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デイサービス(通所介護)を利用する際、多くの人が当たり前のように利用している「送迎サービス」

朝、自宅の前まで迎えに来てくれて、夕方には安全に送り届けてくれる。ご家族にとっても、介護職員にとっても、デイサービスとは「送迎とセットのもの」という認識が一般的だと思います。

しかし、この送迎の裏側にある「介護保険制度の仕組み」をご存知でしょうか。

実は、わたしたち現場の職員が毎日大きな責任とリスクを背負って行っている送迎は、介護報酬上、驚くほど低い評価(というより、ほぼ評価されていない状態…)に置かれています。

今回は、あまり表に出ることのない「デイサービス送迎における報酬とリスクの矛盾」について、わたしがどうしても社会に伝えたい本音をお話しします。

この記事を書いた人

takuma

生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)

デイサービスとショートステイで、利用者・家族・職員の“間”に立ちながら日々奮闘しています。
現場で感じた違和感や気づきを言葉にし、「学び続ける相談員」を目指して情報発信中。

・kindle出版で『対人援助一年目の教科書』『学び続ける生活相談員』発売中。

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デイサービスの料金はどう決まる?「送迎時間」の盲点

まず、デイサービスの利用料金がどのように決まっているかをおさらいしておきましょう。

介護保険上、デイサービスの基本料金は「利用者が施設内で何時間過ごしたか(滞在時間)」によって細かく定められています。

  • 9時に到着し、16時に出発する場合 = 7時間以上8時間未満の料金

  • 9時に到着し、13時に出発する場合 = 3時間以上4時間未満の料金

ここで気づいた方もいるかもしれません。 そうなのです。「送迎にかかっている時間」は、このサービス料金の計算に一切含まれていないのです。

送迎はあくまで「施設でのサービスに付随するもの」という扱い。つまり、送迎そのものに対して個別の報酬(利益)が発生しているわけではない、というのが現在の仕組みです。

交通事故は一発アウト。命を預かる「送迎リスク」の重さ

料金に含まれていないからといって、送迎が簡単な仕事かといえば、決してそんなことはありません。むしろ、デイサービスの業務の中で最も神経を使う、ハイリスクな業務です。

車を運転している以上、どれだけ気をつけていても交通事故のリスクはゼロにはなりません。 しかも、乗せているのはお元気な若者ではなく、お体に不自由を抱えた高齢者の方々です。万が一、利用者を乗せた状態で事故を起こしてしまったら、それは最悪の事態を意味します。

現場の職員は、毎日それだけのプレッシャーと「命の責任」を背負ってハンドルを握っています。

それほど高いリスクを犯しているにもかかわらず、そこに対する報酬として評価がされない。これが、デイサービスが抱えている大きな矛盾の一つ目です。

やって当たり前、やらないとペナルティ?「送迎減算」の理不尽

さらに、数年前の介護報酬改定によって、現場のモヤモヤを加速させるルールが新設されました。それが「送迎減算(そうげいげんさん)」です。

これは、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)などに併設されたデイサービスが、移動の手間がないにもかかわらず通常のデイと同じ料金を取るのは不公平だ、という議論から生まれたルールです。

しかし、このルールは通常のデイサービスにも適用されます。 つまり、「送迎をやってもプラスの報酬(加算)はないけれど、家族送迎などで送迎を行わなかった場合は、基本料金から一定単位を差し引く(減算)」という仕組みになってしまったのです。

  • がんばって送迎をしても、報酬はプラスにならない。

  • 送迎をしないと、ペナルティとして料金を削られる。

これでは「送迎はやって当たり前」という認識を国から押し付けられていると言わざるを得ません。現場が背負っている責任の重さに対して、あまりにも理不尽な評価ではないでしょうか。

 

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まとめ

毎日、地域の高齢者の足となり、命を預かって必死に車を走らせている介護職員がたくさんいます。

送迎は単なる「移動手段」ではなく、乗車時の介助や、車内での体調管理も含めた立派な「対人援助」の時間です。それに対して「料金はゼロ、やらないなら減算」という現在の仕組みは、現場の責任の重さに対してあまりにも単価が低すぎるのではないか、とわたしは強く感じています。

この送迎のリアルなリスクと矛盾について、国も含めた社会全体がもっと関心を持ち、現場の頑張りが正当に評価される時代が来ることを願ってやみません。