2020年6月1日付で、厚生労働省から介護報酬の特例ルールが発表され、同じく6月1日から算定できるようになりました。
突然過ぎる!寝耳に水とはまさにこのこと!
こんにちは。生活相談員のtakuma(@takuma3104 )です。
なんかだもう、話が突然過ぎて…
わたしは運よくtwitterのタイムラインで流れてきたのを見て、知ることができたのですが、
それでも6月の5日に知りましたよ…
その時点でもう、取り扱いが開始されてるっていう…
「知らないあなたが悪いんでしょ」って言われてしまえばそれまでですが、
正直、「現場に周知されずに始まる制度って、どうなの?」って思いはあります。
なんてグチはさておき、
大急ぎでこの「特例ルール」なるものを調べました。
特例ルールの目的
なぜ急にこの特例ルールができたのか?
それは、デイサービスやショートステイなどの通所系サービスの、
新型コロナウイルス感染拡大防止への対応を適切に評価する
という観点から創設されたものです。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大防止への対応を評価したいのであれば、通所系(短期入所を含む)サービスに限らず、訪問サービスや入所サービスも含まれるべきです。
通所系(短期入所を含む)サービスだけが苦労をしているわけではありませんからね。
訪問サービスや入所サービスがこの特例ルールに含まれず、通所系(短期入所を含む)サービスだけが対象となっているのは、
通所系(短期入所を含む)サービスの収入減が他のサービスよりも大きいため
であると考えることができます。
https://www.joint-kaigo.com/articles/2020-06-12.html
つまり、コロナウイルス感染症により経営にダメージを受けた通所系サービスの救済措置という意味合いが強いわけです。
対象となる介護サービスは?
通所系サービスと短期入所系サービスが、今回の特例ルールの対象となります。
具体的には、以下の通りです。
・通所介護
・通所リハビリテーション
・地域密着型通所介護
・(介護予防)認知症対応型通所介護
・短期入所生活介護
・短期入所療養介護
やはり新型コロナウイルスの影響で、特に通所系(短期入所も含む)サービスの事業収入の落ち込みが、他のサービスと比べて大きいようですので、その辺を加味して対象となるサービスが決められたのでしょう。
ちなみにわたしはデイサービスとショートステイの生活相談員をしていますので、両サービスとも該当になってます。
うちも相当落ち込みましたからね、、収益 (笑)
特例ルールの内容
通所介護
気になる内容についてです。
まず、通所介護の内容についてまとめていきます。
2区分上の報酬区分が算定可
通所介護は、
提供したサービス時間より2区分上の報酬区分を算定してよい
というルールが新たに加わりました。
うちのデイサービスの場合、「7時間以上8時間未満」のサービス提供時間となっていますので、
その2区分上、つまり「延長加算(9時間以上10時間未満)」の算定が可能になります。
通常規模で要介護3の人の場合、
「7時間以上8時間未満」は887単位
「延長加算(9時間以上10時間未満)」は952単位ですので、
887単位 → 952単位
つまり、
65単位 が追加されるわけですね。
算定回数に上限あり
2区分上の報酬区分で、その月のすべての利用実績を算定できるわけではありません。
算定できる回数には上限が決められています。
1ヵ月のサービス提供回数を3で割った数(端数切上げ)と4回を比べて、少ない方の数
だけ、算定ができます。
つまり、その月に3回利用した人は 3(回)÷ 3 = 1 で、月に1回算定
6回利用した人は 6(回)÷ 3 = 2 で、月に2回算定
10回利用した人は 10(回)÷ 3 = 3.33…( →端数切上げだから4 )で、
月に4回算定
15回利用した人は 15(回)÷ 3 = 5 ( →4と比べて大きくなるので4)で、
月に4回算定
のように、最大でも月4回に限って算定が可能です。
「4時間以上5時間未満」より短いサービス提供区分の事業所は、月に1回しか算定ができないよ
短期入所生活介護
次に、短期入所生活介護の内容です。
短期入所生活介護は、
1ヵ月のサービス提供日数を3で割った数(端数切上げ)の日数分、緊急短期入所受入加算の算定が可能
になりました。
その月に2日利用したの人の場合 2(日)÷ 3 = 0.66…( →端数切上げで1 )
で、緊急短期入所受入加算を月1回算定
