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厚生労働省が、ケアマネジャー(介護支援専門員)の安全対策として「防護ベスト」や「ICレコーダー」「催涙スプレー」などの購入費用を補助する方針を示し、大きな話題となっています。

厚労省、介護事業所のカスハラ・防犯対策に補助 概算要求に新事業 ヘルパーやケアマネらの安全確保に予算措置(joint)

カスタマーハラスメントや暴力から職員を守る取り組み自体は重要ですが、このニュースに対して

「何か対策の方向性がズレているのでは?」

「かえって逆効果では?」

と違和感を覚えた方も多いのではないでしょうか。

わたし自身も、このニュースを聞いて深い疑問を感じました。今回は、防護ベスト補助というニュースから見えてくる課題と、訪問現場で本当に必要な安全対策について解説します。

この記事を書いた人

takuma

生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)

デイサービスとショートステイで、利用者・家族・職員の“間”に立ちながら日々奮闘しています。
現場で感じた違和感や気づきを言葉にし、「学び続ける相談員」を目指して情報発信中。

・kindle出版で『対人援助一年目の教科書』『学び続ける生活相談員』発売中。

・職業情報サイトへ生活相談員に関する記事提供実績あります。その他介護情報サイトへ記事提供実績もあり。

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防護ベストを着て訪問する仕事への違和感

防護ベストや催涙スプレーの補助と聞くと、一見手厚い対策のように思えます。しかし、冷静に考えると大きな違和感が生じます。

そもそも仕事として成立しているか

ハウスクリーニングや設備工事など、一般家庭を訪問する職種は多くあります。しかし、防護ベストを着て訪問する業種はまずありません。危険を感じるリスクがあれば、最初から作業を行わないのが一般的です。

なり手不足への悪影響

ただでさえ人手不足が深刻な介護業界です。「防護ベストを支給される危険な仕事」というイメージが広がれば、若手や新規参入者がさらに離れてしまう懸念があります。安全対策のつもりが、業界の成り手不足を加速させる逆効果になりかねません。

「防護ベストを着てまで訪問を継続させる」という発想自体が、現場の感覚と乖離していると言わざるを得ません。

個人に装備を持たせる対策の限界

暴力や刺傷事故などの深刻なトラブルは、もはやハラスメントの域を超えた明確な犯罪行為です。

警察のような治安維持のプロであれば防護装備も理解できますが、ケアマネジャーの本質は対人援助であり地域密着の相談支援です。

危険な訪問先に個人をそのまま向かわせ、「道具を与えるから自分で身を守ってほしい」という手法は、安全管理の責任を現場の個人に押し付けているようにも見えてしまいます。

現場で本当に必要な3つの安全対策

個人に防護グッズを持たせることよりも、組織や行政として優先すべき安全対策は以下の3点です。

1. リスク情報の事前把握と共有

新規介入時や利用者の状態変化時に、暴力・ハラスメントのリスク情報を適切に把握し、事業所間で共有する仕組みが必要です。

2. 複数人訪問と関係機関との連携

危険が予想されるケースでは、個人の判断に任せず「必ず複数人で訪問する」ルールを徹底します。必要に応じて行政や地域包括支援センター、警察と連携する体制構築が不可欠です。

3. サービス中断・撤退の明確な基準づくり

危険を感じた際、ケアマネジャーが即座に身の安全を確保し、訪問を拒否・中断できる組織的・制度的なバックアップが必要です。

 

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まとめ

ハラスメントや暴力からケアマネジャーを守る対策は絶対に必要です。しかし、防護ベストやスプレーの購入補助といった表面的な対策だけでは、根本的な解決になりません。

危険を冒してまで訪問を強いるのではなく、「最初から安心して働ける環境をどう作るか」。

今回のニュースをきっかけに、道具の支給にとどまらない、制度や体制そのものの見直しが進むことを願っています。