「〇〇さん、危ない!」
デイサービスやショートステイの現場で、毎日どこからか聞こえてくるこの言葉。もちろん、転倒事故を防ぎ、利用者の安全を守ることは介護サービスの「最低ライン」です。
しかし、リスク管理に熱心になるあまり、施設が「監視の場」になってはいませんか?
この記事では、生活相談員としてわたしが大切に感じている「プロの演者としてのリスク管理」についてお話しします。
takuma
生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)
デイサービスとショートステイで、利用者・家族・職員の“間”に立ちながら日々奮闘しています。
現場で感じた違和感や気づきを言葉にし、「学び続ける相談員」を目指して情報発信中。
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施設は「人工的な空間」であるという事実
よく「施設は生活の場である」と言われます。それは間違いありません。 しかし、忘れてはいけないのは、施設は「高度に作られた人工的な場」であるという点です。
本来、赤の他人同士がひとつ屋根の下で過ごすことは不自然なことです。そこで働くわたしたちも、家族ではありません。だからこそ、「いかに自然な生活に見せるか」という演出が必要になります。
リスク管理という「オーラ」が生活感を壊す
利用者が立ち上がろうとした瞬間、職員が血相を変えて「危ない!」と叫ぶ。 その場に流れる殺伐とした空気は、利用者の「生活」を破壊してしまいます。
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職員主体:「転ばせたくない(自分の責任問題にしたくない)」
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利用者主体:「自由に動きたい(自然に過ごしたい)」
リスク管理に傾きすぎると、どうしても職員主体の「管理・監視」が前面に出てしまいます。それでは、どんなに立派な建物でも、そこは「生活の場」ではなくなってしまいます。
プロは「素」で反応せず「演技」をする
サービス業である以上、わたしたちはある種、現場という舞台に立つ「演者」であるべきです。
プロの仕事とは、リスク(危険)を十分に予見しながらも、それをあえて表に出さず、「意図的に自然を演出する」ことではないでしょうか。
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素人:危ない!と叫んで駆け寄る
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プロ:危ないことを察知しつつも、何食わぬ顔でスッと付き添う
この「一手の違い」こそが、施設の空気感を守り、利用者の尊厳を支える技術になります。
「らしく」見せるためのバランス感覚
もちろん、理想論だけでは現場は回りません。人手不足の中で、反射的に声が出てしまうこともあるでしょう。
しかし、わたしたちが目指すべき高みは、「監視による安全」ではなく、「演出による安心」です。
「作られた場」を、プロの技術で「本物の生活の場」に見せていく。その葛藤の中にこそ、対人援助の面白さがあると感じています。
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おわりに
リスク管理は、マズローの欲求階層で言えば土台の「安全」です。
その上に「愛」や「承認」、そして「自己実現」を積み上げるためには、土台を透明化する技術が必要です。
今日から少しだけ、現場で「演者」になってみませんか? あなたのその一言が、「管理」を「介護」に変えるかもしれません。

