生活相談員として日々ご利用者やご家族に関わっていると、「制度の限界」や「地域の課題」に直面することが多いのではないでしょうか。
個別の支援だけでは解決できない問題に出会ったとき、必要になるのがソーシャルアクション(社会的行動)です。
この記事では、生活相談員が現場でできるソーシャルアクションをわかりやすく整理してご紹介します。
takuma
生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)
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・職業情報サイトへ生活相談員に関する記事提供実績あります。その他介護情報サイトへ記事提供実績もあり。
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ソーシャルアクションとは?
ソーシャルアクションとは、個人や地域が抱える問題を「社会課題」としてとらえ、改善に向けて働きかける取り組みのことです。
社会福祉の分野では、声をあげにくい人や立場の弱い人を代弁し、制度や社会に働きかけていく活動を指します。
生活相談員にとってのソーシャルアクションは、現場で拾った小さな声を社会に届けることから始まります。
定義
・個人や地域が抱える問題を「社会課題」としてとらえ、改善に向けて働きかける取り組み
例:制度の改善、住民運動、政策提言など。
特徴
・個別援助(ソーシャルワーク)では解決できない「社会構造的な問題」に働きかける。
・声を上げにくいマイノリティや弱者の立場を代弁し、社会に働きかける。
・行政や政治に働きかける「アドボカシー活動」に重なる部分がある。
具体例
・介護保険制度の利用しづらさを改善するための市民運動
・バリアフリー化を進めるための署名活動や政策提案
・地域での孤立防止に向けた住民主体の取り組み
ソーシャルアクションに取り組むには、日々の学びも大切です。
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施設内から始まるソーシャルアクション
まずは身近な現場から取り組めることがあります。
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ご利用者・家族の声を集約する
「送迎が不便」「ショートステイを柔軟に使いたい」などの声をまとめ、施設会議や地域包括支援センターに伝える。 -
生活困難事例を可視化する
個別のケースで終わらせず、複数事例を整理し「こうした課題が地域に多い」と共有する。
👉 ポイント:「小さな声を“見える化”する」こと。
地域レベルでのソーシャルアクション
生活相談員は、地域包括ケアの一員として地域に働きかけることもできます。
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地域資源づくりに関わる
認知症カフェや交流サロンなど、住民主体の活動に参加・協力する。 -
当事者の声を届ける(アドボカシー)
「夜間の介護支援が足りない」「家族介護者が疲弊している」など、現場の声を行政や関係機関に届ける。
👉 地域に一歩踏み出すことで、施設の外にも大きな影響を与えることができます。
制度や社会に働きかけるソーシャルアクション
さらに広い視点では、制度改善や社会的な意識改革に関わることも可能です。
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政策提言や署名活動
制度の隙間や改善点を、意見公募や団体活動を通じて行政に届ける。 -
情報発信による啓発
ブログやSNSを活用し、介護保険制度のわかりにくさや現場の課題を広く発信する。
👉 発信は「社会への問題提起」として大きな力を持ちます。
小さなアクションが大きな変化につながる
ソーシャルアクションというと大掛かりな活動をイメージしがちですが、実は日常業務の延長線上にあります。
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利用者アンケートを分析して地域包括に報告
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デイサービスをわかりやすく紹介するパンフレットを作成
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認知症サポーター講座を学校で実施
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ブログ記事で現場のリアルを発信
こうした“小さなアクション”が積み重なることで、地域や社会が変わっていくのです。
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まとめ
生活相談員は、ご利用者やご家族の声を一番近くで聞ける立場です。
その声を施設内だけで完結させるのではなく、地域や社会に届けることでソーシャルアクションにつながります。
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施設内で声を集約し、課題を見える化する
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地域の活動や資源づくりに関わる
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制度や社会への働きかけを行う
小さな一歩が、大きな変化を生み出します。
あなたの取り組みも、立派なソーシャルアクションです。

