社会福祉士として働いているみなさんは、資格取得後も勉強を続けていますか?
実はわたし、社会福祉士の資格を取得してから、体系的な学びの機会をほとんど持っていませんでした。資格を取ったことで満足してしまい、日々の業務の中で「現場で学べば十分」と思っていたんです。ですが、経験を積むうちに「もっと専門的な知識が必要だ」「体系的に学び直したい」と感じる場面が増えてきました。
特に、今後のキャリアを考えたときに、スキルアップは避けて通れません。そう考えたわたしは、社会福祉士会に入会し、今年度から研修を受けていくことにしました。
今回の記事では、わたし自身の学び直しの第一歩として、『社会福祉士の生涯研修制度』について、詳しく解説します。
takuma
生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)
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生涯研修制度とは
社会福祉士の「生涯研修制度」は、社会福祉士が専門職としての知識や技術を継続的に向上させるために設けられた制度です。
社会福祉士は、最良の実践を行うために、さまざまな機会を活かして自己研鑽に努めることが求められます。自己研鑽の機会として、都道府県社会福祉士会が提供する研修の総称を「生涯研修制度」といいます。
生涯研修制度の目的
研修を通じて会員相互の連携を図ることにより、会員及び社会福祉士会の力量を向上していくことを目的としています。社会福祉士として必要な知識・技術・倫理性を身につけ、専門職としての資質向上に努め、社会福祉士会員ひとりひとりの力量を高めていくために行われます。
研修の内容
生涯研修制度は、「基礎課程」と「専門課程」の2つの課程があります。
基礎課程
基礎課程は、社会福祉士会に入会してはじめに受ける基礎研修で構成される課程で、以下の3段階の研修で構成されています。
- 基礎研修Ⅰ
- 基礎研修Ⅱ
- 基礎研修Ⅲ
各研修の受講期間は1年間です。これらの研修を順に受講し、修了することで基礎課程を修了したと認定されます。
基礎課程は、社会福祉士として共通に必要な価値・知識・技術を学び、専門性の基礎を身につけることを目的としています。
専門課程
基礎課程を修了した社会福祉士が、さらに専門性を高めるために受講する課程です。専門課程は以下の2つの研修で構成されています。
- 共通研修:社会福祉士として分野に関わらず共通に必要な事項の研修
- 分野研修:特定の分野に特化した研修
専門課程は、第1期、第2期と積み重ねていくことになり、所定の基準を満たすと「課程修了認定書」が発行されます。基礎課程と異なり、決まったカリキュラムを履修するのではなく、個人で研修計画を立てて進めます。
受講のメリット
社会福祉士が生涯研修を受講するメリットを以下にまとめました。
専門性が向上する
生涯研修では、社会福祉士として必要な価値観や倫理、知識、技術について、体系的に学ぶことができます。現場で感じる課題や疑問に対して、理論や他の実践事例を通じて理解を深めることもできるため、実務に直結する学びが得られます。学び続けることによって、日々の業務に根拠と自信を持って取り組めるようになります。
人的ネットワークが広がる
生涯研修では、自身と同じ分野だけでなく他分野に従事する社会福祉士の方々とつながる貴重な機会になります。研修の中でのグループワークや情報交換を通じて、日頃接点の少ない他事業所や他分野の専門職と出会えるため、視野が広がるだけでなく、実務で困ったときに相談できる関係性を築くことができるかもしれません。
社会的信頼につながる
社会福祉士として生涯にわたり学び続ける姿勢は、専門職としての責任感や誠実さを示すことにもつながります。生涯研修制度では、研修を通じて「認定社会福祉士」や「認定上級社会福祉士」の認定を受けることができ、それにより自らの専門性や実践力を客観的に示すことが可能になります。こうした認定は、社会的にも「学びを継続し、一定の基準を満たした専門職」であることの証となり、信頼性や評価の向上にもつながります。
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まとめ
社会福祉士の生涯研修制度は、専門職としての資質向上とキャリア形成を支援する制度です。基礎課程と専門課程を通じて、継続的に学び、実践力を高めることができます。
わたし自身、社会福祉士として日々の実践に取り組む中で、改めて「学び続けること」の大切さを感じています。資格を取っただけではカバーしきれない現場の課題や、変化し続ける制度に対応していくには、日々の学びが欠かせません。生涯研修を通して、もう一度「社会福祉士としてどうありたいか」を見つめ直していきたいと思います。
社会福祉士の生涯研修に興味を持った方は、都道府県の社会福祉士会をチェックしてみてください。一緒に、一歩ずつ学びを積み重ねていきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。