介護報酬改定で賃上げするなら「地域区分」の底上げが一番シンプルな理由
今日の本題は、福祉・介護の現場で働くわたしたちにとって極めて切実な「物価高と介護職員の賃上げ(介護報酬改定)」についてです。
「どれだけ物価や電気代が上がっても、基本給はなかなか上がらない……」
そんな現状に、もどかしさを感じている方は多いのではないでしょうか。国も処遇改善などで対策を講じてはいますが、現場の視点から見ると「もっとシンプルで、誰も疲弊しない方法があるのでは?」と思わずにはいられません。
その具体的な解決策として、わたしが提案したいのが「地域区分(1単位の単価)」の一律底上げです。なぜこの方法が一番シンプルで効果的なのか、理由を解説します。
takuma
生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)
デイサービスとショートステイで、利用者・家族・職員の“間”に立ちながら日々奮闘しています。
現場で感じた違和感や気づきを言葉にし、「学び続ける相談員」を目指して情報発信中。
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なぜ「処遇改善加算」を増やす方法では現場が疲弊するのか?
これまで、国が介護職員の賃上げを行おうとするとき、その多くは「新しい加算の創設」や「既存の処遇改善加算の一本化・拡充」という形が取られてきました。
しかし、この「加算を増やす・いじる」という方法には、現場にとって大きなデメリットがあります。
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計画書や報告書など、事務負担が爆発的に増える
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算定のための複雑な要件をクリアしなければならない
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キャリアパスの要件など、現場の実態に合わない縛りが増える
「給料を上げてあげるから、そのぶん新しい書類を書いて、複雑なルールを守ってね」と言われているようなものです。これでは、ただでさえ人手不足で忙しい現場の首をさらに絞めることになりかねません。
1箇所の数字を変えるだけ。「地域区分」を変更するメリット
そこで注目したいのが、介護報酬のベースにある「地域区分(旧地)」です。
ご存知の通り、介護保険の単位数は「1単位=10円」が基本ですが、地域ごとの人件費や物価の差を考慮して、1級地から7級地(およびその他)まで「1単位=10.14円〜10.9円」といった形で上乗せ単価が設定されています。
日本全国でこれだけ物価や人件費が上がっている今、やるべきことは極めてシンプルです。 この地域区分のパーセンテージ(1単位あたりの単価)を、全国一律で「物価スライド」させて引き上げればいいのです。
たとえば、これまで1単位10円(その他)だった地域を、一気に10.5円や11円にベースアップするイメージです。
この方法には、既存の加算制度にはない2つの圧倒的なメリットがあります。
メリット1:事業所の事務負担が「完全ゼロ」
新しい加算の申請書を作る必要も、ケアマネジャーさんとの面倒な調整も一切ありません。請求システム上の地域区分の設定数値を変更するだけで、自動的に事業所の総収入が上がります。現場の書類仕事は「1秒も増えない」のです。
メリット2:言い訳が立たない「物価高」を大義名分にできる
「全国一律で物価が上がっており、全地域で生活コスト・運営コストが高騰しているから、地域区分の基準値を底上げする」。これは、誰が見ても筋が通った、最も説得力のある理由になります。
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まとめ
何かを改革しようとするとき、国や行政はつい「新しいルールや加算」を作りたくなります。しかし、今の介護現場に本当に必要なのは、ルールの追加ではなく「手間の削減」と「確実なベースアップ」です。
デイサービスやショートステイなどの基本単位数をいじる必要すらありません。地域区分の単価を書き換えるだけなら、国も自治体も、そして現場の事業所も、誰も余計な労力を使いません。
これほどコストパフォーマンスが高く、現場の全職種が平等に救われる物価高対策はないのではないでしょうか。
現場の負担を増やさずに、働く人の生活をシンプルに守る。 そんな「現場に優しい介護報酬改定」が議論のテーブルに上がることを、切に願っています。
皆さんは、この「地域区分の底上げ案」、どう思われますか?
