「ちまたでは親の介護だなんだって言われてるけど、うちは両親とも元気だし、関係ないよね~」
という状況が一変してしまうのが、介護問題の恐いところです。
介護問題は突然起こることが多く、その場合予備知識全くなしで準備をしなければなりません。
介護をするときに強い味方となってくれるのが、『介護保険』です。
ですがこの介護保険、「聞いたことはあるけど、いったい何なの?」って思いませんか?
私は介護施設で仕事をしています。実際に私が仕事をする中で感じることなのですが、この介護保険ってどんなものなのかということが、以外と認知されていないんです。今までは、そんなこと考えなくても元気で過ごせていたわけですから、むしろ知らなくて当然ですよね。
ですので今回は、突然介護が必要になっても慌てずに対処できるように、「介護保険って何?」ということについて、わかりやすく説明していきたいと思います。
介護保険とは
介護保険を一言でいうと、“安く介護を受けるための手段”です。
例えば、病気になったときは医療保険を利用して病院にかかりますよね。本来、医療費はメチャメチャ高いですが、病院で保険証を見せることで安く診察してもらっていますよね。
介護保険もそれと同じで、介護が必要になったら介護保険を利用することで、介護サービスを安い値段で受けることができるのです。
どんな介護サービスがあるの?
『デイサービス』や『訪問介護』などといった言葉を聞いたことはないでしょうか?
デイサービスというのは、介護施設に通ってお風呂に入ったり、食事をしたりすることのできるサービスです。訪問介護は、自宅にヘルパーが来て、身の回りのお世話をするサービスです。どちらも、介護保険を使って利用することのできるサービスです。
『デイサービス』や『訪問介護』のように、介護保険では受けることのできるサービスがあらかじめ決められています。ここではサービスの種類について詳しくは取り上げませんが、だいたい20種類以上のサービスが介護保険法という法律の中で決められています。
その中から、自分が使いたいサービスを選んで利用することになります。
あくまで、“あらかじめ決められた”サービスの中から選ぶ、ということがポイントです。
例えば、訪問介護と似たようなもので、『家政婦』による家事代行というサービスがあります。しかしこのふたつは似て非なるもので、訪問介護は介護保険の対象となるサービスですが、家政婦によるサービスは介護保険のサービス対象外になるのです。
家政婦によるサービスは、あらかじめ国が決めた介護サービスの中に含まれていません。国が決めた基準を満たしている介護サービスしか、介護保険では適用にはならないということです。
ですので、ちまたにある『介護サービス』と呼ばれるものの中には、介護保険の適用にならないものもあります。区別がつかないうちは確認が必要ですね。
誰が使えるの?
介護保険は、原則65歳から利用できます。しかし、特定の病気であれば、40歳からでも利用が可能です。
どうやったら使えるの?
介護保険を使うためには、申請をして使いたいという意思を示さないといけません。ただ待っているだけでは誰も何もしてくれず、サービスを利用することはできません。
昔は『措置』といって、上から下に施(ほどこ)されるという考え方のもとに介護が行われていたので、申請をしなくても、必要な介護が与えられていました。しかし今は、「介護サービス受けたいです!」と自ら手を挙げないと、サービスを受けられない仕組みなのです。
介護保険の申請については、別の記事で詳しく取り上げておりますので、ぜひこちらをご覧ください。
では、申請をしたから介護サービスが使えるようになるかというと、そういうわけではありません。体が元気なうちは、サービスを使えないのです。「あなたは体が弱っているから介護が必要ですね」と認めてもらって、初めて利用することができます。体が弱っていると役所に認めてもらうことを、『要介護認定』と言います。
どのくらい安くなるの?
利用した介護サービスの費用の一部が、保険で支払われる仕組みになっています。利用した人の所得に応じて、7割~9割の額が保険で適用されます。1,000円のサービスを利用したとすると、保険が適用されたら100~300円で利用できることになります。
まとめ
まとめると、以下のようになります。
・介護保険は、安く介護を受けるための手段。
・20種類以上のサービスの中から選んで利用できる。
・原則65歳から利用できる。
・申請し認定がおりないと利用できない。
・サービス費用が7割~9割引で利用できる。
民間の保険会社が扱う商品を指して介護保険と言う場合もありますが、ここでは公的な介護保険のことについて取り上げました。
40歳以上であれば介護保険料を支払っていますので、必要な時に利用しないのは損ですよね。
介護が必要になったら誰でも介護保険を利用する権利があります。せっかくの保険ですから、お得に使いたいですね!