介護・福祉情報

【介護の現場から】「施設入所を本人に伝えない」のは優しさか、それとも…

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ショートステイの相談員として日々多くの方と接していると、避けては通れない「ある難しい場面」に直面することがあります。

それは、ショートステイを「施設入所までのつなぎ」として利用されている方が、いよいよ本入所を迎えるとき。ご家族からこのように相談されることがあります。

「本人には、施設に入ることを伝えないでください」

今日は、介護現場で繰り返されるこの「伝え方」のジレンマについて、現場の視点からお話ししたいと思います。

この記事を書いた人

takuma

生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)

デイサービスとショートステイで、利用者・家族・職員の“間”に立ちながら日々奮闘しています。
現場で感じた違和感や気づきを言葉にし、「学び続ける相談員」を目指して情報発信中。

・kindle出版で『対人援助一年目の教科書』『学び続ける生活相談員』発売中。

職業情報サイトへ生活相談員に関する記事提供実績あります。その他介護情報サイトへ記事提供実績もあり。

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「伝えない」という選択の裏にあるもの

教科書的な「自己決定の原則」に照らせば、自分のこれからの生活の場を自分で納得して決めるのが理想です。しかし、現実はそう簡単ではありません。

現場でご家族が「伝えない」ことを選ぶのには、切実な理由があります。

  • 激しい拒否や不穏への不安: 伝えた瞬間からパニックになったり、「捨てられる」と悲しんで夜も眠れなくなったりするのではないかという懸念。

  • 認知症による理解の難しさ: 短期記憶の保持が難しく、何度説明しても「初めて聞いた」と混乱させてしまうことへの疲弊。

  • ご家族の罪悪感: 「自分の手で預ける」という事実を直視するのが辛く、せめて穏やかなまま送り出したいという願い。

実際、ショートステイ最終日にご家族がお迎えに来て、そのまま行き先を告げずに施設へ向かう……という光景は、決して珍しいことではありません。

現場で感じる「答えのない問い」

わたしたち職員も、ご家族の思いを汲み、あえて事実を伏せたまま「お迎えが来ましたよ」と送り出すことがあります。しかし、それで全てが丸く収まるわけではありません。

施設に到着した後、「なぜここに連れてこられたのか」「騙された」と、かえって強い不信感や不穏な状態を招いてしまうケースも見てきました。

  • 伝えた場合: 入所前に激しい衝突があるかもしれないが、納得(または諦め)のプロセスが踏める。

  • 伝えない場合: 入所までを穏やかに過ごせるが、入所後に信頼関係が崩れるリスクがある。

教科書的には、自己決定の原則に基づき、本人に施設入所の事実を伝えた上で、本人が納得して決めるべきものです。しかし、現実には、ご本人の状態やご家族の状況により、それが極めて難しい場面も多々あります。

これは、理想と現実の狭間で、その都度、関係者が悩み抜く問題なのです。

「伝える」「伝えない」よりも大切なこと

相談員の立場として感じるのは、「伝える・伝えない」の二択よりも、その後のケアをどう準備しておくかが重要だということです。

もし、ご家族が「伝えない」ことを選んだのなら、わたしたちはその決断を否定しません。ただ、本人が施設で「なぜ?」と混乱したときに、どうフォローし、どう安心感を与えられるかを、施設側としっかり連携していくことがわたしたちの役目です。

 

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最後に

「本人に嘘をついているようで心苦しい」 「正直に話して拒絶されるのが怖い」

そんな風に悩まれているご家族はたくさんいらっしゃいます。でも、どうか自分を責めないでください。悩むのは、それだけご本人のことを大切に想っている証拠ですから。

正解のない問いだからこそ、わたしたち専門職と一緒に、その方にとっての「最善」を一緒に探していければと思っています。