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新規のご利用者の自宅へ伺い、調査票の項目を一つひとつ埋めていく。 食事、排泄、入浴の状況、そして趣味やこれまでの生活歴……。

1時間ほどかけて一通りの聞き取りを終え、「よし、アセスメント完了!」と達成感を得た経験はありませんか?

しかし、わたし自身が現場で経験を重ねる中で強く感じるのは、「たった1時間程度で人のことなんて分かりっこない」ということです。

今回は、生活相談員におけるアセスメントの本来の意味と、「人は100%理解できない」という前提に立つことで見えてくる本当の支援のスタンスについてお伝えします。

この記事を書いた人

takuma

生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)

デイサービスとショートステイで、利用者・家族・職員の“間”に立ちながら日々奮闘しています。
現場で感じた違和感や気づきを言葉にし、「学び続ける相談員」を目指して情報発信中。

・kindle出版で『対人援助一年目の教科書』『学び続ける生活相談員』発売中。

職業情報サイトへ生活相談員に関する記事提供実績あります。その他介護情報サイトへ記事提供実績もあり。

Xでも発信しています。

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このブログ「生活相談員ラボ」では、「生活相談員×学び」をコンセプトに、現場のリアルと学びをつなぐヒントをお届けします。

 

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1時間のアセスメントで分かるのは、あくまで「上積み」の情報

初回のアセスメントでは、収集すべき情報がたくさんあります。

  • 身体状況・動作(移動方法、車イスの使用有無など)

  • 生活状況(食事の形態・好み、排泄や入浴の自立度など)

  • 基本情報・生活歴(家族構成、趣味、これまでの暮らしなど)

相手によっては聞き取りが難しかったり、ご家族からの情報収集が中心になったりと、1時間みっちり使って調査シートを埋めるだけでも一苦労です。

しかし、そこで得られた情報は、その方の人生や人柄のほんの「表面上の上積み」に過ぎません。

立場を入れ替えて考えてみてください。 見ず知らずの人に1時間ほど質問されただけで「あなたのことを理解しました」と言われたらどう感じますか?「たった1時間でわたしの何が分かるんだ」と感じてしまうのが自然ではないでしょうか。

言葉で自分の思いや価値観をすべて表現するのは、だれにとっても難しいことです。ひとりの人間の深い気持ちまで短時間で汲み取ろうとすること自体、少しおこがましいのかもしれません。

「3ヶ月〜半年」で分かる?完璧主義が引き起こすジレンマ

研修などではよく「アセスメントは1回で終わらせるものではなく、3ヶ月から半年ほどじっくり関わる中で見えてくるものだ」と言われます。

確かに、日々関わりを深める中で「この方はこういう場面で笑顔になるんだな」「実はこういうこだわりを持っていたんだ」と理解が深まっていくのは間違いありません。支援を円滑に進めるための情報であれば、それくらいの期間で揃ってくるでしょう。

しかし、わたしは「時間をかければ相手を100%理解できる」というわけでもないと考えています。

「しっかり関われば完璧に理解できるはずだ」という思考に囚われてしまうと、思い通りにいかない支援に直面したとき、自分やご利用者を責めてしまったり、行き詰まりを感じたりする原因になります。

「人は人を100%理解できない」という前提に立つ大切さ

そもそも、人間が他人のことを100%理解するなんて不可能です。 それどころか、自分自身のことだって100%理解できているわけではありませんよね。

だからこそ、支援の現場では「人は人のことを理解しきれない」という前提に立つことが重要になってきます。

「わからない」前提がもたらす3つのメリット

  1. 決めつけを防ぎ、フラットに観察できる 「この人はこういう人だ」と納得して満足してしまうのではなく、常に新しい発見を受け入れる余白が生まれます。

  2. 多角的なアプローチができる 「まだ見えていない部分があるかもしれない」と考えることで、日々の関わりや様々な角度から相手を知ろうとする姿勢が維持できます。

  3. 肩の荷が下り、柔軟に対応できる 自分の見立てと違う反応が返ってきても、「わからないのが当たり前」と思えれば、完璧主義にならず柔軟に支援を切り替えられます。

「理解できないから諦める」のではなく、「わからないからこそ、少しでも理解できるように関わり続ける」。このスタンスを持つことが、対人援助における本質的な優しさにつながります。

 

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まとめ

初回アセスメントで調査シートを埋めるのは、あくまで関わりのスタートラインに立っただけに過ぎません。

  • 1回の面接で分かった気にならない

  • 完璧に理解しようと抱え込みすぎない

  • 「わからない」前提で、焦らずじっくり向き合う

このスタンスを大切にするだけで、支援者自身の気が楽になり、ご利用者にとっても心地よい関係性を築いていくことができます。

完璧を目指さず、日々の関わりの中で少しずつ相手の魅力を発見していく姿勢を、今日から意識してみてはいかがでしょうか。