業務スキルとノウハウ

ショートステイで生活相談員が事前に確認しておきたい医療行為5選

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ショートステイは、高齢者が安心して一時的に宿泊することができる大切なサービスです。しかし、受け入れ時に医療的なニーズを正確に把握できていないと、現場が混乱したり、思わぬ事故やトラブルにつながることもあります。
だからこそ、生活相談員が事前に「何の医療行為が必要か」「現場で対応できるか」をしっかり確認しておくことが重要です。そこで今回は、生活相談員があらかじめ確認しておきたい医療行為について解説します。

 

この記事を書いた人

takuma

生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)

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インスリン注射

毎日のインスリン注射が必要な方の場合、「いつ、誰が注射・血糖チェックを行うか」を事前に明確にしておくことが必要です。

自己注射が可能な方であれば大きな心配はありませんが、介助が必要な場合、対応できるのは看護師のみです。注射が必要な時間帯に看護師がいるか、細かい調整が必要です。また、血糖値の測定や、もしもの低血糖時の対応(ブドウ糖の備えなど)も確認しましょう。
消耗品(針や測定器、消毒綿など)の持参についても、利用開始前に確認しておくと安心です。

ここで注意したいのは、「自己注射できる」と聞いていても、実際にショートステイに来てみたら「やっぱり自分では難しい」となるケースが少なくないということです。
特に環境が変わると緊張してうまくできなくなったり、ご家族が普段は手伝っていたことを本人やケアマネジャーが認識していなかったりする場合もあります。
そのため、事前面談の際は「本当にひとりで最初から最後まで安全に注射できるか」「見守りや声かけが必要ないか」など、具体的に確認しておくことがとても大切です。
場合によっては、ご家族にも立ち会ってもらい、実際に注射する様子を見せてもらうことで、現場での“できる・できない”のギャップをなくすことができます。

酸素(在宅酸素療法)

在宅酸素を利用している方は、酸素の機械の扱いやお風呂の時の対応など、細かな準備が必要です。事前確認が不足すると、生命に関わる重大なトラブルになることもあります。

酸素濃縮器や液体酸素、ボンベなど種類によって扱いが異なるので、必ず「普段どの機械を使っているか」「設定は何リットルか」など具体的に聞き取りましょう。
特に入浴時にはチューブが絡みやすく、ボンベの持ち運びも大変です。「浴室での安全確保はどうするか」まで話し合っておくと安心です。
また、停電時や災害時の対応方法、業者や家族への連絡先も事前に控えておきましょう。

現場では、酸素濃縮器や携帯用酸素ボンベは、利用者さんのご自宅から持ってくる場合だけでなく、業者が直接ショートステイに搬入・設置してくれるケースも多くなっています。
そのため、ご本人や家族が「自宅で使っている酸素機器を必ず持参しないといけない」と思い込んでいることもありますが、事前に業者やケアマネジャーに確認し、ショートステイ用に新しく搬入手配ができるかどうかを調べておくと、利用者・家族双方の負担を減らすことができます。

強い痛み止め(麻薬)の管理

がんの方などが使う強い痛み止め(いわゆる麻薬)は、普通の薬以上に厳格な管理が求められます。ただし、ショートステイでの保管については厚生労働省の通知により、必ずしも金庫で管理する義務はありません。

厚生労働省の通知では、ショートステイなど自宅以外の場所で患者さんに交付された医療用麻薬について、「金庫での保管までは求めない」とされています。
ただし、第三者が容易に触れられないようにすることが大前提です。たとえば、鍵のかかる引き出しや、扉の閉まる棚などでしっかり管理しましょう。
置きっぱなしや共用スペースでの保管は避けるべきです。また、投薬記録を残し、「何時に・何mg・誰が投与したか」まで正確に書くルールを徹底しましょう。

ストマ(人工肛門・人工膀胱など)

ストマケアは「人によって道具も処置の仕方も違う」医療ケアです。慣れていないと現場で戸惑いやすいので、事前にしっかり確認しましょう。

ストマパウチのメーカーや型番、交換頻度や具体的な処置手順など、ご本人や家族から詳しく聞いておくことが大切です。
また、替えのパウチやケア用品は十分に用意してもらい、漏れ・外れなどのトラブル時には誰にどう連絡するかも決めておきましょう。
必要があれば、ご家族に実際の処置を見せてもらったり、処置方法を職員が確認できるようにする工夫も有効です。

5. バルーンカテーテル(尿道留置カテーテル)

バルーンカテーテルを使用している方は、日常的な排尿量のチェックや廃棄作業に加え、「自己抜去」のリスクもあるため注意が必要です。

バルーンが抜けてしまうと、すぐに医療的な対応が必要になります。認知症がある方の場合は、知らずに抜いてしまうこともあるため、予防策や、抜去時の緊急連絡先、再挿入の手順を職員全員で共有しておきましょう。
また、尿バッグの扱い・処理手順や記録方法も、看護師と介護職で共通認識を持っておくことが事故防止につながります。

もうひとつ大切なのが、バルーンカテーテルは定期的な交換が必要だという点です。
ショートステイを長期で利用する場合、滞在中にちょうど交換時期が重なることもあります。その場合、「誰が・どこで・どのように交換を行うのか」を事前に確認しておくことが重要です。

家族や多職種との連携が安心への第一歩

どの医療ケアも、「家族」「かかりつけ医」「訪問看護」「薬剤師」との事前連携がとても大切です。
ショートステイ利用前には、事前面談や連絡帳を活用して「できること・できないこと」「何をどう持参してもらうか」「困った時の連絡方法」まで細かく共有しましょう。
ひとりで抱え込まず、「みんなで情報を持ち寄る」ことで、利用者さんも家族も職員も安心して過ごせる環境が整います。

 

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まとめ

ショートステイの現場では、「まあ何とかなるだろう」と曖昧なまま受け入れることが、事故やクレームの最大の原因になります。特に医療行為については、事前の確認が重要です。
生活相談員は、

  1. 医療ケアの内容を正確にヒアリング

  2. 現場で本当に対応できるか判断

  3. 難しい場合は家族や医療職と一緒に調整する

この3ステップを丁寧に行うことで、みんなが安心して利用できるショートステイを実現できると思います。
「ここなら安心して預けられる」「また利用したい」と思ってもらえるように、しっかり事前確認しておきましょう。