介護の現場で働いていると、「急ですが、ショートステイの空きはありませんか?」というケアマネジャーからの電話が突然入ることは、決して珍しいことではありません。
わたしたちショートステイの職員は、こうした「緊急ショート」の依頼が来たとき、困っている方を何とかしたいという気持ちで動き出します。しかし、その後の連絡が来ないことも多く、こちらから連絡すると「他の施設が決まったので結構です」と言われることもあり、何とも言えないモヤモヤを感じることが多いのが現実です。
takuma
生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)
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緊急ショート依頼は、現場の覚悟と段取りが必要
そもそも、ショートステイの緊急依頼への対応は、一筋縄ではいきません。
ベッドの空き状況を確認して、その方の情報を収集し、職員へ情報共有し、家族と契約をする。普段以上に頭と体をフル回転させて、短時間でいろんな調整を進めていきます。ときには、職員やご家族にも無理をお願いしなければならない場面もあります。
現場は覚悟を決めて受け入れ調整に動き出しています。利用できなければ困ってしまう人がいるわけですから、簡単に「受け入れられません」とは言えません。できる限りを尽くして、受け入れ調整を行います。
しかし、ケアマネからの「その後」がない…
「なんとか受け入れできそうです」と返事をした後、ケアマネから全く連絡がない。もしくは、こちらから確認の電話を入れてみたら「他の施設が決まったので、今回は大丈夫です」とあっさり言われてしまう。
このパターン、正直現場ではとても多いです。
もちろん、ケアマネも一刻を争う状況で、複数の施設に同時に依頼をかけていることは理解しています。
ですが、現場としては「どのケースも本気で調整している」という事実があります。
キャンセルになったときの気持ちの持っていき場がないというか、「こちらの覚悟と手間が伝わっていないのかな」と、どこか虚しさを感じてしまいます。
ショートステイ受け入れ調整の“見えない苦労”
ショートステイの調整は、ただベッドを用意すれば終わりではありません。
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限られた時間で家族に重要事項を説明し、契約
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緊急入所に必要な書類や物品の準備
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医療情報や服薬状況の確認
- 職員間の情報共有
などなど。場合によっては、予定していたスケジュールを無理やり変更することもあります。それが、最終的に「他で決まったので大丈夫です」の一言で終わってしまうと、気持ちの整理がつかないこともあります。
ケアマネと現場、お互いの立場
もちろん、ケアマネの立場も分かります。
急ぎで動かなければならないときは、とにかく受け入れ先を確保することが最優先ですから、複数の事業所に同時に声をかけて、一番早く返事をくれたところで決める。
これ自体は、家族や本人のために迅速に動いている証でもあります。
一方で、現場は「一件の依頼に対し、本気で動いている」
お互い様なのかもしれませんが、せめて「今回は他の施設で決まりました」「急な依頼に対応してくれてありがとう」そんな一言があるだけで、現場の気持ちはずいぶん違うものです。
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現場の本音とこれから
忙しい中でも、お互いの立場や苦労に思いを寄せること。それが結局、より良い連携や信頼関係につながるのだと思います。
わたし自身、何度もこうしたやりとりを経験し、その度にもやもやしたり、時には「何のために調整しているんだろう」と考えてしまうこともあります。
ですが、それでもやっぱり、困っている人がいるならできる限り応えたいと思います。
もしこの記事を読んで、ケアマネさんや他の現場スタッフが「そういう苦労もあるんだな」と思ってくれたら嬉しいです。
そして、次にまた緊急ショートの依頼があったとき、お互い気持ちよく連携できるように、ちょっとした声かけや配慮を大切にしていきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
同じような経験をされている方がいれば、ぜひコメントなどで思いを共有してください。