月に5日利用した人は 5(日)÷ 3 = 1.66…( →端数切上げで2 )
で、緊急短期入所受入加算を月2回算定
月に30日利用した人は 30(日)÷ 3 = 10
で、緊急短期入所受入加算を月10回算定
となります。
「認知症行動・心理症状緊急対応加算」を算定している場合や、本当に緊急で「緊急入所受入加算」を算定した場合のルールは、別途あるみたいだね
特例ルールの問題点
利用者負担が発生する
コロナウイルスの影響で、特に通所系サービスは他のサービスよりも収入減となっています。
このまま国がなにもせずにいたら、倒産する通所系サービスが急増するのは明らかです。
通所系サービスが一気に潰れてしまっては、国としても困るわけです。
だから、そこにお金を注入した。
ここまでは理解できます。
問題はその先で、この特例ルールはサービス利用者個人に一部負担を強いてしまっているのです。
新型コロナウイルスが介護施設に及ぼした影響を国難ととらえ、税金という形で広く全国民に負担を求めることはあったとしても、その介護サービスの利用者個人に負担を求めるのは、違うんじゃないかなぁって思います。
また、区分支給限度額は変わらない、ということも重要なポイントです。
つまり、この特定ルールを算定したことで支給限度額を超えてしまう利用者は、保険適応されない負担、つまり自費負担がでてしまうことになります。
すでに限度額をオーバーしている利用者は、この特定ルール分の単位数が保険適応されず、全額利用者負担ということになってしまいます…
これ、利用者にとってはかなりつらいです。
利用者の同意がなければ算定できない
この特例ルールを算定するためには、利用者の同意を得ることが必要になってきます。
逆を返せば、同意しなければ算定されない、ということです。
つまり、同じサービスの利用者であっても、この特例ルールに同意しているかしていないかで、負担額に多い少ないの差が出てしまうことになります。
しかも、同意してくれた人のほうが負担額が増えるっていうのは、なんだか正直者がバカを見る感じがしてしまいます。
もしわたしが利用者だったら、同意したくないですね…
どうしても不公平感を感じてしまいます。
事業所とケアマネジャーがうまく連携できるか
厚労省からの通知でも、ケアマネとの連携がうたわれています。
この特例ルールは実績での算定となるため、ケアマネに事前にきちんと説明をしておかないと、ケアマネから「何この単位数?」って言われてしまいますね。
また、口には出さなくても、内心算定を嫌がるケアマネもいるかもしれませんね。
限度額カツカツでサービス利用している人の場合、ケアマネとしては少しでも利用者負担の少ないところを利用したいでしょうしね。
いくらいいサービスを提供していたとしても、特例ルールを算定していない事業所のほうが、ケアマネに好かれそうですし、、
そのあたり、事業所側としては算定が悩ましいところです。
算定できる期間が未定
この特例ルールには、算定の有効期間がありません。
つまり、いつまでこの特定ルールを算定できるのかがわからないのです。
おそらく、新型コロナウイルス感染症がある程度落ち着くまで、であると予想されますが、そもそもいつになったら終息するかがわかりませんので、終了時期は当然未定となります。
算定する手間だけかかったけど、すぐに算定できなくなってしまった、なんていうこともあり得るのです。
※
まとめ
コロナ特例による通所系サービスの報酬増
上司へ報告した結果、うちのデイサービスとショートステイは算定をする方向で話が進んでます
そのため本日はせこせこと同意書を作成
ただ、同意を得られないケースもあるでしょうし…
素直に同意してくれた人がかえって損をするみたいな不公平感もありますねぇ— takuma@生活相談員 (@takuma3104) June 12, 2020
うちの事業所では、今のところこの特例ルールを算定する方向で話が進んでいます。
算定するにあたり、いろいろと調べては見ましたが、正直な感想としては、微妙…といったところです。
新型コロナウイルス感染症の影響で、通所系サービスが訪問系や入所系サービスに比べて収益が悪くなっているから、特例で介護報酬を増やしてくれること自体は、嬉しいことだと思っています。
しかし、問題点の項に挙げた通り、その手段については納得いかないものが多いです。
不公平感はぬぐいきれません。
とはいえ、この特例ルールを算定することで事業所への収入が増えることは事実です。
国が認めたルールではありますので、サービス事業者側としてはそのルールに則って、粛々と算定の手続きを進めていきたいと思います。