介護の現場では、さまざまな職種が連携しながら、ひとりの利用者を支えています。その中でも、ケアマネジャー(介護支援専門員)は、まさに“チームケアの扇の要”と言えるでしょう。
生活相談員として日々現場で働いていると、「このケアマネさん、仕事できるなあ」と感じる瞬間があります。
逆に、「この人、ちょっと現場のことわかってないな…」と残念に思うことも。
そこで今回は、現役の生活相談員であるわたしの視点から、「仕事ができるケアマネジャー」に共通する3つの特徴をご紹介します。
これからケアマネを目指す方、自分の業務を見つめ直したいケアマネさんの参考になれば幸いです。
takuma
生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)
・Xにほぼ毎日投稿しています。
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ファシリテーション力が高い
ケアマネジャーの大切な仕事のひとつが「担当者会議」。
この会議の進行をスムーズに進められるかどうかで、その後の支援の流れが大きく変わります。
ファシリテーション力とは、簡単に言うと“場を動かす力”です。
- 参加者が意見を言いやすい空気づくり
- 各職種の考えを引き出してうまく整理する
- 利用者や家族の希望を丁寧にくみ取りながら、現実的な支援内容に落とし込む
これらが自然にできるケアマネさんは、本当に頼もしいです。
逆に、ただ形式的に議事録を読んで終わる会議だったり、誰かひとりの意見ばかりを通してしまうと、モヤモヤが残って連携もうまくいきません。
「会議をうまく回せるか」は、ケアマネの力量が問われる場面のひとつだと感じています。
芯がある
「利用者第一」はもちろん大事ですが、それが行き過ぎてしまい、“ただの御用聞き”になっているケアマネさんも見かけます。
家族の言う通りに動いてばかりだったり、どんな要望にも「わかりました」と応じてしまったり…。
一見、親切そうに見えるかもしれませんが、専門職としての役割を果たせていないと感じることもあります。
一方で、自分の中にしっかりとした信念や「軸」を持っているケアマネは、信頼されやすいです。
たとえば、
- 利用者の生活歴や価値観をもとに、支援の方向性をしっかりと描いている
- 難しい家族にも、必要なことはハッキリと伝えることができる
- 他職種からの提案にも、きちんと自分の考えを持って調整できる
このようなケアマネさんには、「一緒にチームとして支援していけるな」と安心感を持ちます。
ただし、あまりにも自分の意見ばかりを押し通したり、柔軟性に欠けると、今度は「頑固な人」という印象に。
「芯の強さ」と「柔軟さ」のバランスが取れている人が、信頼されるケアマネです。
話が簡潔で伝わりやすい
これは少し主観が入りますが…。
正直なところ、「話が長すぎるケアマネさん」って、意外と多いんです。
- 同じ話を何度も繰り返す
- 話に結論がなくて、何が言いたいのか分からない
- 世間話が延々と続く
もちろん、利用者や家族との信頼関係づくりの中で雑談も必要です。
でも、「今は何のために話をしているのか」「誰にどんな情報を伝えるべきか」という整理ができていないと、時間を無駄にしてしまいます。
特に、わたしたち生活相談員や看護師、ヘルパーなど他職種との連携では、簡潔に、要点を押さえて話す力がとても大切です。
- 「先に結論」→「理由」→「具体例」の順で話す
- 要点を3つ以内にまとめる
- 相手の立場に合わせて言葉を選ぶ
など、こうした“話し方のスキル”も、ケアマネジャーの専門性のひとつです。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
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まとめ
現場でたくさんのケアマネさんと関わる中で、「この人とチームを組みたいな」と感じる人には、今回紹介した3つの特徴が共通しています。
- ファシリテーション力が高い
- 芯がある(でも頑固すぎない)
- 話が簡潔で伝わりやすい
利用者や家族、そして他職種からも信頼されるケアマネジャーは、このようなスキルや姿勢を日々の中で磨いていると感じます。
ケアマネという仕事は、ただ情報をまとめるだけではなく、人を巻き込み、支援の方向性を導いていく大切な役割です。
だからこそ、ちょっとした「話し方」や「立ち振る舞い」が、信頼を左右するポイントになると思います。
現役のケアマネさんも、これから目指す方も、ぜひ「仕事ができるケアマネ」を意識してみてください。