「…え、今のなんて言ったの?」
社会福祉士として病院や施設に飛び込んだは良いものの、飛び交う専門用語の嵐に圧倒されて、自分の無力さを痛感したことはありませんか?
「DNR」「DM」「OT」……。 学校の教科書には載っていなかった略語が、現場では当たり前のように飛び交います。医師や看護師の会話が呪文のように聞こえ、カンファレンスで相槌を打つのが精一杯だったあの頃、わたしは「言葉を知らないことは、武器を持たずに戦場に立つことと同じだ」と気付きました。
しかし、ただ専門用語を覚えればいいわけではありません。実は、「言葉を知っているプロ」ほど、陥りやすい罠もあるのです。
今回は、病院MSWからデイサービスの生活相談員へとキャリアを歩んできたわたしが、現場で泥臭く学んだ「社会福祉士が持つべき言葉の作法」について、本音で語りたいと思います。
takuma
生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)
デイサービスとショートステイで、利用者・家族・職員の“間”に立ちながら日々奮闘しています。
現場で感じた違和感や気づきを言葉にし、「学び続ける相談員」を目指して情報発信中。
・kindle出版で『対人援助一年目の教科書』『学び続ける生活相談員』発売中。
・職業情報サイトへ生活相談員に関する記事提供実績あります。その他介護情報サイトへ記事提供実績もあり。
・Xでの発信もしています。
詳しい自己紹介はこちら。
新人時代の絶望。「DNR?OT?…それ日本語?」
わたしが社会人1〜2年目、病院でMSWとして働き始めた頃の話です。
カンファレンスに出席すると、そこはもう「略語と専門用語のオンパレード」でした。
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「急変時はDNR(蘇生不要)で」
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「HT(高血圧)とDM(糖尿病)の既往があって…」
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「PT(理学療法士)・OT(作業療法士)の進捗はどう?」
正直、当時は「何語を喋ってるの?」と頭の中がハテナマークでいっぱい。社会福祉士の養成課程では習わないような医療用語が飛び交い、ついていくだけで必死でした。
「相手の土俵」に立つための歩み寄り
多職種連携が叫ばれる今、お医者さんや看護師、リハビリ職の方々と対等に話すためには、「相手に歩み寄ってもらう」のを待っていてはダメだと痛感しました。
よく「大工には大工の言葉を使え」と言われますが、まさにその通り。
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相手が普段使っている言葉を理解する。
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相手の専門領域にリスペクトを持ち、共通言語を覚える。
自分自身が困らないため、そして何よりスムーズに仕事を進めるために、相手の言葉を覚えることは社会福祉士にとって「必須のスキル」なんですよね。
プロの証は「使い分け」にあり
ここでひとつ、わたしたちが肝に銘じておきたいルールがあります。
それは、「専門用語は、ひけらかすための道具ではない」ということ。
| 相手 | 言葉の選び方 | 目的 |
| 他職種(医師・看護師等) | 専門用語・略語を適切に使う | 迅速かつ正確な情報共有のため |
| クライエント(利用者様) | 誰にでもわかる平易な言葉 | 安心感と正しい理解のため |
専門職相手にはスムーズな連携のために専門用語を使い、一方で知識のないクライエントに対して「さも知っていますよ」という顔で難しい言葉を使うのは、ただの自己満足。「伝わらなければ、言葉に意味はない」のです。
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まとめ
社会福祉士は、制度と人、病院と地域、専門職と家族をつなぐ「架け橋」のような存在です。
膨大な知識をただ詰め込むのではなく、目の前の相手に伝わる言葉へと「翻訳」して届ける。そのひと手間にこそ、わたしたちの本当の専門性が宿るのではないでしょうか。
ときに言葉の壁にぶつかり、悩みながらも、誰かのために言葉を尽くしたあなた。 今日も一日、本当にお疲れ様でした。あなたの言葉が、きっと誰かの明日を救っているはずです。


