デイサービスの仕事の中で、実は最も「孤独」で「高リスク」な業務。それは送迎ではないでしょうか。
「普通免許があれば誰でもできる」と思われがちな送迎業務ですが、現場に立つわたしたちは知っています。そのハンドルには、ご利用者の命、ご家族の信頼、そして自分自身の人生が乗っているということを。
今回は、意外と語られない「送迎業務の特殊性とリスク」について深掘りします。
「タクシー以上のスキル」が求められる矛盾
タクシーやバスの運転には「二種免許」が必要です。しかし、デイサービスの送迎は福祉車両であっても普通免許一枚で成り立っています。
しかし、実際に行っていることは非常に高度です。
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高度な接遇: お出迎えから車内でのコミュニケーション。
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フィジカルチェック: 乗り込む際の歩行状態や、車内での顔色の変化(傾眠や顔色の悪化など)の観察。
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特殊車両の操作: 車イスリフトの操作や、車内での確実な固定。
単に目的地へ運ぶだけでなく、「運転しながら介護の視点を持つ」という、マルチタスクな能力が求められているのです。
送迎先は「異変」の最前線
送迎スタッフは、その日最初にご利用者に会う「施設の顔」のような存在です。
ときには、玄関を開けたらご利用者が意識不明で倒れていた、という壮絶な現場に遭遇することもあります。
他のご利用者が同乗していたら?
パニックにならずに救急要請できるか?
こうしたイレギュラーへの対応力は、介護福祉士の試験や一般的な運転講習では教わりません。現場の経験値に頼り切っているのが現状ですが、本来はもっと評価されるべき専門技術です。
背負っている「リスク」の正体
一番怖いのは、やはり交通事故です。 万が一事故を起こせば、相手方への謝罪、事業所への損害だけでなく、「業務上過失致死傷罪」といった刑事責任を個人が問われる可能性さえあります。自分の免許証だけでなく、人生そのものに直結するプレッシャーの中で、わたしたちは毎日ハンドルを握っています。
「素人が運転のプロのような顔をして走らざるを得ない」
この言葉は、決して謙遜ではなく、現在のデイサービスが抱える構造的な危うさを言い当てています。
まとめ
人材不足の折、送迎に特別な資格を設けるのは現実的に難しいかもしれません。しかし、だからこそ現場では「送迎は極めてリスクの高い専門業務である」という共通認識を持つことが重要です。
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体調が悪い時は無理に運転を代わってもらう体制
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ヒヤリハットの共有を徹底する文化
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運転技術や緊急時対応の内部研修
「今日も無事に送り届けられた」という当たり前の毎日は、皆さんの細心の注意と努力の結晶です。
今日も一日、安全運転お疲れ様でした。明日もまた、笑顔で「おはようございます」と言える送迎を心がけていきましょう。
