デイサービスの送迎時間は「報酬ゼロ」?知られざる制度の矛盾
街中を走るデイサービスの送迎車。皆さんも一度は見かけたことがあるのではないでしょうか。
高齢者の在宅生活を支えるために欠かせない送迎ですが、実はこの「移動時間」、介護報酬としては1円も発生していないことをご存知でしょうか?
今回は、現役の生活相談員であるわたしが、現場で日々感じている「送迎制度の構造的な矛盾」について本音でお話しします。
takuma
生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)
デイサービスとショートステイで、利用者・家族・職員の“間”に立ちながら日々奮闘しています。
現場で感じた違和感や気づきを言葉にし、「学び続ける相談員」を目指して情報発信中。
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送迎時間は「サービス提供時間」に含まれない
デイサービスの料金(介護報酬)は、利用者が「施設に滞在した時間」によって決まる仕組みになっています。
たとえば、わたしの事業所では「7時間以上8時間未満」という枠を基本にしていますが、カウントされるのは次のような時間です。
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9:00 施設に到着(ここから報酬が発生)
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16:00 施設を出発(ここで報酬のカウントは終了)
では、その前後の時間はどうなっているでしょうか。 朝9時に施設へ到着するためには、職員は8時や8時半からお迎えに出発しています。帰りも同様に、16時に出発して全員を送り届け、事業所に戻ってくる頃には17時を過ぎています。
この前後1.5〜2時間の「送迎時間」は、制度上、サービス時間として一切カウントされません。 つまり、どれだけ安全運転に気を配り、車内でご利用者の様子に目を光らせていても、その時間は「報酬ゼロ」の扱いになっているのです。
「やって当然、やらなければペナルティ」の歪み
「それなら、送迎をやめて施設に直接来てもらえばいいのでは?」と思われるかもしれません。しかし、制度はそうなっていません。
デイサービスは、最初から「送迎を行うこと」を前提にセットで設計されているからです。
もしご家族が送り迎えをするなどして施設側が送迎を行わなかった場合、基本料金から「片道につき減算(ペナルティとして料金が安くなる)」されてしまいます。
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送迎をしないと、売上が下がる(減算)
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送迎をしても、その時間の報酬は出ない(基本料に含まれるという建前)
燃料費が高騰し、深刻な人手不足が続く今の時代に、この「送迎コストの持ち出し」は経営を圧迫する大きな要因になっています。車を維持する費用も、ガソリン代も、運転する職員の人件費も、すべて現場の持ち出しに近い状態で成り立っているのが現状です。
命を預かる移動時間に、正当な評価を
送迎中の車内は、ただの「移動」ではありません。 車への乗り降りを介助し、体調に変化がないか声をかけ、安全に自宅まで送り届ける。これも立派な「対人援助」であり、大切なケアの時間です。
それにもかかわらず、国の会議(社会保障審議会など)を見ても、この送迎にかかる貴重な資源やコストのあり方について、十分に議論し尽くされているとは言えないように感じます。
今後の介護保険制度を維持していくためにも、
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送迎にかかる拘束時間の適正な評価
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実態に見合った報酬体系へのアップデート
が、今こそ必要なのではないでしょうか。
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おわりに
毎日、地域の高齢者の「足」となり、安全第一でハンドルを握っている介護職員の皆さん、本当にお疲れ様です。
当たり前のように行われている送迎の裏側には、こうした現場のプロたちの奮闘と、制度の歪みがあります。
この記事が、介護現場のリアルな課題を知るきっかけになれば幸いです。
