業務スキルとノウハウ

介護職員はなぜ利用者にタメ口で話すのか?その理由と問題点を解説

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こんにちは。生活相談員として介護施設で働くtakumaです。

介護の仕事に就いたばかりのころ、わたしは強い違和感を覚えたことがありました。
それは――「職員が利用者に対してタメ口で話す」ことです。

たとえばこんな会話が日常的に飛び交っています。

  • 「〇〇さん、ご飯食べようね〜」
  • 「ちょっと待ってて〜」
  • 「そっち行かないで〜」

一見、明るく親しみのあるやり取りに見えるかもしれません。
ですが、他のサービス業―たとえばコンビニや飲食店、ホテルなどでは、お客様にタメ口で話すことはまずありませんよね。
同じように「人と接する仕事」である介護業界で、なぜこうした言葉遣いが当たり前になっているのでしょうか?

今回は、現場でよく耳にする「タメ口対応」の背景や問題点について、わたしなりの考えをまとめてみました。

 

この記事を書いた人

takuma

生活相談員(社会福祉士・公認心理師・介護支援専門員)

Xにほぼ毎日投稿しています。

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なぜ介護職員はタメ口で話すのか?4つの主な理由

まず、実際にタメ口を使う職員に理由を聞いてみると、次のような答えが返ってきました。

1. 親しみを込めるため

「距離が近い方が安心してもらえるから」「仲良くなれるから」という理由で、親しみを込めてタメ口を使うという声はよく聞きます。
たしかに、関係性が築けていればフランクな会話も悪いことではないかもしれません。

しかし、“親しみ”はタメ口でなくても伝えられます。
笑顔、やさしい声かけ、気づかい―そうした態度こそが信頼関係をつくる基本ではないでしょうか。

2. 距離感を縮めるため

「タメ口の方が利用者と打ち解けやすい」「壁を感じさせない」といった理由で、言葉遣いをあえて崩している職員もいます。

ただし、その“距離が縮まった”という感覚は、あくまで職員側のものである可能性も。
利用者側がどう感じているか―そこへの配慮が欠けてしまっては、真の信頼関係とは言えません。

3. 相手によって使い分けている

「この方はタメ口でも嫌がらない」「あの人は敬語がいいみたい」といった形で、利用者ごとに言葉を使い分けているケースもあります。
柔軟に対応できるという点では、一見よさそうに思えます。

しかし、“本当は嫌だけど嫌だと言えない”利用者の気持ちを、わたしたちはどこまで汲み取れているでしょうか。
判断が難しいからこそ、基本的には丁寧な言葉遣いを心がけた方が無難です。

4. 言葉を簡単にして伝えやすくするため

耳が聞こえにくい利用者に対して、ゆっくり・短い言葉で伝える必要がある場合、自然と「お風呂いくよ〜」といった表現になってしまうこともあります。
このような場面では、言葉遣いが多少カジュアルになってもやむを得ない部分はあると思います。

タメ口で話す職員は2タイプに分けられる

10年以上介護業界にいる中で、タメ口を使う職員は大きく2つのタイプに分けられると、わたしは感じています。

タイプ①:利用者にはタメ口、家族には敬語の職員

このタイプの職員は、言葉を相手によって使い分けています。
つまり、敬語の重要性は理解しているのです。
それでもあえて利用者にはタメ口で接しているわけですから、“確信犯”と言えるかもしれません。

敬語の必要性をわかっていながら、なぜ利用者にはフランクに?―このギャップをどう受け取るかは人それぞれですが、わたしは違和感を覚えてしまいます。

タイプ②:利用者にも家族にもタメ口の職員

一方で、そもそも敬語を使う習慣がない、あるいは苦手な職員もいます。
悪気があるわけではなく、丁寧な言葉遣いが「身についていない」だけの場合もあるのです。

本来であれば、敬語やマナーを学ぶ機会をしっかり設けるべきですが、人手不足に苦しむ介護業界では、なかなか理想どおりにはいかないのが現実です。

 

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介護職に求められるのは“言葉への配慮”

介護は、ただ身体を支えるだけの仕事ではありません。
相手の気持ちを考え、行動する必要があります。
言葉遣いはその最たるもので、言葉ひとつでその人の尊厳にかかわることもあります。

介護の現場では、「丁寧すぎる言葉はかえって壁をつくる」と言われることもあります。ですがわたしは、「親しみやすさ」と「敬意」は両立できると思います。
「丁寧な言葉」は信頼関係を築く第一歩です。

今、自分が使っている言葉―それは「相手のための言葉」になっているでしょうか?しっかりと言葉に気を遣うことのできる、プロでありたいと思います。