「介護支援専門員(ケアマネジャー)」という専門職において、避けては通れないのが「更新研修」の存在です。
数年に一度、膨大な時間と費用を費やして受講するこの制度。しかし、現場の第一線で働く専門職からは「実務への還元度が低い」「負担に見合っていない」という切実な声が絶えません。
今、ケアマネジャーの更新制を巡る議論が動いています。「更新制廃止」の動きに対し、わたしたちは何を考え、どう向き合うべきなのでしょうか。
takuma
生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)
デイサービスとショートステイで、利用者・家族・職員の“間”に立ちながら日々奮闘しています。
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現場が直面する「更新研修」の三大苦
現在、ケアマネジャーの資格を維持するためには、実務従事者であっても定期的に更新研修を受講し、修了する必要があります。このプロセスには、専門職として無視できない3つのコストがかかっています。
経済的負担
研修費用は決して安くありません。多くの事業所では自己負担となっており、個人の懐を痛めています。
時間的拘束
数十時間にも及ぶ研修は、多忙な実務の合間を縫って参加しなければならず、精神的・肉体的な負荷は相当なものです。
機会損失
現場の最前線にいるべき貴重な時間を研修に割くことが、かえって利用者への支援時間を削っているというパラドックスが生じています。
「質の担保」という大義名分の危うさ
研修を推進する側の最大の主張は「研修によるケアマネジャーの質の担保」です。しかし、ここで一つの問いが浮かび上がります。
「研修受講が、ケアマネジャーの専門性向上に直結しているというエビデンスは存在するのか?」
残念ながら、研修を受けたことでケアマネジャーの質が具体的にどう向上したのか、その因果関係を証明する客観的なデータは乏しいのが実情です。内容の陳腐化や実務との乖離が指摘される中で、義務的に研修を繰り返すことが、果たして「質の向上」につながっているのでしょうか。
「更新制廃止」のその先に潜む課題
現在、議論されている「更新制の廃止」という方向性には期待の声がある一方、「研修の受講義務は残る」という方針も示されています。
もし更新は不要になっても研修受講義務が形を変えて残るだけであれば、それは単なる言葉のすり替えに過ぎません。研修という巨大なシステムそのものに収益の構造や利権が絡んでいるのであれば、制度の抜本的な改革は一筋縄ではいかないでしょう。
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専門職として、あるべき姿とは
ケアマネジャーは本来、専門職(プロフェッショナル)です。
専門職であるならば、制度に強制されずとも、自律的に自己研鑽(じこけんさん)を重ね、最新の知識や技術を習得するのは当然の責務です。多くのケアマネジャーは、日々の業務の中で利用者一人ひとりと真摯に向き合い、困難なケースに頭を悩ませながら学び続けています。
わたしたちが必要としているのは、「強制される形式的な研修」ではなく、「実務の質を真に高められる、有意義かつ効率的な学びの場」です。
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実務直結型のプログラムへの刷新
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多忙な現場を配慮した柔軟な受講形態
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義務感ではなく、意欲に基づいた学習環境の構築
これらが実現されて初めて、ケアマネジャーという資格は、名実ともに信頼される専門職としての地位を確立できるのではないでしょうか。
制度が変わるのを待つだけでなく、現場の声として「何が本当に必要な学びなのか」を発信し続けていくことが、今こそ重要です。

