【介護現場のDX】FAX・紙運用から抜け出す業務効率化の進め方
介護・福祉の現場で働いていると、毎月の「月初業務」の忙しさに追われることも多いのではないでしょうか。
日々、目の前の利用者様へのケアに全力を注ぐ一方で、ふと「この事務作業、もっと効率化できるんじゃないか……?」と疑問に思う瞬間は少なくありません。
今回は、多くの介護現場に根強く残る「FAX・紙運用」の課題を整理し、大きな予算をかけられない小さな事業所でも進められる現実的な業務効率化の進め方について考えてみたいと思います。
takuma
生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)
デイサービスとショートステイで、利用者・家族・職員の“間”に立ちながら日々奮闘しています。
現場で感じた違和感や気づきを言葉にし、「学び続ける相談員」を目指して情報発信中。
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介護現場に立ちはだかる「アナログ業務」の現実
他の業界から見ると驚かれることも多いですが、介護業界では今なおFAXや手書きの紙運用が主流です。よくある非効率な業務の具体例として、以下のようなものがあります。
活用しきれていないメールアドレス
事業所宛てのメールアドレスはあるものの、うまく機能していなかったり、業界全体の慣習として結局FAXが選ばれてしまったりします。相手があることなので、自社だけではデジタル化を進めにくいという側面もあります。
FAX送受信にまつわる二重の手間
さすがに「FAXを送った後に届いたか電話する」ケースは減ってきましたが、「届いたら折り返しFAXを返す」といったルールが残っているケースは未だに多いです。これだけでもかなりの手間と時間が割かれています。
ショートステイの居室管理における「紙運用」
Excelで管理してはいるものの、ケアマネジャーやご家族から電話で予約変更が入るたびに、まずは「印刷した紙に手書きでメモ」をする。そして、そのメモが溜まったら再度Excelに入力し直して、また印刷する……という完全な二重管理(紙運用)になっているケースも少なくありません。
システム導入が進まない理由と使い勝手のジレンマ
もちろん、こうした業務を効率化するための「送迎配車ソフト」や「居室管理システム」は世の中にたくさん存在します。しかし、多くの事業所で導入が進まないのには明確な理由があります。
高いコストの壁
導入費用や月々のランニングコストは、特に規模の小さな事業所にとっては大きな負担となります。
既存ソフトのカスタマイズ性の低さ
運よく記録業務などをタブレットへ一元化できたとしても、パッケージ化されたシステムは細かいカスタマイズができません。「ここがもうちょっとこうなれば使いやすいのに……」という不便さは残り、導入したからといって劇的にすべてが楽になるわけではないのが現実です。
小さな事業所だからこそ求められる「個人のキャッチアップ力」
限られた人材で日々の業務を回していくためには、効率化は不可欠です。しかし、現実には「今の通常業務を回すだけで手一杯で、効率化を考える余裕(リソース)がない」という悪循環に陥っている現場を多く見かけます。
大手の法人であれば、本部が一括してシステムを選定・導入してくれるかもしれません。しかし、わたしたちのような小さな事業所では、待っているだけでは何も与えられないのが現実です。
だからこそ、現場の一人ひとりが「個人のキャッチアップ力(新しい技術に関心を持ち、試してみる力)」を持つことが重要になってきます。
高額なシステムを買わなくても、現在はAIのサポートを受けながら、個人がノーコード(ローコード)で簡単な管理アプリを作れる時代になりつつあります。「どうせ無理」と諦めずに、「何かいい方法はないか」とアンテナを張り、試行錯誤してみる姿勢が、数年後に大きな業務環境の差となって現れます。
FAX・紙運用から抜け出すための3ステップ
一気にすべてをデジタル化しようとすると、現場の反発や混乱を招きます。まずは予算をかけず、できるところから小さく始めるのが成功のコツです。
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ステップ①:業務の「二重手間」を洗い出す 「紙に書いてからパソコンに入力しているもの」など、無駄な往復が起きている業務を特定します。
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ステップ②:身近なデジタルツールに置き換える Excelの共有設定を使ったり、クラウドシートを活用して、全員がリアルタイムで直接入力・確認できる環境を作ってみます。
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ステップ③:自社に合う仕組みを試作してみる 最近のノーコード開発やAIツールを活用し、自社の業務フローにぴったり合った「オリジナルの居室管理表や送迎表」を自作できないか、少しずつ試行錯誤してみるのもひとつの方法です。
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まとめ
介護の本質は「対人援助」であり、利用者様と向き合う時間です。だからこそ、機械やデジタルに任せられる事務作業は、どんどん効率化していくべきです。
与えられたシステムをそのまま使うだけでなく、現場のわたしたちが「もっと楽にする方法はないか」とキャッチアップし、試行錯誤していくこと。その小さな一歩の積み重ねこそが、これからの限られた人材の中で介護現場を回していく大きな力になります。
あなたの現場でも、まずは「紙への手書きメモ」を1つ減らすことから、始めてみませんか?
