介護・福祉情報

いまだにFAX!? 介護業界に根強く残るアナログ文化の現実

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介護業界で働いていると、「令和の時代に、まだFAX?」と思う場面に出くわすことがあります。
うちの地域でも、介護事業所同士の連絡手段は、いまだにFAXが中心。メールやチャット、クラウド共有など、便利なツールがいくらでもある時代に、なぜFAX文化が根強く残っているのでしょうか?

 

この記事を書いた人


takuma

生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)

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FAXエピソード

新規の利用者情報を受け取る際、とある事業所からFAXが届きました。
表紙には利用者名が伏字で書かれており、「個人情報の配慮かな」と思いきや、添付されていた介護保険証のコピーや基本情報には、しっかりとフルネームが記載されていました。

「え、それって何か意味あるの?」と、正直思ってしまいました。

さらに、FAXで送った黒塗り部分を、電話で補足連絡してくる事業所なんかもあります。

情報漏洩対策として意識されているのかもしれません。
しかし、結果的に手間も時間も余計にかかっていて、「もっとスマートな方法はないのかな…」と感じずにはいられませんでした。

手間が増える一方のFAX対応

FAX自体は「送れば届く」シンプルな手段ではあります。ですが、実際には受け取った後の確認作業が付きまといます。

たとえば、FAXを受信したあとに、先方から届いたかどうかの確認の電話が来ることがあります。さらには、受信確認の返答をFAXで送るよう求められることもあります。

こうした“やり取り”は、1件1件は大したことなくても、積み重なると膨大な時間になります。
特に、月末月初のような書類対応が集中する時期には、FAX業務だけで1時間以上費やしていることも。

なぜFAX文化がなくならないのか?

介護業界にFAX文化が残っている理由として、いくつかの背景が考えられます。

  1. 利用者情報の取り扱いに慎重にならざるを得ない
    個人情報の管理に厳しい介護業界では、情報漏洩のリスクを避けるため、あえてインターネットを介さないFAXを選ぶ事業所もあります。

  2. 職員のITリテラシーの差
    スタッフの中には、メールやクラウドの扱いに慣れていない人もいます。誰でも操作できるFAXは“安心感”があるのかもしれません。

  3. 「これまで通り」で慣れてしまっている
    業界全体が変化を避け、今までのやり方を続けているという実態もあります。「FAXで困ってないから変える必要がない」といった空気も、根深く存在しています。

FAXに奪われている「見えないコスト」

FAXのやり取りで発生するコストは、紙代やインク代だけではありません。
職員の時間、精神的なストレス、やり取りミスのリスク…これらも積み重なれば、組織全体の“非効率”に繋がります。

最近では「FAXは受け取るだけにして、返信はメールで」とルール化している事業所もあるようですが、まだまだ少数派です。

時代に合わせたアップデートを

介護業界こそ、限られた人員と時間の中で業務を回している現場です。
だからこそ、アナログな作業にかかる手間を減らし、職員が本来の支援業務に集中できる体制づくりが求められていると感じます。

もちろん、すべてをデジタル化するのは難しいかもしれません。
でも、「FAXしか使えない」から「他の手段も選べる」へ、少しずつでも変えていくことが必要です。

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おわりに

FAXを完全に否定するつもりはありません。
ただ、「手段が目的になっていないか?」と立ち止まることは大切です。
介護の現場は、もっと本質的なところに時間や力を割くべきだと思うからこそ、FAXに振り回される日々には、やっぱり疑問を感じてしまいます。