一日の業務を終え、疲れ果てた帰り道。わたしは車の中でひとり、激しいモヤモヤと向き合っていました。
きっかけは、その日上司に求めた「業務の相談」でした。自分の対応キャパシティを超えた案件があり、わたしひとりでは抱えきれないと判断したため、上司の知恵や手を借りたい一心で事前にアポを取り、報告に臨んだのです。
しかし、そこで上司の口から飛び出したのは、サポートの言葉ではなく予想外の指導でした。
「俺が言いたくない嫌なことを全部お前が言って、俺が良い人でいられるようにするのが部下の役割だ」
つまり、「自分(上司)が良い顔をするために、部下が汚れ役になれ」という理論です。
「上司の手を煩わせない」「サポートに徹する」という姿勢自体は分からなくもありません。ですが、それを上司の側から部下に求める指導として言われたとき、わたしの中で強い違和感が広がりました。
夕方、チームのメンバーに「こんな指導を受けたんだけど、どう思う?」と尋ねてみましたが、誰ひとりとしてその価値観に納得する人はいませんでした。この論理を通してしまえば、一番立場が下の人間がすべての「しわ寄せ」や「損」を引き受ける構造になってしまうからです。
困っている部下に手を差し伸べるどころか、自分の立場を守るために部下を悪者にする。そんなスタンスには、どうしてもハラスメント気質な古さを感じざるを得ませんでした。
直接反論したところで相手が変わるわけではありません。けれど、この理不尽な体験を通して、わたしはひとつ大きな学びを得ました。
それは、「自分は絶対に、こんな風に部下に嫌な役目を押し付ける上司にはならない」という気持ちです。
自分とは相容れない価値観に出会ったときこそ、それを反面教師にして自分の軸を再確認する。明日からの自分の立ち振る舞いをそっと心に決めた出来事でした。
この記事を書いた人
takuma
生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)
デイサービスとショートステイで、利用者・家族・職員の“間”に立ちながら日々奮闘しています。
現場で感じた違和感や気づきを言葉にし、「学び続ける相談員」を目指して情報発信中。
・kindle出版で『対人援助一年目の教科書』『学び続ける生活相談員』発売中。
・職業情報サイトへ生活相談員に関する記事提供実績あります。その他介護情報サイトへ記事提供実績もあり。
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