「昨日探したから無い?」ショートステイの忘れ物対応で学んだ仕事の鉄則
ショートステイの現場で働いていると、
「帰ってきたら荷物が無い」
というご家族やご利用者からの問い合わせを受けることがあります。
先日、わたしが勤務するショートステイでもハッとするような出来事がありました。
「あれだけ探したんだから、あるわけがない」
「他の職員がしっかり確認したって言っていたし……」
そう思い込んで確認を怠っていたら、大きなクレームや信頼失墜につながっていたかもしれない……。そんなヒヤッとした体験から学んだ対人援助における「愚直な再確認」の大切さについてお話しします。
takuma
生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)
デイサービスとショートステイで、利用者・家族・職員の“間”に立ちながら日々奮闘しています。
現場で感じた違和感や気づきを言葉にし、「学び続ける相談員」を目指して情報発信中。
・kindle出版で『対人援助一年目の教科書』『学び続ける生活相談員』発売中。
・職業情報サイトへ生活相談員に関する記事提供実績あります。その他介護情報サイトへ記事提供実績もあり。
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始まりは「退所後の荷物確認」から
事の発端は、ショートステイを急遽退所され、ご自宅へお戻りになったご利用者でした。
退所された直後、「荷物に足りないものがあるので確認してほしい」と連絡が入り、職員でお部屋を探したところ、無事に見つかってお返しすることができました。
「これで一安心」と思っていた翌日、ご家族から再びお電話が入ります。
「携帯電話が見つからないんです。本人は部屋に置いてきたと言っているので、探してもらえませんかね?」
連絡を受けたのは、業務終わりも近い遅い時間帯。
電話を聞いた瞬間、わたしの頭には真っ先にこんな思いが浮かびました。
「昨日あれだけ職員みんなで部屋を探したんだから、残っているわけがない」
「携帯電話みたいな目立つものが部屋にあれば、昨日の時点で気づくはず」
「もう一度探すとなると手間だな……」
正直、「昨日しっかり確認しましたが、お部屋にはありませんでした」と電話越しにそのまま伝えてしまおうかという誘惑が一瞬頭をよぎりました。
「どうせ無いだろう」と思いながら部屋へ向かった結果
ですが、「自分の目で見たわけでもないのに、決めつけるのはよくないな」と思い直し、念のためお部屋へ確認に向かいました。
「まあ、昨日探したんだし無いだろうな……」と思いつつ、ご家族から聞いていた場所をのぞき込んでみると——
なんと、言われた通りの場所に携帯電話が置いてあったのです。
これには本当に驚きました。 昨日の時点で複数の職員で確認していたはずなのに、見落とされていたのが現実だったのです。
もしあの時、横着をして「昨日探したけど無かったですよ」と断言していたらどうなっていたでしょうか?
後から携帯電話が出てきたとき、ご家族からの信頼は一瞬で崩れ去り、「確認したと言っていたのに探していなかったんですか?」と大きなクレームに発展していたことは間違いありません。
この失敗未遂から学んだ「仕事の3つの鉄則」
今回の冷や汗ものの体験を通して、わたしは仕事における3つの鉄則を再確認しました。
1. 他人の「確認した」は確定事実ではない
前日探してくれた職員を疑うわけではありません。しかし、人間ですからヒューマンエラーは起こします。「前の人が探したから無い」というのは事実ではなく、ただの推測に過ぎません。
2. 「無いだろう」というバイアスを捨てる
「あるはずがない」という思い込みを持って探すと、目の前にあるものすら視界に入らなくなってしまいます。一度フラットな状態に戻して見直すことが不可欠です。
3. ご家族の不安に寄り添う手間を惜しまない
ご家族は「もしかしたら」という不安な気持ちでお電話をくださっています。たとえ結果的に見つからなかったとしても、その思いを受け止めて「もう一度自分の目で確かめる」という姿勢そのものが、信頼関係の土台になります。
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まとめ
忙しい日常業務の中では、ついつい作業を省いたり、過去の報告を鵜呑みにして「確認したつもり」になってしまいがちです。
ですが、自分の目で愚直に再確認するほんの数分の手間を惜しまないことが、深刻なトラブルを防ぎ、結果としてご利用者・ご家族、そして自分自身を守ることにつながります。
「当たり前のことを、当たり前にやる」
現場で長く働くからこそ、この基本の鉄則を忘れずに日々の支援に向き合っていきたいと感じた一日でした。
