「親に介護が必要になったら、もう元の生活には戻れないの?」
「最近、歩くのが億劫そうで、このまま寝たきりにならないか不安……」
もしあなたがそんな不安を抱えているなら、ぜひ知っておいてほしい概念があります。それが、今、世界中の高齢者支援で注目されている「リエイブルメント(Reablement)」です。
今までの介護が「できないことを手伝う」のが主流だったのに対し、リエイブルメントは「もう一度、自分でできるようにする」という逆転の発想。今回は、このアプローチがなぜ「老後の希望」になるのか、その価値と利用方法を徹底解説します。
takuma
生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)
デイサービスとショートステイで、利用者・家族・職員の“間”に立ちながら日々奮闘しています。
現場で感じた違和感や気づきを言葉にし、「学び続ける相談員」を目指して情報発信中。
・kindle出版で『対人援助一年目の教科書』『学び続ける生活相談員』発売中。
・職業情報サイトへ生活相談員に関する記事提供実績あります。その他介護情報サイトへ記事提供実績もあり。
・Xでの発信もしています。
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従来の介護と何が違う?【比較表で解説】
「至れり尽くせりの介護」は、時に本人の身体機能を奪ってしまう「親切の押し売り」になるリスクがあります。リエイブルメントとの最大の違いは、その「目的」にあります。
| 比較項目 | 従来の介護(お世話型) | リエイブルメント(自立支援型) |
|---|---|---|
| 考え方 | できないことを「代行」する | できなくなったことを「再学習」する |
| ゴール | 安全・安楽な生活の維持 | 本人の自信と「自分らしさ」の回復 |
| 期間 | 長期的(終わりがない) | 短期的・集中(約12週間) |
| 支援者の役割 | 身の回りのお世話をする | 自立を支えるコーチ・伴走者 |
なぜ「3ヶ月(12週間)」という期限があるのか?
リエイブルメントの最大の特徴は、「終わりのある支援」だということです。
人間はどうしても「ずっと助けてもらえる」と思うと、無意識のうちに依存し、筋力や意欲が低下(廃用症候群)してしまいがち。しかし、「3ヶ月で買い物に行けるようになろう」と期限を区切ることで、本人の脳と体にスイッチが入ります。
これは「訓練」ではなく「成功体験」の積み重ねです。
理学療法士(PT)や作業療法士(OT)といったプロが自宅を訪問し、「こうすれば一人で靴が履ける」「この手すりがあればお風呂に入れる」という「できる!」のシャワーを浴びせることで、短期間での劇的な変化を促します。
リエイブルメントがもたらす3つの価値
① 「自分自身の尊厳」が戻る
「トイレに自分で行ける」「好きな服を自分で選んで着る」。こうした当たり前の日常を取り戻すことは、高齢者にとって何よりの自信になり、心の健康(ウェルビーイング)に直結します。
② 家族の「介護疲れ」を未然に防ぐ
初期段階で集中的にサポートを行うことで、介護度の進行を食い止めることが期待できます。結果として、家族がつきっきりで介護をする時間を減らし、お互いに自立した心地よい関係を維持しやすくなります。
③ 将来的な経済負担の軽減
要介護度が改善したり、重度化を遅らせたりできれば、将来的にかかる介護費用を大幅に抑えられる可能性があります。これは本人にとっても社会にとっても大きなメリットです。
日本でこのサービスを受けるには?
「リエイブルメント」は、日本の公的制度では主に「介護予防・日常生活支援総合事業(短期集中予防サービス)」という名前で実施されています。
利用を検討したい場合は、以下のステップを踏みましょう。
1. 地域包括支援センターに相談: お住まいの市区町村にある相談窓口へ行きます。
2. 「自立支援型のリハビリを受けたい」と伝える: 「リエイブルメント」という言葉が通じない場合は、「短期集中で、また自分で動けるようになりたい」と伝えればOKです。
3. 多職種チームによるプラン作成: リハビリ専門職、栄養士、歯科衛生士などが、あなた(または親御さん)に最適な「3ヶ月の目標」を立ててくれます。
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まとめ:介護は「卒業」を目指していい
リエイブルメントは、いわば「介護からの卒業」を目指すための伴走支援です。
「もう年だから、誰かにやってもらうのが当たり前」と諦める前に、一歩踏み出してみませんか?「自分でできる」喜びは、何歳になっても人生を輝かせる最高のエネルギーになります。


