今日は、介護現場で働くわたしたちが避けては通れない、けれど少し話しにくい「お金」と「経営」の話をしたいと思います。
学生時代、わたしは「困っている人の役に立ちたい」という純粋な気持ちでこの業界を目指していました。しかし、実際に現場に出て痛感したのは、「理想のケアを続けるためには、しっかり稼ぐ力が必要だ」というシビアな現実でした。
今回は、生活相談員の視点から見た「介護とお金のリアル」について、わかりやすく紐解いていきます。
takuma
生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)
デイサービスとショートステイで、利用者・家族・職員の“間”に立ちながら日々奮闘しています。
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介護の仕事で「お金を稼ぐ」のは悪いこと?
よく、「福祉の仕事なのに、お金儲けなんて……」という声を聞くことがあります。 たとえば、飲食店が「行列を作って大儲けしたい!」と言えば努力の証として称賛されますが、介護施設が「もっと利益を上げよう」と言うと、なぜか「冷たい」「ビジネスライクだ」と感じてしまう風潮があります。
しかし、これは大きな誤解です。 結論から言えば、介護において「稼ぐこと」は、利用者様とスタッフを守るための「責任」そのものなのです。
公務員と介護職の決定的な違い
「介護報酬は税金や保険料から出ているのだから、公務員みたいなものでしょう?」と思われるかもしれません。しかし、ここには決定的な違いがあります。
公務員の方々は、あらかじめ決められた予算の中で動きます。一方で、わたしたち介護事業所は、「サービスを提供した分だけ、後から報酬をいただく」という仕組みで動いています。
つまり、待っているだけでは1円も入ってきません。
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利用者様に「ここに来たい」と選んでいただくこと(営業努力)
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入浴や質の高い専門ケアを提供すること(加算の取得)
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資格を持ったスタッフを適正に配置すること
こうしたひとつひとつのアクションが、事業所の収入、つまりはわたしたちの給料や施設の設備投資につながっています。わたしたちは、決められた予算を消化する存在ではなく、自分たちの手で価値を生み出し、対価を得なければならない「経営体」なのです。
「介護経営」という超難易度の高いゲーム
わたしは、介護経営を「ルールが極めて厳しい、難易度の高いゲーム」だと捉えています。
一般的なビジネスであれば、サービスの価格を自分たちで自由に決めることができます。しかし、介護保険制度の下では「単価(介護報酬)」は国によって厳格に決められています。
この決められた枠組み(ルール)の中で、いかに効率よく、かつ質の高いケアを提供して収益を上げるか。これは非常に高度な戦略が必要です。
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どうすれば稼働率を100%に近づけられるか?
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どの加算を取得すれば、ケアの質と利益を両立できるか?
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地域のケアマネジャーに、どうやって自所の強みを伝えるか?
こうした「裏側の仕組み」は、学生時代には全く見えていなかった部分でした。しかし、このゲームに負けて赤字になれば、どれだけ素晴らしい理念を持っていても、施設は潰れ、利用者様は行き場所を失ってしまいます。
「純粋な想い」を形にするために
もちろん、この業界に来る人の多くは「人の役に立ちたい」という純粋な気持ちを持っています。
しかし、その「役に立ちたい」という想いだけで走っていると、いつか燃料切れを起こしてしまいます。 「お金」の話をタブー視せず、健全な経営を行うことは、以下の循環を生みます。
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利益が出る
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スタッフの処遇を改善し、新しい設備を導入できる
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スタッフの心に余裕が生まれ、ケアの質が上がる
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利用者様の満足度が上がり、さらに選ばれる施設になる
このプラスのサイクルを回すことこそが、真の「福祉の精神」ではないでしょうか。
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まとめ
「お金を稼ぐこと」と「相手を思いやること」は、決して対立するものではありません。
むしろ、「お金という現実をしっかり支えるからこそ、理想のケアを追求できる」。これが、わたしが現場で学んだ答えです。
もし、あなたが今「お金のことを考えるのは、福祉職としてどうなんだろう?」と悩んでいるなら、どうか自信を持ってください。あなたが経営や数字に向き合うことは、目の前の利用者様の日常を、明日も明後日も守り抜くための、とても誠実な行動なのです。
理想を語りながら、数字も語れる。そんな「強い相談員」を、一緒に目指していきましょう。

