介護や福祉の現場で働いていると、利用者様から
「あなたに会えるのが楽しみ」
「あなたがいてくれて本当によかった」
と温かい言葉をいただくことがあります。
直接的な「ありがとう」の声は、わたしたちの何よりの活力になります。しかし、その喜びの裏側に、プロとしての判断を狂わせる「危うさ」が潜んでいることを、わたしたちは忘れてはなりません。
今回は、対人援助職が向き合うべき「承認欲求」との距離感について、わたし自身の自戒も込めてお話ししたいと思います。
takuma
生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)
デイサービスとショートステイで、利用者・家族・職員の“間”に立ちながら日々奮闘しています。
現場で感じた違和感や気づきを言葉にし、「学び続ける相談員」を目指して情報発信中。
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無意識の「選別」が始まっていないか
人間である以上、自分を肯定してくれる人を好ましく思うのは自然な感情です。しかし、仕事の目的が「感謝されること」にすり替わってしまうと、心の中に「選別」が生まれます。
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感謝を言葉にしてくれる人には、手厚く接したくなる。
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反応が薄い人や厳しい言葉を投げる人には、消極的になってしまう。
もし無意識にこうした線引きをしているとしたら、それは利用者様のためではなく、「自分の承認欲求」のために動いているサインかもしれません。フラットな視点でケアを提供する専門職として、立ち止まって考えたいポイントです。
「感謝」の裏側にある利用者様の知恵
利用者様は、長く豊かな人生を歩んでこられた知恵を持っています。 支援を受けるという「立場」を理解されているからこそ、円滑な関係を保つために「あなたがいなきゃダメだ」と、あえて立ててくださる場合もあります。
これを単なる「自分の実力への賞賛」としてそのまま受け取ってしまうと、自己評価を過大に膨らませてしまう恐れがあります。
相手の言葉を社交辞令として切り捨てるのではなく、その言葉が発せられた背景や、利用者様の配慮にまで思いを馳せる冷静さが必要です。
「自己覚知」というプロの技術
では、承認欲求に飲み込まれないためにはどうすればよいのでしょうか。 そこで鍵となるのが、「自己覚知(じこかくち)」です。
「今、わたしはどんな感情で動いているのか?」
「わたしは今、認められたくてこの発言をしていないか?」
「褒められて、慢心が生まれていないか?」
自分を一段高いところから俯瞰して見る。この内省の習慣こそが、専門職としてのスキルアップに直結します。
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まとめ
「ありがとう」という言葉は、ゴール(目的)ではなく、誠実な支援の結果としていただく「副産物」のようなもの。
そう捉え直すことで、わたしたちは初めて、相手の感情に左右されない安定したサービスを提供できるようになります。
自己肯定感は大切にしながらも、常にフラットな視点を。 目の前の利用者様にとって本当に必要なケアは何なのか、これからも問い続けていきたいですね。

