こんにちは、生活相談員のtakumaです。
わたしは現在、ショートステイやデイサービスで生活相談員として勤務していますが、それ以前は急性期病院で医療ソーシャルワーカー(MSW)として働いていました。
その頃は、何もかもが未知の世界で、毎日が試練の連続といった感じでした。
ですが今振り返れば、あのときの経験があるからこそ、今の自分があります。
この記事では、MSW1年目だった私が実際にぶつかった3つの壁と、それをどう乗り越えたかをお伝えします。
これから医療ソーシャルワーカーを目指す方や、同じように悩んでいる新人の方に、少しでも役立てばうれしいです。
takuma
生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)
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【言葉がわからない】専門用語・略語の壁
まず最初に困ったのは、医師や看護師をはじめ、病院のスタッフが使っている言葉がわからないということでした。
医療現場では、略語や専門用語が当たり前のように飛び交っています。
たとえばこんな言葉──
- DM → 糖尿病(Diabetes Mellitus)
- PT → 理学療法士(Physical Therapist)
- トランス → トランスファー=移乗
- DNR → 蘇生処置拒否(Do Not Resuscitate)
- ステルベン → お亡くなりになる(Sterben)
正直、はじめて聞く言葉ばかりで、何を言っているのか全然ついていけませんでした。
毎週参加していた内科のカンファレンスでは、医師の話にメモを取りながらも頭の中は「???」でいっぱいだったのを覚えています。
「こんなんで本当に仕事になるのか」と、焦りと不安でいっぱいでした。
どう乗り越えたか?
わからない言葉は、とにかくメモして、あとで調べる。これを習慣にしました。
最初は時間がかかりましたが、毎日コツコツと繰り返していくうちに、少しずつ医療用語にも慣れていきました。
また、同期の看護師やリハビリスタッフ、先輩のMSWに質問して、覚えるようにもしていました。
「わからないことをそのままにしない」
単純ですが、この姿勢が大切だと思います。
【制度がわからない】社会資源の壁
MSWの仕事の中で特に重要なのが、制度の知識です。
医療費の減免、生活保護、介護保険、障害福祉制度など、相談支援には制度の知識が欠かせませんが、1年目のわたしはどんな仕組みかすらわかっていませんでした。
たとえば、
- 急性期病院は治療が終わるとすぐに退院調整が必要なこと
- 高額療養費制度やいわゆる医療費減免制度によって、医療費が減額すること
- 生活保護受給者が医療機関を受診するための仕組み
- リハビリ病院や療養型病院には入院期間の目安があること
- 特養や老健、ケアマネジャーといった介護保険の仕組み
制度の名前は知っていても、実際にどのような仕組みになっているのかを知らず、患者さんやご家族にどう説明していいのか悩む毎日でした。
どう乗り越えたか?
制度についても、基本は調べることと、聞くことです。
業務後に自分で本やネットで情報収集をしつつ、先輩の支援事例を見て「こうやって活用するんだ」と肌で感じながら覚えていきました。
制度の知識は一気に身につくものではありません。
「ケースに出会ったときに、必要な制度を調べて対応する」
この積み重ねが、一番の勉強になると思います。
【医療知識がない】現場とのギャップ
医療現場で働くMSWにとって、医療の知識がないことによるギャップも大きな壁です。
- 胃ろう造設?
- 中心静脈栄養(IVH)?
- MRSA?
- バルーン留置?
- NIPPV?
どれも学生時代には習わなかった言葉で、最初は見ても聞いても理解できませんでした。
さらに、「この治療を終えたらどうなるのか?」「どの程度の回復が見込めるのか?」など、医療の視点がなければ退院支援もうまく進められません。
どう乗り越えたか?
この壁は、実際に患者さんと出会うことで乗り越えました。
「この方が胃ろうを造設した」「この方がNIPPVを使っている」という“実体験”を通して学んだことが、理解につながりました。
また、医師や看護師に「これはどういう意味ですか?」と聞くことも増えていきました。
わからないことは素直に聞くこと。これがとても重要です。忙しいときに聞くと嫌な顔をされることもありましたが、タイミングを見て声をかければ、意外と快く教えてくれました。
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おわりに
MSW1年目のわたしは、本当にたくさんの「わからない」に囲まれていました。
ですが、今振り返ると、それは「成長のタネ」でもあったと思います。
大切なのは、わからないことをそのままにしないことです。
メモする、調べる、聞く、そして実際に経験する──その積み重ねが、専門職としての自信につながります。
今、同じように悩んでいる方がいたら、ぜひ焦らず、ひとつずつ乗り越えてみてください。わからないからこそ、学び、成長するチャンスがあります。焦らず、自分のペースで一歩ずつ進んでいきましょう。この記事が何かのヒントになれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。