外はしとしとと降る雨。わたしたちデイサービスの職員にとって、雨の日の送迎は最も神経を使う業務のひとつです。
「利用者さんを濡らしてはいけない」という思いと、「滑りやすい足元」という危険。この二つの間で、どう安全を確保すべきか。今回は、現役の現場視点から、雨の日の送迎を安全に、そして少しでも快適に乗り切るためのポイントをまとめました。
takuma
生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)
デイサービスとショートステイで、利用者・家族・職員の“間”に立ちながら日々奮闘しています。
現場で感じた違和感や気づきを言葉にし、「学び続ける相談員」を目指して情報発信中。
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「片手が塞がる」ことの本当のリスクを知る
雨の日、わたしたちはつい「傘を差すこと」に必死になります。しかし、ここで最大の落とし穴があります。それは、介助者の片手が完全にロックされてしまうことです。
通常、歩行介助は両手を使ってバランスを支えたり、万が一の際にとっさに身体を支えたりするものです。しかし、傘を持つと片手しか使えません。
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とっさの反応が遅れる: 利用者さんがつまずいた時、片手では支えきれない。
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自身のバランスも崩れる: 風が強い日などは、傘に煽られて介助者自身が不安定になる。
可能であれば、玄関先までは軒下を利用し、移動距離を最短にします。
どうしても距離がある場合は、利用者さんにカッパを着用していただくか、車を極限まで玄関に近づける「横付け」の徹底が、一番の安全策になります。
魔の「石段」と「マンホール」に潜む罠
古いお宅やこだわりのあるお住まいには、立派な「石段」があることが多いですよね。晴れの日は風情がありますが、雨の日は一転して「スケートリンク」のような危険地帯に変わります。
特に注意すべきポイントは以下の3点です。
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石の階段・タイル: 表面がつるつるしているものは、杖の先も滑ります。
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マンホールの蓋・グレーチング(溝の蓋): 金属部分は最も滑りやすいポイントです。
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白線(横断歩道など): 意外と知られていませんが、塗料の上は非常に滑ります。
これらを歩く際は、「一歩一歩の接地を確認する」こと。そして、利用者さんが靴をしっかり履いているか、事前のチェックも欠かせません。
「濡れないこと」は、心の余裕に繋がる
「仕事の宿命だから、濡れるのは仕方ない」 そう腹をくくるのもプロの姿ですが、一方で「自分を快適に保つこと」もプロの大切な仕事です。
服がびしょ濡れで、靴下まで冷たくなっている状態では、どうしても注意力が散漫になります。「早く終わらせたい」という焦りが、事故を招くからです。
そこでこだわりたいのが「防水装備」です。
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靴は「ゴアテックス(GORE-TEX)」一択: 完全防水でありながら蒸れにくい素材は、介護職の強い味方です。靴下を濡らさずに一日を終えられる安心感は、心の余裕、ひいては安全運転や丁寧な介助に直結します。
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カッパ(レインウェア)の活用: 車イス対応など、どうしても両手が必要な場面では、傘を捨ててカッパを被る勇気を。職員が濡れない工夫をすることは、決して手抜きではありません。
ちなみに、わたしが愛用しているのはメレルのゴアテックスシューズです。
完全防水なので靴下の濡れを気にせず業務に集中できますし、何より滑りやすい足元でもしっかりグリップが効くので、介助中の安心感が違います。一足持っておくと、雨の日の送迎が驚くほど楽になりますよ。
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最後に
どれだけ対策をしても、雨の日は大変です。しかし、わたしたちが「雨ですね、足元ゆっくり行きましょう」と落ち着いて声をかけることで、利用者さんも安心して一歩を踏み出すことができます。
「自分はある程度濡れてもいい。でも、利用者さんだけは安全に送り届ける」 その覚悟を持ちつつ、最新の防水グッズの力も借りて、雨の送迎を乗り切っていきましょう。
明日もまた、雨かもしれません。ですが、あなたの差し出す一本の傘が、利用者さんの安心を支えています。


