生活相談員として働くにあたって、介護保険の知識は必須事項です。
しかしながら、介護保険は複雑です。
新人生活相談員でざっくりとした介護保険の知識があったとしても、
どの知識が現場で必要な知識なのかということは実際にやってみないとわからないものです。
そこでこの記事では
新人生活相談員がまずはじめに押さえておきたい現場で頻出な介護保険の知識を
数字に的を絞ってまとめてみました。
基礎の基礎を取り上げてみましたので、ちょっと勉強した人には物足りない内容かもしれません。
生活相談員になったばかりのかたで、すぐに現場で役に立つ介護保険の基礎知識を知りたいと思っているかたはぜひご覧ください。
40歳と65歳
まず押さえておきたいのは、40歳と65歳という数字です。
介護保険で40歳といえば、介護保険に加入する年齢です。
40歳になると介護保険の加入が義務づけられています。
そして65歳になると、要介護認定の申請をすることができるようになります。
実際に要介護認定を受けて介護サービスを利用できるのは、65歳以上からです。
ただし例外として、介護保険法で定められた「特定疾病」に該当している場合は、40歳からでも要介護認定の申請をして、認定を受ければ介護サービスの利用が可能となります。
ちなみに特定疾病は16種類あるよ
40歳で介護保険に加入する
65歳から要介護認定の申請をすることができる
特定疾病であれば、40歳からでも要介護認定の申請ができる
3年に1度
介護保険制度は、定期的に見直しが行われています。
この介護保険制度の改正は、3年に1度行われます。
介護保険の制度改正が行われると
それに伴って新設された加算を取るかどうかを検討したり、
事業所のサービス料金を変更しなければならなかったり、
変更に関する書類を保険者へ提出しなければいけなかったり、
とにかく施設内がバタつきます。
大忙しだね
ちなみに次回の改正は2021年度です。
もしあなたがデイサービスの生活相談員なら、改正によってデイサービスがどうなっていくのかといった、大まかな動向くらいは押さえておいて損はありませんよ。
改正により何がどう変わっていくかを知ることは、生活相談員として仕事をしていくにあたって非常に重要です。
介護保険制度改正は3年に1度
最長3年
要介護認定には有効期間があります。
新規申請の場合の有効期間は原則6ヶ月ですが、
更新申請の場合は状態が安定していると判断されれると、最長で3年の有効期間になります。
有効期間はこれまでは最長2年でしたが、2018年度から最長3年になりました。
有効期間を延ばすことで、更新にかかる介護調査員の負担を軽減したい
というのが主な目的のようです。
なお、2021年には有効期間を最長4年まで延ばす方針が決まっています。
https://www.joint-kaigo.com/1/article-13/pg1238.html
要介護認定の有効期間は最長3年
1~3割
介護保険サービスを利用するときは、介護保険負担割合証に記載されている利用者負担割合に応じて、
費用の1割・2割・3割のいずれかが利用者負担となります。
負担割合証の割合は、利用者の所得に応じて決まります。
特に申請をしなくても、自動的に毎年郵送されてきます。
介護保険負担割合証の有効期間は8/1~7/31の1年間だよ
この1~3割の負担割合ですが、2014年度までは全ての人が1割負担で統一されていました。
ですが、2015年度から一定所得の人は2割負担となり
2018年度には、さらに所得のある人は3割負担となりました。
というわけで、現在は所得に応じて1割負担、2割負担、3割負担の人がいるわけです。
負担を増やした理由としては、
介護保険の財源が不足しているため、負担能力のある人には多く負担してもらおう
という考えからだそうです。
介護保険の負担割合は、1割・2割・3割
毎月10日
介護事業者は、利用者が受けた介護保険サービスの費用を国民健康保険団体連合会(国保連)へ請求します。
この業務を介護報酬請求や国保連請求などと言います。
介護報酬請求をしないと、いくらサービスを提供しても事業所にお金が支払われませんので、大切な業務です。
介護報酬請求請求は月ごとに行います。
そしてその締切日が毎月10日です。
提供したサービスを月毎に締めて、翌月の1~10日でまとめて国保連へ提出をします。
事務方や相談員が月末月初にバタバタしているのは、このためです。
この請求業務、事業所単独で行えればスムーズに行えるのですが、
在宅サービスの場合は、他事業所のケアマネジャーとサービス実績の内容を合わせなければならないので、
他事業所と連携して行わないと締めることができないのです。
ですから、正月やゴールデンウィークなどで月初が休みと重なると、他事業所と連絡を取ることが難しかったりで、もう大変なのです…
介護報酬請求の締め日は毎月10日
0円
介護保険サービスを利用するためには、ケアプランが必要です。
ケアプランとは介護サービスを利用するために必要な計画書で、主にケアマネジャーが作成します。
通常、介護サービスを利用する際には1~3割の自己負担が発生しますが、ケアプランの作成にかかる料金は例外的に0円となっています。
これは、誰もが公平にサービスを受けられるようにするためと言われています。
ですが最近では、ケアプランを有料化しようという議論がされています。
https://www.joint-kaigo.com/1/article-13/pg1151.html
介護保険の財源が不足しているため、給付を抑制したいというのが主な理由です。
2021年度の改正では先送りされることが決まったようなので、今後もしばらくは0円のまま行くようですが、これからの動向は気になるところです。
https://www.joint-kaigo.com/1/article-13/pg1236.html
ケアプランの作成費用は0円
さいごに
この記事を書こうと思ったきっかけは、
わたしより先輩の中堅生活相談員が、電話での問い合わせに対して
「介護保険が利用できる年齢は61歳からですが、指を切断していれば特定疾患に該当するため45歳でも利用できるので…」
などと適当な説明をしていたことを、上司に叱責されていたという出来事があったからです。
ずいぶん適当な説明をしたもんだね
きっとその先輩生活相談員は、これまでのぬるい環境に甘んじてしまっているのだと思います。
自ら勉強せずともなんとかやれてしまっているのです。
そして、きっとこれからも勉強することなく続けていくのでしょう。
今まではそれでもやってこられたのかもしれません。
しかし時代は変わっています。
これからの利用者は、いままでよりもサービスに対してシビアになります。
適当な知識ではもう太刀打ちできません。
自分の勉強不足は必ず相手に見透かされます。
ですから、日々の勉強は大切です。
勉強してる人としていない人では、1年後、5年後、10年後、どんどん差が大きくなっていきます。
それは収入面でも差となりますし、何よりも勉強したほうが楽しい人生を送れると思います。
せっかく生活相談員として働くのであれば、専門職として最低限の知識は頭に入れて、楽しく仕事をしていきたいものですね。