見守り機器を入れても介護現場の負担が減らない根本的な理由
介護施設における夜間の人員配置基準について、厚生労働省によるさらなる緩和案が検討されています。
見守り機器(センサーマットや見守りシステムなど)を導入している施設に対して基準を緩める動きですが、現場の感覚としては大きな疑問を感じざるを得ません。
なぜテクノロジーを導入しても現場の負担は減らないのか、その根本的な理由について考えます。
takuma
生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)
デイサービスとショートステイで、利用者・家族・職員の“間”に立ちながら日々奮闘しています。
現場で感じた違和感や気づきを言葉にし、「学び続ける相談員」を目指して情報発信中。
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機器ができるのは「検知」であり「対応」ではない
見守り機器の役割は、あくまで利用者の動きや異変を「知らせること(検知)」です。
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ベッドからの立ち上がりや動き出しの察知
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心拍・睡眠状態のモニタリング
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部屋の状況の可視化
これらはたしかに「見回り業務」の簡素化には繋がります。しかし、介護の現場で最も負担が大きいのは、異変を察知した後に駆けつけて行う「身体介護や安全確保」です。
センサーが「お部屋で動きがありました」と教えてくれても、ベッドから起き上がってふらついている利用者の元へ走り、転倒を防ぎ、トイレへ誘導するのはどこまでいっても「人」です。
対応できる「人の手」が足りなければリスクは変わらない
夜間帯に最も警戒すべきなのは、転倒や骨折といった重大事故です。特に認知症の方の動き出しや夜間徘徊への対応は、マンツーマンでの付き添いが欠かせません。
もし見守り機器によって複数のお部屋で同時に動きが検知された場合、現場にいる職員が1人しかいなければどうなるでしょうか。
機器で状況が可視化されたところで、身体はひとつしかありません。同時多発するリスクに対して何もできない状態が生まれ、職員の精神的プレッシャーや負担感はかえって増大してしまいます。
つまり、「知らせる機械」が増えても「動ける人の手」が減ってしまえば、現場の負担も事故リスクも軽減されないのです。
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まとめ
見守り機器やICTの導入は、夜間業務の負担を軽減する手段として大きな可能性を秘めています。しかし、機器ができるのはあくまで「異変の検知と通知」までです。
実際に現場へ駆けつけ、転倒を防ぎ、一人ひとりに合わせた身体介護を行うのは、これからも「人」にしかできない領域です。
テクノロジーによる効率化と、現場で動く職員の確実な配置。この両輪が揃って初めて、本当の意味での負担軽減と利用者の安全が両立します。
「数字上の効率化」だけで終わらせず、現場の実情に即した議論と見直しが進んでいくことを切に願います。
