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先日、X(旧Twitter)で介護業界の大きなニュースが流れてきました。それは「デイサービスの入浴介助加算の見直し」について、国の審議会で議論が始まったという記事です。

これを見た瞬間、わたしは思わず「そりゃそうだ、やっと動いてくれるのか」と深く頷いてしまいました。現在の入浴介助加算の仕組みは、あまりにも現場のリアルと乖離しているからです。

今回は、現役の生活相談員という視点から、この見直し論議の背景にある「現場のニーズとの致命的なズレ」、そして事業所を苦しめている「金銭感覚のズレ」について、本音で解説します。

この記事を書いた人

takuma

生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)

デイサービスとショートステイで、利用者・家族・職員の“間”に立ちながら日々奮闘しています。
現場で感じた違和感や気づきを言葉にし、「学び続ける相談員」を目指して情報発信中。

・kindle出版で『対人援助一年目の教科書』『学び続ける生活相談員』発売中。

職業情報サイトへ生活相談員に関する記事提供実績あります。その他介護情報サイトへ記事提供実績もあり。

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そもそも「入浴介助加算ⅠとⅡ」のおさらい

前回の介護報酬改定で、入浴介助加算は「Ⅰ」と「Ⅱ」の二つの区分に分かれました。まずはその仕組みを簡単におさらいしておきます。

区分 単位数(1回) 主な算定要件
入浴介助加算(Ⅰ) 40単位(約400円) 通常の入浴介助(旧50単位から10単位のマイナス)
入浴介助加算(Ⅱ) 55単位(約550円) 「自宅でお風呂に入ること」を目的とした、居宅訪問・計画策定・デイでの入浴練習など

以前は一律50単位だったものが、通常の入浴は40単位へと減算。代わりに新設された上位区分の「加算Ⅱ」を算定しなければ、実質的に減収となる仕組みへと変わったのです。

なぜ「加算Ⅱ」の算定率は1割弱なのか?現場のニーズとのズレ

報道によると、この「加算Ⅱ」の算定率は全体の1割程度に留まっているそうです。 しかし、現場で働くわたしの感覚からすると、「逆に、よく1割も取れているな」というのが正直なところです。

なぜなら、要件である「自宅での入浴を目的とする」というニーズ自体が、実際の現場にはほとんど存在しないからです。

わたし自身、これまで多くのご利用者やご家族の相談を受けてきましたが、「将来的に家でお風呂に入りたいから、デイサービスで練習したい」という方に出会ったことは一度もありません。

リアルな現場のニーズは、まったく真逆です。

  • 「家のお風呂は段差が多くて危ないから、デイの安全な設備で入らせたい」

  • 「自宅での入浴介助は家族の体力的な負担が大きすぎるから、プロにお願いしたい」

つまり、ご利用者もご家族も「デイサービスでお風呂を完結させたい」からこそ、利用されているのです。国が描いた「自宅入浴への移行(自立支援)」というストーリーと、現場の「安全にデイでお風呂に入りたい」という切実なニーズ。この両者が、致命的なまでにズレているのが算定率の低さの正体です。

物価高騰の時代に「1回400円」という金銭感覚のズレ

さらに深刻なのが、多くの事業所が算定している「加算Ⅰ」の40単位(約400円)という金額設定です。

現在、世の中の燃料費や光熱費はすさまじく高騰しています。スーパー銭湯や温泉であれば、コストに合わせて入浴料を値上げ(価格転嫁)できますが、介護保険という公定価格で動くデイサービスは、国が決めた「400円」から1円も値上げすることができません。

スタッフが付きっきりで介助し、安全を確保し、お湯を沸かし、髪を乾かして着替えを手伝う。これだけの手間とコストをかけて、ひとりあたり「約400円」です。

現代の物価水準、そして人件費や光熱費の高騰を考えたとき、あまりにも現状に合っていないお安い金額だと言わざるを得ません。この金銭感覚のズレは、事業所の経営を確実に圧迫しています。

 

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まとめ

今回の審議会での見直し論議は、上がるべくして上がった現場の悲鳴そのものです。

「要件が厳しくて形骸化している加算Ⅱをどうするか」という議論も大切ですが、わたしがまず強く求めたいのは、多くの事業所の基盤となっている「入浴介助加算Ⅰ(40単位)」の単位数そのものの見直しです。

今の社会情勢と介護報酬のズレをうまく修正していってもらわなければ、デイサービスの重要な役割である「入浴支援」自体が維持できなくなってしまいます。国の偉い方々には、ぜひ一度、物価高に喘ぐ現場のリアルな声に耳を傾けていただきたいものです。

みなさんの事業所では、この入浴介助加算の現状についてどのように感じていますか?ぜひ、Xのコメントなどでご意見を聞かせてください。