ケアプランデータ連携システム導入率45.1%の背景|処遇改善加算との関係と現場の課題
先日、介護業界で「ケアプランデータ連携システム」の導入率が45.1%に達したというニュースがありました。
これまでの導入率は1割程度と低迷していたため、数字上は一気に普及が進んだように見えます。しかし、この急増の裏には「処遇改善加算の算定要件(一本化に伴う要件)」という強力な制度の後押しがあります。
数字だけを見れば「DX化が進んでいる」と厚生労働省は満足しているかもしれません。しかし、現場で働くわたしたちの肌感覚としては、「本当にこれで業務は楽になっているの?」という疑問が残るのではないでしょうか。
今回は、このニュースから見える介護現場のリアルと、手段が目的化してしまっている現状について考えてみたいと思います。
takuma
生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)
デイサービスとショートステイで、利用者・家族・職員の“間”に立ちながら日々奮闘しています。
現場で感じた違和感や気づきを言葉にし、「学び続ける相談員」を目指して情報発信中。
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なぜ急増した?背景にある「加算算定」の義務感
これまで「使いにくい」「コストがかかる」と敬遠されがちだったシステムが、なぜここまで一気に導入されたのか。理由はシンプルで、「加算を取るために導入せざるを得なかったから」です。
処遇改善加算を算定するための要件に含まれたことで、多くの事業所が「業務効率化のため」ではなく、「職員の賃金を維持・改善するための手段」としてシステムを契約しました。
しかしここに、大きな落とし穴があります。
「導入率」と「常用率」は別物であるという問題
このシステムは、極端な話をすれば「年間で1回でも2回でもデータ連携の実績を作れば、導入しているとカウントされる」仕組みです。
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加算のためにシステムは契約したけれど、普段のやり取りは結局FAXや手渡しになっている
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操作が難しくて、特定の職員しか使っていない
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連携先のケアマネジャーが使っていないため、結局自社だけでは完結しない
これでは、本来の目的であったはずの「日々の業務負担の軽減(ペーパーレス化や入力手間の削減)」には到底たどり着けません。日常的・恒常的に使いこなせて初めて意味があるのに、「契約者数」という数字だけが一人歩きしているのが現状です。
手段が目的化することの危うさ
今回の件に限らず、介護業界では「負担軽減のためのシステム導入が、新たな業務負担(手段の目的化)を生む」という現象が頻発しています。
本来の目的は「業務負担を楽にすること」です。 しかし現状は、「加算を取るためにシステムを動かすこと」が目的になってしまっています。
これでは、現場のモチベーションは上がりませんし、本当の意味での「現場の問題解決」には至りません。ただでさえ忙しい現場に「義務だから」という理由だけで新しいツールを押し付けても、形骸化していくのは目に見えています。
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わたしたち現場がこれから考えるべきこと
国が出す「導入率45.1%」という数字は順風満帆に見えますが、蓋を開けてみれば現場はまだまだ悩ましい状況が続いています。
もし、あなたの事業所でも「加算のためにしぶしぶ入れたけれど、全然使っていない……」という状態であれば、まずはじめにひとつの事業者とだけでも使ってみてはどうでしょうか。
せっかくコストを払って導入したシステムです。「国に言われたから形だけやる」ままで終わらせるのはもったいない。どうせ使うのであれば、少しでも自分たちの定時退勤や業務負担軽減につなげられるよう、まずは小さな一歩から「本当の効率化」を目指していきたいですね。
皆さんの事業所では、ケアプランデータ連携システム、本当に活用できていますか?
