4月に入り、新しい年度がスタートしましたね。 デイサービスなどの介護現場で、毎月上旬の「恒例行事」といえば請求業務です。
前月にご利用いただいた皆さんの実績をまとめ、ケアマネジャー(居宅介護支援事業所)へ報告し、国保連(国民健康保険団体連合会)にレセプトを提出する。この業務が滞ると事業所に報酬が入ってこないため、非常に責任の重い仕事です。
今回は、請求業務の中でよく耳にするけれど、新人の頃は「なんじゃそりゃ?」となりがちな「月遅れ請求」について深掘りして解説します。
takuma
生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)
デイサービスとショートステイで、利用者・家族・職員の“間”に立ちながら日々奮闘しています。
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なぜ「月遅れ」が発生するのか?
通常、介護報酬は「サービスを提供した翌月の10日まで」に請求します。しかし、どうしてもその期間に請求できないケースがあります。
その代表例が、「要介護認定の区分変更申請」を出しているケースです。
認定結果が出るまでのタイムラグは、通常1ヶ月、状況によっては2ヶ月ほどかかることも珍しくありません。この期間は「要介護2」なのか「要介護3」なのかといった介護度が正式に決まっていないため、請求額を確定させることができないという問題が生じます。
もし「おそらく要介護2で下りるだろう」と予測で請求を出してしまい、実際の判定が「要介護3」だった場合には、国保連から「返戻(へんれい)」として書類が差し戻されてしまいます。そうなると、改めて正しい内容で再請求を行う手間が発生し、結果として事業所への入金も大幅に遅れてしまうリスクがあるのです。
これを避けるために、認定が出るまで請求をあえて行わず、翌月以降に持ち越す。これが「月遅れ請求」です。
「月遅れ請求」で注意すべき3つのポイント
一見、単に「待つだけ」に見える月遅れ請求ですが、実務では以下の段取りが重要になります。
① 区分変更者の把握を徹底する
一番怖いのは「実はケアマネ側で区分変更をかけていた」という情報がこちらに届いていないケースです。そのまま旧区分で請求してしまうと返戻になります。日頃からケアマネジャーとの情報共有を密にし、月次実績のやり取りの際に「認定状況」を確認するクセをつけましょう。
② 「実績報告」と「請求」を切り分ける
国保連への「請求」は月遅れにしますが、ケアマネジャーへの「実績報告」は毎月行います。ケアマネジャーは給付管理票を作成する必要があるため、「認定待ちのため、今月は請求なし(保留)」という認識を一致させておく必要があります。
③ キャッシュフローへの影響
月遅れ請求にすると、当然その月の入金は「ゼロ」になります。月遅れ請求のご利用者が重なった場合、事業所の運営資金に影響が出る可能性もゼロではありません。事務担当としては、どのくらい「保留」にしている案件があるかを把握しておくことが大切です。
医療と介護、請求の難しさは「段取り」にあり
医療の世界も同様ですが、介護保険制度における報酬獲得は、単に「ケアを提供した」だけでは完結しません。
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正しいルールを知っていること
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関係各所(ケアマネ・自治体)と連携が取れていること
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期日までに正確な書類を整えること
こうした「事務的な段取り」があって初めて、現場の頑張りが正当な報酬として評価されます。
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まとめ
「月遅れ請求」という言葉ひとつとっても、その裏には介護保険制度の仕組みと、現場の緻密な管理が隠れています。
働き始めたばかりの頃は「専門用語ばかりで難しい!」と感じるかもしれませんが、ひとつひとつの仕組みを理解していくと、点と点が線でつながる面白さがあります。
請求業務という大きな山を越える皆さま、本当にお疲れ様です。 しっかり事務を整えて、また明日からの現場を支えていきましょう!

