「生活相談員として、誰かの役に立ちたい」
そんな志を持ってこの仕事に就いた人ほど、「利用料の未収金対応(督促)」という業務に直面したとき、激しい自己矛盾に陥ります。
先日、X(旧Twitter)でこの悩みをポストしたところ、共感のお声をいただきました。
ショートステイの未集金
何とか無事回収することができました
ホッとしましたが、それ以上に疲れたのが本音です— takuma@生活相談員 (@takuma3104) April 16, 2026
本来、わたしたちの専門性は「対人援助」のはず。
それなのに、なぜわたしたちは、支払いの滞ったご家族へ「借金の取り立て」のような電話をかけなければならないのでしょうか。
takuma
生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)
デイサービスとショートステイで、利用者・家族・職員の“間”に立ちながら日々奮闘しています。
現場で感じた違和感や気づきを言葉にし、「学び続ける相談員」を目指して情報発信中。
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なぜ、未収金対応で病んでしまうのか
相談員がメンタルを削られるのには、明確な理由があります。
正当な主張なのに「悪者」にされる
サービスを提供した対価を求めるのは当然の権利です。しかし、督促をすれば「お金、お金ってうるさいな」という空気感を出されたり、避けられたりする。この「理不尽さ」が心を摩耗させます。
ショートステイ特有の「音信不通」
デイサービスのように毎日顔を合わせるならまだしも、ショートステイは1回利用してそのまま連絡が取れなくなるケースがあります。こうなると、援助の枠組みを超えた「債権回収」の側面が強くなり、仕事の目的を見失ってしまいます。
板挟みの孤独感
ケアマネジャーに相談しても「基本は事業所と家族で」と突き放される。結局、相談員がひとりで矢面に立ち、誰にも理解されないまま督促業務を背負い込むことになります。
心を守るための「3つの心得」
この「嫌な業務」から自分を守り、メンタルを維持するためには、いくつかの「心のスイッチ」を切り替える必要があります。
① 「運営を守ること」は「他の利用者を守ること」
未収金が放置されると、施設の経営が圧迫されます。経営が悪化すれば、今、わたしたちが支えている他の多くの利用者様へのサービスが維持できなくなります。 「督促は、今いる大切な利用者様の居場所を守るための防衛業務である」 そう定義し直すことで、罪悪感を「使命感」へと変換しましょう。
② 相談員という「役割」を演じる
督促電話をかけるときは、自分の人格で話すのではなく、「施設の事務手続きを代行するマシン」になりきることが大切です。 相手の家庭事情に深く入り込みすぎると、情が移って「お金の話をするのは申し訳ない」というブレーキがかかります。「支払期限が過ぎたので、確認の連絡を入れる」という事務的なタスクとして割り切る訓練が必要です。
③ 1人で抱え込まず「組織」の課題にする
「回収できないのは自分の交渉力が低いからだ」と自分を責めないでください。未収金は個人の問題ではなく、「施設のシステム上の課題」です。 上司や事務部門に現状を報告し、組織としてどう対応するか(内容証明を送る、法的な手段を検討するなど)を共有しましょう。自分ひとりで背負っている荷物を、組織の棚に半分降ろすことが重要です。
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まとめ
この「誰もが嫌がる仕事」を代行し、施設の秩序を守っている生活相談員がいるからこそ、福祉の現場は回っています。
もし今日、督促の電話で嫌な思いをしたのなら、自分にこう言ってあげてください。 「わたしは今日、施設と、他の利用者様の安心を守る仕事を全うした。わたしは決して悪者ではない」と。
気持ちを切り替えて、また明日から、わたしたちが本来やりたかった「誰かを支える仕事」に向き合っていきましょう。

