財務省が主張する「介護サービスは利益率が高い」の違和感
2026年4月28日に開催された財政制度等審議会にて、財務省から「介護サービスの利益率は高い」という驚きのデータが提示されました。
https://www.joint-kaigo.com/articles/45788/
次回の介護報酬改定に向けて「報酬の引き下げ」を視野に入れた議論が進められているようですが、現場で働く生活相談員の視点から見ると、この主張には強い違和感を覚えざるを得ません。
takuma
生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)
デイサービスとショートステイで、利用者・家族・職員の“間”に立ちながら日々奮闘しています。
現場で感じた違和感や気づきを言葉にし、「学び続ける相談員」を目指して情報発信中。
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財務省が示す「介護サービスは利益率が高い」というデータ
ニュースの要点をまとめると、財務省は以下のような数字を提示しています。
【財務省が提示した主な数字】
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全介護サービスの平均利益率: 4.7%
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訪問介護の利益率: 9.6%
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通所介護(デイサービス)の利益率: 6.2%
財務省側は「中小企業など一般企業の平均利益率と比較しても、介護事業の利益率は決して低くない。むしろ高い水準にあるため、次回の改定で引き下げる余地がある」という論調を進めています。
現場のリアルな「肌感」との圧倒的なズレ
この数字を見て、現場で働くみなさんはどう感じられたでしょうか? おそらく「本当にそんなに利益が出ているの?」と首をかしげたはずです。実際の現場には、数字とはかけ離れた以下のような現実があります。
1. 物価高騰に対するスライド対策のなさ
前回の報酬改定以降、電気代、ガソリン代、食材費、消耗品費など、ありとあらゆる物価が上昇しています。しかし、それに対する実質的な補填対策はほぼ取られていません。経営面では、物価上昇の分だけ確実に圧迫されています。
2. 訪問介護の「一律引き下げ」で叩かれた過去
前回の改定時、訪問介護の基本報酬が引き下げられ、業界内外から猛烈な批判を浴びたのは記憶に新しいところです。それにもかかわらず、今回「訪問介護の利益率は9.6%と高い」と一括りにされることには疑問しかありません。この数字は、本当に地方の小さな事業所の実態を反映しているのでしょうか。
3. 一向に上がらない「現場の給与」
もし本当にこれだけの利益率が安定して出ているのであれば、現場スタッフの給与に還元されてしかるべきです。しかし、依然として他産業との賃金格差は埋まっていません。
疑問:一体「どこ」の数字を切り取っているのか?
介護保険制度という公的な枠組みの中で、この数字だけが独り歩きすることには強い危機感を覚えます。
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一部の大規模な法人が効率化によって出している利益が、全体の平均を大きく押し上げているのではないか?
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人手不足すぎて「スタッフを雇いたくても雇えない(人件費を払えない)」結果として、帳簿上に利益が残ってしまっているだけではないか?
このように、「数字上は上がっているように見えても、その背景にある現場の困窮が無視されている」という可能性を疑わざるを得ません。
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まとめ
今回の財務省の提言は、あくまで次の報酬改定に向けた「議論のたたき台」ではありますが、「介護は儲かっているから下げよう」という空気が作られてしまうのは非常に危険です。介護報酬が下げられれば、最終的にしわ寄せがいくのは現場の職員であり、サービスを利用する高齢者やそのご家族です。
国が見ている「データ」と、実際にサービスを動かす「現場」のズレ。 わたしはこれからも、データだけでは見えてこない「現場のリアルな肌感」を発信していきたいと思います。
