介護や福祉、医療など、人と関わる仕事をするうえで「資格」はとても重要です。
社会福祉士や介護福祉士、介護支援専門員(ケアマネジャー)、保育士、看護師、理学療法士など、対人援助の現場には多くの専門資格があります。
これから資格取得を目指して勉強している方や、すでに資格を持って働いている方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな「対人援助職の資格」について、わたし自身の経験を交えながらお話ししたいと思います。
takuma
生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)
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資格を持っていることは「できることの証明」
まず、資格を持っているということは、一定の知識や技術があることの証明になります。
たとえば──
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社会福祉士なら、福祉に関する高度な相談援助の専門知識と技術を持っている
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介護福祉士なら、日常生活に支援が必要な方の介護を行うための知識と技術を有している
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**介護支援専門員(ケアマネ)**であれば、ケアプランの作成や介護サービス調整などができる
こうした「専門職としてできること」が明確に定められているのが、資格の大きな特徴であり強みです。
資格を持っていなければ従事できない業務もあるため、資格は対人援助職にとって“土台”のような存在だと言えます。
資格を取るのは大変。でも本当のスタートはその先
わたし自身、社会福祉士・介護支援専門員・公認心理師といった資格を取得してきましたが、どれも決して簡単ではありませんでした。
仕事と両立しながらの勉強は正直しんどい部分もあり、何度もくじけそうになったことを覚えています。
だからこそ、資格を取れたときの喜びや達成感はとても大きなものでした。
でも、ある時ふと気づいたんです。
あれ? これって「できるようになった」だけで、強みにはなってないかも?
どういうことかというと、たとえば介護支援専門員として「ケアプランを作成できる」ようになったとしても、それは資格を持っている人なら誰でもできるということ。
つまり、「できること」と「自分だけの強み」は違うんです。
資格だけでは、差がつかない時代
かつては「資格を持っていれば仕事に困らない」という時代もありました。
でも、今はどうでしょうか?
資格を持っている人は年々増え、特に介護や福祉の分野では有資格者が増加しています。
そのため、「資格があること」自体は珍しいことではなくなってきています。
つまり、資格を持っているだけでは「その人らしさ」や「その人に頼みたい理由」にはなりにくくなっているのです。
たとえば、同じ介護支援専門員の資格を持つ人が10人いたとして、誰にケアプランをお願いしたいか?と考えたとき、
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利用者さんの立場で丁寧に話を聞いてくれる
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事業所や医療機関との連携が上手い
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家族に対する説明がわかりやすい
といった“プラスα”の部分で選ばれるのではないでしょうか。
資格取得はゴールではない。「成長のスタートライン」
ここで強くお伝えしたいのは、資格はあくまでもスタートラインだということです。
資格は「自分にできることの範囲」を広げてくれるものですが、それだけで“他者と差がつく”わけではありません。
本当に大事なのは、資格を取ったあとに何を学び、どう成長し続けるかです。
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資格で得た知識を、どう現場で活かしていくか
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自分の経験や個性とどう組み合わせていくか
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常に学び続け、自分の支援の質を高めていけるか
この姿勢こそが、「この人にお願いしたい」と思ってもらえる援助者になるために必要なことだと思います。
自分だけの強みは、経験と学びから生まれる
たとえば、同じ社会福祉士でも
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精神疾患を持つ方の相談に強い
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高齢者支援の地域資源に詳しい
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虐待や困難ケースへの対応経験が豊富
など、その人なりの「強み」や「専門分野」は経験と学びによって形成されていきます。
資格という「枠」にとらわれすぎず、「自分らしい働き方」「自分にしかできない支援」を追求していくことが、これからの時代に求められるのではないでしょうか。
おわりに|資格の先にある“あなたらしさ”を育てよう
資格を取ることは素晴らしいことです。
努力を積み重ねて、新たなスキルを得ることは、自信にもつながります。
でも、それをゴールにしてしまうのは、少しもったいない。
資格取得はあくまでも第一歩。
その先に、自分らしい支援のスタイルや成長の可能性が広がっています。
だからこそ、資格に満足せず、資格に縛られず、常に“その先”を見据えて歩み続けていきたいですね。