先日、初めて「国際福祉機器展(H.C.R.)」に行ってきました。
会場の熱気と人の多さに圧倒されながらも、福祉分野の技術革新が確実に進んでいることを肌で感じた一日でした。
わたしは職業柄、福祉機器そのものよりもICT(情報通信技術)関連のブースに興味があり、今回は主にそちらを中心に見て回りました。
この記事では、HCRを通して感じた「福祉×ICTの現在地」と、現場で働く立場から見た課題や可能性についてまとめます。
takuma
生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)
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ケアマネ業務の“現状”と“課題”
まず最初に参加したのは、「ケアマネの業務効率化」に関するセミナーでした。
特に印象的だったのは、居宅介護支援事業所の約90%が、今も電話やFAX、郵送を中心に業務を行っているという現状報告。
LINE WORKSやChatwork、ケアプラン連携システムなど便利なツールはすでに数多く存在しています。それでも「導入していない」「導入したけれど使いこなせていない」事業所が多いというのが現実です。
講師の先生が話されていた
「まずは使って慣れるところから」
という言葉が、とても印象に残りました。
“効率化”はツールの導入ではなく、現場が新しい仕組みに慣れていくプロセスから始まるのだと感じました。
AI・電子同意・議事録…「便利さ」と「導入の壁」
会場では、生成AIを活用したケアプラン自動作成、議事録の文字起こし、通信ツールによる電子同意システムなど、最新のICT技術が数多く展示されていました。
どれも「業務が変わる未来」を感じさせるもので、見ていてワクワクしました。
しかし一方で、実際の導入には現実的な課題もあります。
導入コストや職員のITリテラシー、情報セキュリティへの対応など、現場が越えなければならないハードルは少なくありません。
「便利なのは分かるけど、すぐには難しい」──そんな声が全国の事業所から聞こえてきそうです。
まさに今は、福祉とICTの過渡期にあると実感しました。
“変化の過渡期”をどう楽しむか
けれど、裏を返せばそれだけ伸びしろがあるということです。
いきなり大きな変化を起こすのではなく、まずは「できることから」「小さく始める」ことが大切だと思います。
ツールを導入して終わりではなく、職員みんなが少しずつ使い慣れていくこと。その積み重ねが、やがて現場全体の変化につながるのではないでしょうか。
時代の変化を恐れず、柔軟に学びながら楽しむ姿勢を忘れずにいたい。HCRを通じて、そんな前向きな気持ちをあらためて感じました。
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まとめ
AIやICTの技術は確実に進化していますが、それを“どう活かすか”は現場で働くわたしたちの手にかかっています。
ツールを導入するだけでは変化は起きません。大切なのは、使う側の理解と慣れ、そして「まずはやってみよう」という姿勢だと思います。
小さな一歩でもいいから使ってみる、慣れてみる。その積み重ねがやがて大きな変化につながります。
これからの福祉現場には、ICTを「味方」にできる柔軟さが求められます。変化を恐れず、楽しみながら学び続けること。それが、これからの福祉を支えるわたしたちにできる、第一歩だと思います。

