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先日、仕事の休みに実家に立ち寄った際、母親とこんな会話になりました。

 「介護保険料、高くてびっくりしちゃう。2ヶ月で1万7,000円くらい引かれてるのよ」

2ヶ月で1万7,000円ということは、1ヶ月あたり約8,500円。確かに、決して小さくない金額ですよね。

介護の仕事に携わっているわたしですが、この「高い、払いたくないなぁ」という母親の気持ち、実はとてもよく分かります。

今回は、この会話から見えてきた「年金生活における家計管理の盲点」と、「介護保険という仕組みの納得感の難しさ」について、わたしなりの視点でお話ししたいと思います。

この記事を書いた人

takuma

生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)

デイサービスとショートステイで、利用者・家族・職員の“間”に立ちながら日々奮闘しています。
現場で感じた違和感や気づきを言葉にし、「学び続ける相談員」を目指して情報発信中。

・kindle出版で『対人援助一年目の教科書』『学び続ける生活相談員』発売中。

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年金生活の盲点:「額面」だけで計算すると家計が狂う

母親が話していて「確かにその通りだな」と痛感したのが、年金の資金計画についてでした。

多くの人は、老後の資金計画を立てる際、「毎月年金がこれくらい入るから、生活費はこれくらいに収めて…」と、「額面(引かれる前の金額)」をベースにイメージしがちです。

しかし、65歳以上になると、介護保険料は原則として年金からの天引き(特別徴収)になります。

「今月はこれくらい口座に入るはず」と思っていても、介護保険料(や国民健康保険料など)が引かれた後の金額になるわけです。

ですから、この天引き分をはじめから想定しておかないと、実際の生活費の計算が大きく狂ってしまいます。

シニア期の家計管理では、この「見えない引き落とし」をあらかじめ頭に入れておくことが、生活を安定させるための重要なポイントになります。

医療保険との違い:「使わないとメリットを感じにくい」ジレンマ

なぜ、これほどまでに介護保険料は「高く」感じてしまうのでしょうか。それは、医療保険との決定的な違いにあります。

医療保険であれば、毎月のように病院へ行って薬をもらったり、急なケガで手当てを受けたりと、日常的に恩恵を実感しやすいものです。だからこそ、多少高くても「必要経費だな」と納得しやすい。

一方で、介護保険は「そのとき(要介護認定を受けたとき)が来ないと使わない」ものです。 元気なうちは、ただただ毎月お金を払っているだけに過ぎないため、どうしても「割高感」や「損をしている感覚」ばかりが先行してしまいます。

普段の生活のなかで、介護を意識する機会はそう多くありません。しかし、いったん介護が始まれば、それは「いつか」の話ではなく、365日ノンストップの「毎日の暮らし」へと一瞬で姿を変えます。

「1割負担」で利用するための保険、だけど…

介護が必要になったとき、デイサービスやショートステイなどのサービスを基本的に「1割負担(※所得に応じて2〜3割)」という自己負担に抑えて利用できるのは、この介護保険料を日頃からみんなで出し合っているからです。

とはいえ、いざ介護が始まれば、その1割のサービス費用や、オムツ代などの実費が生活費に「追加」で重なっていくことになります。

「介護保険を持続させるためには、財源(保険料)を上げざるを得ない」という国の議論も分かりますが、現役世代もシニア世代も、これ以上の負担増にはなかなか納得感が得られないのが本音ではないでしょうか。持続可能性と、一人ひとりの負担のバランス――。これは本当に難しい課題だと、母親の話を聞きながら改めて考えさせられました。

 

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まとめ

介護保険は、始まった当初(2000年)から数えて四半世紀以上が経ちますが、いまだに自分が当事者になるまで、その中身や負担が見えにくい制度です。

もし、ご自身やご両親がこれからの暮らしを考えるタイミングであれば、ぜひ次の2点を確認してみてください。

  1. 年金は「天引きされる保険料」を差し引いた「手取り」で予算を組むこと

  2. 元気なうちから、介護リスクや制度について知っておくこと

「使わないかもしれないものにお金を払う」のは理不尽に思えるかもしれませんが、いざという時に自分や家族の生活を守るためのセーフティネットです。

まずは「毎月これくらい引かれるんだな」という現実を正しく知り、頭の片隅に置いておくことから始めてみませんか。