介護支援専門員、いわゆる「ケアマネジャー」の資格を持つわたしたちは、一定期間ごとに「法定研修(更新研修)」を受けることが義務付けられています。
厚生労働省や各都道府県は、「法定研修はケアマネジャーの質を保つために必要不可欠」と説明しています。しかし、本当に形式的な研修だけでケアマネジャーの質は上がるのでしょうか?
今回は、わたしが実際に研修を受けて感じたことや、現場で働くケアマネとしてのリアルな声をもとに、「ケアマネ更新研修の課題」について考えてみたいと思います。
takuma
生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)
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研修を受けても「現場の力」にはなっていない?
昨年度、わたし自身も法定の更新研修を受けました。しかし、その内容は正直なところ、日々の実務に役立ったと実感できるものではありませんでした。
「これって本当に現場に必要なの?」と感じるような内容が多く、グループワークもどこか形だけ。
わたしと同じような思いを持つケアマネは多いのではないでしょうか?
本当に「質の向上」につながっているのか?
法定研修の目的は、「知識やスキルのアップデート」とされていますが、実際に現場で求められているのは、もっと実践的なノウハウや課題解決力ではないでしょうか?
更新研修を受けることで「ケアマネの質が向上した」という明確なエビデンス(根拠)を、少なくともわたしは見聞きしたことがありません。
JOINTの記事(JOINT:介護支援専門員の資格更新制・法定研修は必要不可欠!)でも、「ケアマネの質の維持・向上には、定期的な研修が欠かせない」とされています。ですが、現場感覚としては「形式的な研修だけで本当に質が保てるのか?」という疑問は根強いままです。
なぜ現場の声が届かないのか?
現場で日々利用者や家族と関わっていると、「制度のための制度」になっているものが少なくありません。
法定研修も、やっていること自体が目的になってしまいがちで、
・実際に何が身につくのか?
・日々の業務にどう活かせるのか?
といった視点は置き去りにされている印象です。
また、研修を終えて資格を更新すること自体が「ゴール」になり、肝心の現場力やケアの質は置いてけぼり…と感じてしまうこともあります。
本当に必要なのは「学び続ける環境」
もちろん、ケアマネジャーという仕事は制度や社会情勢の変化に常に対応し続けなければいけません。
継続的な学びや振り返りは間違いなく大切です。
でも、それは「法定の更新研修」である必要は本当にあるのでしょうか?
たとえば、現場の事例を持ち寄って悩みや工夫を共有する場や、オンラインで手軽に学べる実践的なコンテンツの充実など、もっと柔軟で現場に寄り添った学びの形が求められていると感じます。
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まとめ
形式だけの法定研修では、ケアマネの質は本当に上がらない
これが、現場で働くひとりとしての率直な実感です。
「更新研修は必要不可欠」と言い切る前に、「本当に現場で役立つ学びとは何か?」「どうすればケアマネの“質”を上げられるのか?」
現場の声にもっと耳を傾け、柔軟な仕組みづくりを考えていくべきではないでしょうか。
現場のリアルな声や思い、ぜひ皆さんのご意見もお聞かせください。