「さっきも同じこと教えたよね……?」
指導する側なら一度は喉まで出かかって、グッと飲み込んだことのあるこの言葉。 一方で、たった一言伝えただけで、現場のあらゆる場面でそれを応用してしまう「驚くほど察しがいい人」もいます。
この両者の差は、決して地頭の良さや才能ではありません。実は、頭の中にある「ある思考のスイッチ」が入っているかどうかの違いなんです。
今回は、仕事のスピードが劇的に変わる「横展開」の思考法についてお話しします。
takuma
生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)
デイサービスとショートステイで、利用者・家族・職員の“間”に立ちながら日々奮闘しています。
現場で感じた違和感や気づきを言葉にし、「学び続ける相談員」を目指して情報発信中。
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・職業情報サイトへ生活相談員に関する記事提供実績あります。その他介護情報サイトへ記事提供実績もあり。
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「点」で終わる人と、「面」に広げる人の違い
介護や支援の現場で、こんなアドバイスをしたとします。 「Aさんは耳が少し遠いので、正面から大きな声でお話ししてくださいね」
ここで、「何度も同じミスをする人」は、「Aさん=大きな声」という情報を一つの「点」として暗記します。その結果、同じように耳が遠いBさんに対しては、これまで通りの小さな声で接してしまい、また同じ指摘を受けることになります。
対して、「一度言えばわかる人」の頭の中では、瞬時にこんな処理が行われています。
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【具体】 Aさんは耳が遠いから大きな声が必要だ。
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【抽象化】 つまり、「耳が聞こえにくい方」には、視覚情報を入れつつ声を張ることが共通の正解なんだな。
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【横展開】 だとしたら、BさんもCさんも耳が遠いから、同じように対応しよう。
これが、教わったことを「点」で終わらせず、他の場面へ「面」として広げられる人の思考プロセスです。
賢い人のインプット術
もうひとつ、送迎の場面を例に出してみましょう。 「雨の日は、〇〇様宅の玄関先が滑りやすいので注意してください」と教わったとき、あなたならどう考えますか?
「〇〇さんの家だけ気をつけよう」と思うのはもったいない。 一度言えばわかる人は、ここで「抽象化のスイッチ」を入れます。
「雨の日にタイル張りの玄関が滑りやすいなら、あそこのデイサービスの入り口も危ないかもな」「他のお宅でも、スロープがある場所は要注意だ」と、自分で勝手にリスクを予測し、対策を広げていくのです。
一度の指導を10倍の経験値に変えられるかどうかは、この「具体→抽象→具体」のサイクルを回せるかどうかにかかっています。
なぜ「横展開」できないと損をするのか?
この「横展開」ができないと、残念ながら何度も何度も同じことを言われ、周囲からの評価も下がってしまいます。
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書類の締め切りを注意された時: 「その書類」だけ出せばいいと思うか、「他の依頼された仕事の期限も確認しよう」と思うか。
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挨拶を注意された時: 「その利用者さん」にだけ挨拶するか、「全ての接遇において基本を見直そう」と思うか。
「ひとつ言われたら、それ以外にも当てはまることはないか?」 この視点をひとつ持つだけで、周囲からの信頼は「察しのいい人」へと一気に変わります。
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まとめ
「自分はそこまで頭が回らない……」と思う必要はありません。これは才能ではなく、単なる「思考のクセ」だからです。
何かアドバイスをもらったとき、心の中でこう問いかけてみてください。
「これ、他の場面でも使えることかな?」
この小さな問いかけが、あなたの仕事を「点」から「面」へと変え、成長スピードを何倍にも加速させてくれるはずです。

