2025年10月27日、厚生労働省は、ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格取得要件を見直す方針を示しました。
現行では「保健・医療・福祉分野の法定資格を持ち、通算5年以上の実務経験」が必要とされていますが、これを3年に短縮する案が検討されています。
あわせて、診療放射線技師・臨床検査技師・臨床工学技士・救急救命士・公認心理師の5つの資格を新たに対象資格に加える方針も示されました。
ケアマネを目指す人を増やしたい、って話
実務経験を5年→3年に短縮する案が出てるみたいですが、正直、なるまでのハードルを下げるよりなってからの待遇を上げた方が効果ある気がします
それができないから、苦渋の策ってところでしょうかね https://t.co/qmftfNi2oD— takuma@生活相談員 (@takuma3104) October 27, 2025
一見すると、ケアマネを目指す人を増やす前向きな改革に見えます。
しかし現場で働く立場から見ると、「本当に課題はそこなのか?」という疑問も浮かびます。
takuma
生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)
デイサービスとショートステイで、利用者・家族・職員の“間”に立ちながら日々奮闘しています。
現場で感じた違和感や気づきを言葉にし、「学び続ける相談員」を目指して情報発信中。
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現状:なぜケアマネ不足が起きているのか
ケアマネジャーのなり手が減少している背景には、いくつかの要因があります。
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業務量の多さと責任の重さ
利用者・家族・多職種との調整、書類業務、モニタリング…
ひとりで抱える仕事量が多く、常に時間との戦いです。 -
報酬や待遇の問題
専門職としての位置づけはあるものの、その責任の重さに見合う報酬とは言いがたい現状があります。 -
制度改定ごとの負担増
ケアマネジメントの質の向上を目的とした制度改定が繰り返される中で、実際には現場の書類業務や責任が増え、やりがいより疲弊が先に立つという声も。
つまり、「なり手が減っている理由」は、なるまでのハードルより、なった後の厳しさにあると言えます。
なり手が減る本当の理由
ケアマネの仕事は、利用者・家族・多職種との調整、書類作成、制度改定への対応と、日々変化する課題との格闘です。
現場では「仕事が終わらない」「責任ばかり重くなる」といった声が絶えません。
そのうえで、最も大きな要因は報酬と待遇の問題です。
専門職として高い責任を担っているにもかかわらず、その努力に見合う報酬体系になっていない。
これが、ケアマネを目指す人が減っている最大の理由だと思います。
報酬改定こそが最大の課題
厚労省は「多様な背景を持つ人材の参入を促す」と説明していますが、経験年数を5年から3年に短縮しても、待遇が変わらなければ人は定着しません。
ケアマネ業務は、単なる事務仕事ではありません。
制度の枠を理解しながら、個別の生活を支える専門的な判断が求められます。
その責任に対して報酬が低いままでは、「続けたい」「目指したい」と思う人が増えるはずがありません。
「加算で評価する」と言われても、実際には書類や手続きの負担が増えるだけで、現場の収入や働きやすさにはほとんど反映されていないのが現実です。
これではモチベーションは保てません。
報酬改定が行われなければ、制度を支える人材の持続可能性が危うくなります。
だからこそ、今求められているのは「入口の緩和」ではなく、「中身の改善」です。
医療系資格の追加、その意図と課題
新たに追加が検討されている5つの資格は、いずれも医療分野での専門性が高い職種です。
厚労省としては「医療と介護の連携を強化する」意図があるのでしょう。
ただし、介護現場で必要とされるのは、制度知識や生活支援の視点、家族調整力といった「ケアの総合力」です。
医療専門職がそのままケアマネ業務に適応できるとは限りません。
背景が多様になることは歓迎ですが、それを支える教育・研修体制の整備が不可欠です。
数を増やすより、続けられる仕組みを
資格要件を緩和して「数」を増やしても、働く環境が厳しいままではすぐに離職してしまう。
これは介護職全体に共通する構造的な課題です。
必要なのは、ケアマネを増やすことではなく、続けられる仕組みをつくること。
- 適正な報酬体系
- ICT活用による業務負担の軽減
- チームによる支援とスーパービジョン
- メンタルケアと働き方の見直し
こうした仕組みが整ってこそ、ケアマネが安心して専門性を発揮できる環境になります。
現場からの提言 ― “苦渋の策”にしないために
今回の見直しは、現場の実情を踏まえた上での「苦渋の策」とも言えます。
人材確保は喫緊の課題であり、一定の理解もできます。
ただし、もし「ハードルを下げて数を増やす」ことが目的化してしまえば、結果的にケアマネ業務の質の低下を招きかねません。
数を増やすだけでは、誰も幸せにならない。
本当に必要なのは、「ケアマネとして働き続けたい」と思えるような処遇と環境の整備です。
それが結果的に、利用者や家族、そして地域の支援力を高めることにつながるのではないでしょうか。
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まとめ
ケアマネを目指す人を増やしたい、その目的はわかります。
ですが、なるまでのハードルを下げるより、なってからの環境を整えるほうが先です。
報酬改定が進まない現状を考えると、今回の見直しは「苦渋の策」といえるかもしれません。
それでも、現場で働く人たちが希望を持てるような制度になることを願っています。

