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「介護崩壊が始まっている」——。

全国老人福祉施設協議会(全国労使協)が、次回の介護報酬改定に向けて「基本報酬の大胆な底上げ」を国に強く要請したニュースが大きな話題となっています。

物価高騰や人件費の上昇が続くなか、臨時の補助金や僅かな加算だけではもはや限界です。現場で働くひとりとして「これ以上の体制維持は難しい」「制度の限界に来ている」と感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、なぜ今「加算」ではなく「基本報酬の底上げ」が必要なのか、現場が抱えるリアルな課題と今後の見通しについて分かりやすく解説します。

この記事を書いた人

takuma

生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)

デイサービスとショートステイで、利用者・家族・職員の“間”に立ちながら日々奮闘しています。
現場で感じた違和感や気づきを言葉にし、「学び続ける相談員」を目指して情報発信中。

・kindle出版で『対人援助一年目の教科書』『学び続ける生活相談員』発売中。

・職業情報サイトへ生活相談員に関する記事提供実績あります。その他介護情報サイトへ記事提供実績もあり。

・Xでも発信しています。

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このブログ「生活相談員ラボ」では、「生活相談員×学び」をコンセプトに、現場のリアルと学びをつなぐヒントをお届けします。

 

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なぜ「加算」ではなく「基本報酬の底上げ」なのか?

近年の介護報酬改定では、報酬を増やすために「LIFE(科学的介護情報システム)の活用」や「生産性向上加算」など、新しい取り組みを行うことが条件づけられる傾向が続いています。

しかし、現場の現状はすでに「既存の業務だけで手一杯」な状態です。

  • 書類作成やシステム導入に割くリソース(人員・時間)がない

  • 加算を取得するためのハードルに対し、増える報酬が見合わない

  • そもそも現場の負担が増え、スタッフの疲弊につながっている

求められているのは、「新しいことをしたら報酬をプラスする」ことではありません。今提供している日常的な介護サービスそのものを適正に評価することです。土台となる基本報酬が底上げされなければ、事業所の存続すら危ういのが現実です。

小規模事業所の閉鎖と「受け皿不足」の懸念

地域の状況を見ても、小規模なデイサービスや事業所の閉鎖・撤退が相次いでいます。

規模の大きい法人であれば、スケールメリット(業務効率化やコスト削減)を生かしてなんとか持ちこたえられますが、地域密着型の小規模事業所ほど以下の打撃をダイレクトに受けます。

  • 物価高(光熱費・ガソリン代・食材費の高騰)

  • 他業種への人材流出(賃金格差による採用難)

  • 稼働率が少し下がっただけで赤字に転落する構造

地域の介護を支えてきた小規模事業所が倒れてしまえば、利用者の行き場がなくなる「介護難民」が発生し、巡り巡って地域全体の介護インフラが崩壊することになります。

なぜ現場の苦しさは社会に届きにくいのか?

「これほど現場が困窮しているのに、なぜ根本的な解決策が講じられないのか?」

その背景には、介護業界と社会全体の間にある「視点のギャップ」があります。

  1. 介護従事者は社会全体で見れば少数派(マイノリティ)

  2. 社会保障費を負担する世論(マジョリティ)は、負担増を避けたい

  3. 他業界同様、業界の外からは「現場の本当の厳しさ」が見えにくい

わたしたち自身も、運送業や飲食業など他業界の厳しさを完璧には把握できないのと同様に、一般の方々に「なぜ基本報酬が上がらないとダメなのか」を理解してもらうのは容易ではありません。そのため、政治や制度改革の優先順位が上がりづらいという構造的な課題が存在します。

現場の私たちが今できる現実的な備え

制度の劇的な改善に期待しすぎると、期待外れだった際のバーンアウト(燃え尽き症候群)につながりかねません。現場として現実的に取れるアプローチは以下の3点です。

① 基本報酬が「変わらない前提」での経営・業務見直し

改定による増額を過度に期待せず、現行の報酬水準のままでも事業所を存続できるよう、業務フローや固定費の削減を再点検しておくことが重要です。

② 無理な加算取得より「無駄な業務の削ぎ落とし」

リソースが限界の中で新加算を狙うと、現場の負担が増して離職を招きます。まずは「慣習で続けている不要な書類」や「重複した報告業務」を削ぎ落とすことが先決です。

③ 現場のリアルな声を少しずつ発信し続ける

業界内の諦めムードを払拭し、現状を正確に知ってもらうためにも、ブログやSNS、地域のネットワークを通じて「現場で起きている事実」を発信し続けることには意味があります。

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まとめ

全国労使協による「基本報酬の底上げ要請」は、まさに現場の切実な声を代弁したものです。

現場にさらなる事務作業や質を求める「加算頼み」の仕組みから脱却し、基本的なサービス提供に対する適正な評価(基本報酬の引き上げ)が行われなければ、介護崩壊の波を止めることはできません。

厳しい情勢は続きますが、今後の改定動向を冷静に見極めながら、まずは自分たちの現場とスタッフを守るための「引き算の業務改善」を進めていきましょう。