいるのかがわからないまま受け入れますので、利用者に迷惑がかかります。

サービスの内容も説明できていませんので、家族へも迷惑がかかります。

ショートステイのスタッフだって、どうケアしたらよいのかわからず混乱してしまいます。

こういった状況では適切なサービス提供が困難となり、本来ケアマネジャーが意図した計画とはまるで別のものになってしまいます。

つまり、急なショートステイの受け入れは、誰も得をしないのです。

だから、事業所側としては急なショートステイの依頼を受けたくないというわけです。

「時間的余裕を持って、前もって準備を整えたうえで安全に受け入れたい」

というのが相談員のホンネです。

 

なぜプランニングしないのか?

では、なぜケアマネジャーは前もってショートステイの利用をケアプランに載せておかないのでしょうか?

もし、なにかあったときにショートステイが必要であることが予想できていれば、あらかじめケアプランに記載しておいて、担当者会議からショートステイの契約までを済ませておけばよいのです。

そうすれば、何かあったらすぐにショートステイをすぐ利用できる状態にできます。

(ただし、慢性的にショートステイが不足している地域は除きます。

たとえその事業所と契約を結んでいたとしても、その事業所が空いていなかったら、その都度別の事業所を当たらなければなりませんので…

その地域のショートステイ全てと契約を結んでおくというのも、現実的ではありませんから。

ある程度ショートステイが豊富な地域である、ということが前提となります。)

 

それをしないのは、ケアマネのアセスメント不足が要員であるとわたしは考えます。

利用者本人は、介護者がいることでその生活が成り立っています。

その介護者に何かあって介護困難となったら、本人の生活も成り立たなくなってしまうということは目に見えています。

もし介護者が高齢であったり、ひとりしかいなかったりすると、おのずとショートステイがケアプランに位置づけられるはずです。

ショートステイを利用して急場をしのぎ、その先のことを考える時間を作るためです。

在宅での生活を考える上で、介護者の介護力のアセスメントをしておくことも、ケアマネには求められているはずです。

ケアマネも新規担当のケースでない限り、「急にショートステイが必要になったから」と利用の相談をしてくるケアマネは、同時に自らのアセスメント力の低さをさらしているわけです。

 

まとめ

もし少しでも利用する可能性があるのであれば、わたしはあらかじめショートステイをケアプランに位置づけておくことをおすすめします

あらかじめ位置づけておくことによって、利用者、家族、事業所それぞれにメリットがあるからです。

利用者とその家族は、もしものときでも大丈夫という安心感を得ることができます。

いわば保険的な役割です。

しかも、保険はお金がかかりますが、ショートステイは利用せずに契約だけならタダでできます。

もしそれでも心配なら、一度利用してみてどんなものか体験しておくということもできます。

事業者側も、利用者がどんな方なのかあらかじめ把握できて、急な利用となっても慌てず対応ができるというメリットがあります。

一度体験利用してもらっておくと、なおさらよいですね。

このように、ショートステイをさらにうまく活用してみてはいかがでしょうか。

 

最後までお読みいただいて、ありがとうございました。

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