介護・福祉情報

「見守り」は“監視”ではなく“支え合い”。生活相談員が考えるちょうどいい距離感の支援

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ひとり暮らしの高齢者が増えるなか、「見守り」という言葉を耳にする機会が増えました。わたしが介護の現場で感じる問いのひとつに、「どこまで踏み込んで見守りをすべきか」というものがあります。

高齢者支援においては、“安心のための見守り”が、時に“監視のような関わり”に変わってしまうことがあります。それは、見守る側のやさしさが、見守られる側にとっての負担になる瞬間です。

 

この記事を書いた人

takuma

生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)

デイサービスとショートステイで、利用者・家族・職員の“間”に立ちながら日々奮闘しています。
現場で感じた違和感や気づきを言葉にし、「学び続ける相談員」を目指して情報発信中。

・kindle出版で『 対人援助一年目の教科書』発売中。

職業情報サイトへ生活相談員に関する記事提供実績あります。その他介護情報サイトへ記事提供実績もあり。

Xでの発信もしています。

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このブログ「生活相談員ラボ」では、「生活相談員×学び」をコンセプトに、現場のリアルと学びをつなぐヒントをお届けします。

 

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「心配されること」が、時には負担になることもある

デイサービスの現場でひとり暮らしのご利用者から話を伺っていると、こんな言葉を耳にすることがあります。

  • 「毎日のように電話してくれる。ありがたいけど、こっちが迷惑かけてるみたいで申し訳なくなるんです。」
  • 「元気なのに、“大丈夫?”ばっかり言われると、かえって気をつかうのよ。」
  • 「子どもたちが電話でいちいちうるさいのよ。監視されてるみたい。」

家族にとっては「思いやり」のつもりでも、本人にとっては「負担」になることがあります。特に、自立心が強い方ほど「心配されること」がストレスになるのです。

見守りは「監視」ではなく「信頼」からはじまる

生活相談員として感じるのは、見守りとは「何かをすること」ではなく、「何かあったときに気づける関係性をつくること」だということです。

  • すぐ連絡が取れなくても安心できる
  • そっと見守られていることを負担に感じない
  • 自分の生活を尊重してもらえる

こんな「ちょうどいい距離感」こそ、見守りの本質だと思います。心配を伝えるよりも、「信頼して見守る」という姿勢が大切です。

技術が“やさしい見守り”を後押しする時代に

とは言っても、離れて暮らす家族のことはやっぱり心配なものです。

電話をしても出なかったり、元気がなさそうだったりすると、「何かあったのでは」と不安が頭をよぎる。そんな小さな心配の積み重ねが、いつのまにか日常になっているご家族も多いでしょう。

最近は、そうした不安をやわらげるように、テクノロジーを活用した見守りのかたちが広がっています。大切なのは、技術が人を置き換えることではなく、人の思いを支えることです。

たとえば、冷蔵庫のドアの開閉を検知して安否を知らせるまもりこという端末。
これは、見守りの本質をとても上手に形にしています。

  • カメラやマイクがないためプライバシーを守れる
  • 家族や兄弟など、複数人で共有できる
  • Wi-Fi不要で、設置が簡単

監視ではなくそっと寄り添う。さらに導入のハードルが低い。そんな「技術のやさしさ」を感じる仕組みです。

まもりこ

「見守る」とは、「関わり続ける」ということ

見守ることは、一方的に見張ることではありません。相手を尊重しながら、つながり続けることです。

  • 見守られる側が「信頼して任せられる」
  • 見守る側が「過剰に介入しない」

そんな関係性を築くため、テクノロジーは自転車の補助輪のように働きます。最先端の技術を活用することにより、人の関わりを補い支援の質を高める環境が整い、見守りは「監視」ではなく「支援」へと変わっていくでしょう。

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まとめ

介護保険制度や地域支援の枠を超えて、
「見守ること」は、わたしたち一人ひとりのやさしさの表れです。

何かあったときに気づけること。
何もない日を、安心して過ごせること。

そのどちらもが、見守りのかたち。
そしてそれを支えるのが、家族や地域、そしてわたしたち介護従事者の役割です。

見守りとは、「気づき続けること」でもあります。
日々の小さな変化を見逃さず、声にならないサインを受け止める。その積み重ねが、利用者の安心と自立を支える力になります。

テクノロジーの進歩によって、見守りの方法は多様になりました。
だからこそ、その力をうまく活用して、支援の質を高めていくことが大切です。
機械に任せきるのではなく、データや仕組みを「気づきのきっかけ」として活かしていきたいですね。